美しき野獣、さらに牙を磨く

  • アウディ RS5 走り|ニューモデル試乗
  • アウディ RS5 リアスタイル|ニューモデル試乗
1月にマイナーチェンジを受けたA5同様、最新ブランドデザインを取り入れたシャープなエクステリア。重量配分のためアルミ製フェンダーを採用
あいかわらず世界販売は絶好調である。特に、中国/ドイツ/アメリカが好調で、この上位3カ国が全販売台数の半分以上を稼いでいる。

そういうときには、クルマ好きを興奮させるモデルも作りやすい。アウディのクルマ好き御用達といえば、SではなくRS。いっときに1モデルしか作らない(小さいモデルは別)というバリエーションの少なさが玉に瑕だが、過激なモデル作りではBMWのMやM・ベンツのAMGを踏み倒す勢いを時に見せたりする。

そんなRSシリーズの最新作がRS5である。ただし、これはニューモデルではなく、マイナーチェンジだ。パワートレイン系こそキャリーオーバーとするも、顔つきを最新モデル系とし、左右のフロントウィングをアルミニウム化するなど、熟成がじっくりと進んだ。美しい2ドアクーペスタイルに巨大なタイヤ&ホイールがお似合いだ。

冷静に熱く速く! それがアウディ流スポーツ

  •  アウディ RS5 インパネ|ニューモデル試乗
  • アウディ RS5 シート|ニューモデル試乗
パネル類にカーボンを用いたスポーティなインテリア。スイッチ類のデザインも変更された。バング&オルフセンの高性能サウンドシステムは標準
以前に箱根ターンパイクで乗ったRS5のイメージは、4WDのアウディらしからぬハンドリングマシン、だった。その後、このクルマから使われ始めた新クワトロシステムが他のシリーズモデルにも採用されるに至って、アウディクワトロ系の走りのイメージは、ぐんと良くなったものだ。

改良型RS5を試すステージは、もう一段上の本格サーキット。この広くて安全な場所では、とにかく速く安定、安心したドライブに終始した。面白かったか? と問われると、一瞬言葉に詰まる。けれども、楽しかったか? と聞かれれば、サーキットを思う存分に速く走れたのだから"そうだね"と答えよう。冷静に熱いドライブが楽しめる。それがアウディの魅力だ。

最近の直噴ターボの嵐に見舞われ続けた身には、V8NAの楽しさが身にしみた。機械仕掛けの力強さを右足裏で堪能する贅沢は、やっぱり過給をもって代え難い。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード RS5 COUPE
全長×全幅×全高(mm) 4650×1860×1375
車両重量(kg) 1810
エンジン種類 V8DOHCターボ
総排気量(cc) 4163
最高出力[ps/rpm] 450/8250
最大トルク[Nm/rpm] 430/4000-6000
車両本体価格 1222.6万円
Tester/西川淳  Photo/阿部昌也