VW ティグアン▲昨年11月にフルモデルチェンジを受け登場した新型フォルクスワーゲン ティグアン。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による試乗インプレッションをお届けする

パーソナルカーの雄が放つ新型SUV

現在世界中のSUVモデルの開発や登場が加速している中、欧州パーソナルカーの雄として君臨する“フォルクスワーゲン”も決して手綱を緩めていない。

なぜならばフォルクスワーゲンきっての販売台数を誇るティグアンの出来は素晴らしいということが、今回の試乗会を通じて理解できたからである。

昨今、フォルクスワーゲンはEVシフトを行っていた絡みで、開発において揶揄されることもある。しかし、同時期に登場した新型パサートを含め、この新型ティグアンには影響していないどころか、むしろ高品質さが健在していることがはっきりとわかった。
 

VW ティグアン
VW ティグアン

ボディ断面や各部のドアを開閉すれば、すぐに高品質をであることが理解できる。ドアを開けた瞬間、プレスの造形がアウターボディのように滑らかで、普段見えない部分とは思えないクオリティだ。
 

VW ティグアン▲ボディ細部を見ても非常に繊細でクオリティの高さがうかがえる
VW ティグアン▲各ドアを開けた際の「準外板」の部分も滑らか

「1.5L ターボ+48Vマイルドハイブリッド」が高いドライバビリティを実現

今回試乗したのは、ティグアンeTSI R-line。1.5L ターボと48Vマイルドハイブリッドを搭載したFF仕様のモデルである。

エンジンは電光石火のごとく滑らかに始動する。フォルクスワーゲンのEA211型Evoというユニットは成熟に成熟を重ねただけあって、燃焼の均一性といったマネージメントも素晴らしい。

このユニットからだけでも、欧州車の重厚なイメージを感じさせる。ステアリングコラム右手にあるセレクタレバーを上に上げるとDレンジとしてスタートできる。

フォルクスワーゲンでこの方式でセレクトするのはID.4以来である。右手元にセレクタースイッチがあると動作時に目線がそれにくいのと、素早くレンジのセレクトが可能なので、メルセデス同様にフォルクスワーゲンでも主流となるだろう。
 

VW ティグアン

試乗のコースはタイトなワインディングがメインである。

車重1610kgということを考えると、少々キャパシティが足らないように思う方もいるに違いない。私もその一人だった。

しかし、スタートして感じたのは、これって本当に1.5Lターボ? ということだった。それほどにドライバビリティがとてもいい。

本来フラットトルクが売りのターボであっても、キャパシティが小さいとスタティックからの発進ではトルク不足を感じずにいられない。しかし、このユニットでは、ちょっとしたモーターの後押しの効果が絶大で、不足感がない。

一度軽く動けば過給機も相まって、ぐいぐいと山道を上っていく。ストレスなく仕上がりは上々だ。

FFの欠点は前に荷重があるため発進時にトラクション不足となり、特に少し濡れた路面ではトルクステアが発生してそれを制御するためにレスポンスがにぶくなる傾向があるということ。

しかし、新型ティグアンには皆無であった。

どんなに急に加速しても路面とのコンタクトはすこぶる良好である。動力性能はばっちりだ。

そして、それを受け止めるサスペンションは剛性感が非常に高い。乗り心地を左右するダンパーの特性も初期の入力に対しては寛容に受け止め、さらに入力が大きくなるとソフトに踏ん張ってくれる。

目線が高いSUVとはいえ、フォルクスワーゲンのスタビリティはどのモデルに乗っても同一のベクトルでドライバーや乗員に安心感を与える。

ティグアンは最低地上高を上げているので、積極的に安定感を求めたセッティングといえる。
 

VW ティグアン

ワインディングを走るときは、一般道に比べてよりトランスミッションのマナーが大切になる。

安定したコーナリングは路面との協調性、すなわち一定の動力コンタクトが必要となる。やみくもに変速を繰り返しては安定したハンドリングは得られないのである。

ティグアンのATは7速であってきめ細やかな制御が可能だ。ダイレクトなフィールを身上としているトランスミッションなので、アクセルを丁寧に扱うことによってより素晴らしいはハンドリングも可能となる。

フォルクスワーゲンは、硬派なエンジニアリングが主体な自動車メーカーである。

だからこそ必要以上のクオリティを要求してしまうのであろう。昨今の物価高による価格と性能を鑑みると、バリューの高さは健在だ。

これからのフォルクスワーゲンを担う1台として、盤石な性能とエンジニアリングが育まれていることに間違いはない。
 

文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●eTSI R-line

型式 3AA-CT15 最小回転半径 5.4m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.54m×1.86m×1.66m
ドア数 5 ホイールベース 2.68m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1610kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

シプレッシーグリーンメタリック、パーシモンレッドメタリック、オイスターシルバーメタリック、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト

オプション色

オリックスホワイトマザーオブパールE

掲載コメント

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型式 3AA-CT15
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 シプレッシーグリーンメタリック、パーシモンレッドメタリック、オイスターシルバーメタリック、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト
オプション色 オリックスホワイトマザーオブパールE
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.54m×1.86m×1.66m
ホイール
ベース
2.68m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1610kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 DXD 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 60リットル
可変気筒装置 燃費(JC08モード) 18.3km/L
総排気量 1497cc 燃費(WLTCモード) 15.6km/L
└市街地:11.9km/L
└郊外:15.9km/L
└高速:17.7km/L
燃費基準達成 -
最高出力 150ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
エンジン型式 DXD
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置
総排気量 1497cc
最高出力 150ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 60リットル
燃費(JC08モード) 18.3km/L
燃費(WLTCモード) 15.6km/L
└市街地:11.9km/L
└郊外: 15.9km/L
└高速: 17.7km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。