よく似合うのは洗練とか熟成という言葉だ

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↑グレードを問わず走りは角が取れて丸くなった印象(左)イメージカラーの薄青メタをはじめ銀メタ、赤メタ、黒パール、白の5色(中)カタログ燃費は122ps版で16.8km/L。実用燃費もカタログ値に近い(右)
いつもの箱根の山道で最初のコーナーを回った瞬間「やはりゴルフはすごい」と思った。とにかく足回りが懐深い。このクラスの標準より1.5倍くらい心理的な余裕を感じる。16インチのベーシックタイヤだったにもかかわらずだ。最初に乗った「コンフォートライン」には122psを発揮する1.4Lターボが載るが、このエンジンもまた素晴らしい。トルクの立ち上がりが非常に自然で、旧型の前期にあったNA直噴2Lエンジンと同じくらい扱いやすい。7速DSGのスムーズかつ切れ味の良い変速もあって、街中でも山道でも意のままに走ることができる。ちなみにマニュアルモードの陰で言及されることが少ないが、VWやアウディのSレンジのセッティングは山道で絶妙なこともつけ加えておきたい。

上級の「ハイライン]には160psを発揮する1.4Lターボ+スーパーチャージャーが搭載される。単純な発進や追い越しのときの余裕は捨てがたいものの、タウンスピードで絶妙なアクセルワークが難しい場面もあった。17インチミシュランプレマシーHPを履いていたこともあって、コーナリング性能にさらに余裕がある半面、大きな段差などでは突き上げが少々厳しい。

個人的には「コンフォートライン」で十分だ。ただ全体的に新型の走りはグレードを問わず角が取れて丸くなった印象を受ける。よく似合うのは洗練とか熟成という言葉だ。高くなった静粛性(特に車外の音の遮断が利いている)も影響しているのだろう。

ライバルにとっては迷惑な話

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↑旧型より立体感が強調されたメーター回り。オプションの純正HDDナビを選ぶとコンフォートラインにもマルチファンクションステアリングが付く(左)硬めのシート。ハイラインは本革シートも選べるが純正ナビは付かず(中)究極のトランスミッションと言われる7速DSGを採用(右)
6代目となる新型に乗って改めて感じたのは、ゴルフという車の特殊性である。世界で最もポピュラーな車の一台をつかまえて「特殊」もないだろう、と思う方も多いかもしれない。でも歴代ゴルフが登場するたびに到達してきた水準は、いつも同じセグメントの遥か先だった。

いや、大きさや排気量や金額から決めていくセグメントという言葉こそ、ゴルフに最も似合わないものかもしれない。究極のトランスミッションと言われたDSGをはじめ、実用燃費に効果的な直噴+過給による小排気量化、国産車がイヤになる高い内外装のクオリティなど、VWがもてる技術の粋を集めた車、それがゴルフだからだ。高級車や花形スポーツカーならいざ知らず、そんな作り方をしている「Cセグメント」の車は他にはない。ライバルメーカーとしてはある意味迷惑な話だろう。そのくらいゴルフはいつもいい。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード TSIコンフォートライン TSIハイライン
駆動方式 2WD
トランスミッション 7AT
全長×全幅×全高(mm) 4210×1790×1485
ホイールベース(mm) 2575
車両重量(kg) 1290 1340
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC+ターボ 直4DOHC+ターボ+スーパーチャージャー
総排気量(cc) 1389
最高出力[ps/rpm] 122ps/5000rpm 160ps/5800rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 20.4kg-m/1500〜4000rpm 24.5kg-m/1500〜4500rpm
10・15モード燃費(km/L) 16.8 16.2
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/55
車両本体価格 275.0万円 312.0万円
(Tester/馬弓良輔[カーセンサーメディアアドバイザー] Photo/尾形和美)