【試乗】新型 フォルクスワーゲン ティグアン|エンジニアリング主体で作るSUVは、全く妥協を感じない
カテゴリー: フォルクスワーゲンの試乗レポート
2025/01/28

パーソナルカーの雄が放つ新型SUV
現在世界中のSUVモデルの開発や登場が加速している中、欧州パーソナルカーの雄として君臨する“フォルクスワーゲン”も決して手綱を緩めていない。
なぜならばフォルクスワーゲンきっての販売台数を誇るティグアンの出来は素晴らしいということが、今回の試乗会を通じて理解できたからである。
昨今、フォルクスワーゲンはEVシフトを行っていた絡みで、開発において揶揄されることもある。しかし、同時期に登場した新型パサートを含め、この新型ティグアンには影響していないどころか、むしろ高品質さが健在していることがはっきりとわかった。


ボディ断面や各部のドアを開閉すれば、すぐに高品質をであることが理解できる。ドアを開けた瞬間、プレスの造形がアウターボディのように滑らかで、普段見えない部分とは思えないクオリティだ。


「1.5L ターボ+48Vマイルドハイブリッド」が高いドライバビリティを実現
今回試乗したのは、ティグアンeTSI R-line。1.5L ターボと48Vマイルドハイブリッドを搭載したFF仕様のモデルである。
エンジンは電光石火のごとく滑らかに始動する。フォルクスワーゲンのEA211型Evoというユニットは成熟に成熟を重ねただけあって、燃焼の均一性といったマネージメントも素晴らしい。
このユニットからだけでも、欧州車の重厚なイメージを感じさせる。ステアリングコラム右手にあるセレクタレバーを上に上げるとDレンジとしてスタートできる。
フォルクスワーゲンでこの方式でセレクトするのはID.4以来である。右手元にセレクタースイッチがあると動作時に目線がそれにくいのと、素早くレンジのセレクトが可能なので、メルセデス同様にフォルクスワーゲンでも主流となるだろう。

試乗のコースはタイトなワインディングがメインである。
車重1610kgということを考えると、少々キャパシティが足らないように思う方もいるに違いない。私もその一人だった。
しかし、スタートして感じたのは、これって本当に1.5Lターボ? ということだった。それほどにドライバビリティがとてもいい。
本来フラットトルクが売りのターボであっても、キャパシティが小さいとスタティックからの発進ではトルク不足を感じずにいられない。しかし、このユニットでは、ちょっとしたモーターの後押しの効果が絶大で、不足感がない。
一度軽く動けば過給機も相まって、ぐいぐいと山道を上っていく。ストレスなく仕上がりは上々だ。
FFの欠点は前に荷重があるため発進時にトラクション不足となり、特に少し濡れた路面ではトルクステアが発生してそれを制御するためにレスポンスがにぶくなる傾向があるということ。
しかし、新型ティグアンには皆無であった。
どんなに急に加速しても路面とのコンタクトはすこぶる良好である。動力性能はばっちりだ。
そして、それを受け止めるサスペンションは剛性感が非常に高い。乗り心地を左右するダンパーの特性も初期の入力に対しては寛容に受け止め、さらに入力が大きくなるとソフトに踏ん張ってくれる。
目線が高いSUVとはいえ、フォルクスワーゲンのスタビリティはどのモデルに乗っても同一のベクトルでドライバーや乗員に安心感を与える。
ティグアンは最低地上高を上げているので、積極的に安定感を求めたセッティングといえる。

ワインディングを走るときは、一般道に比べてよりトランスミッションのマナーが大切になる。
安定したコーナリングは路面との協調性、すなわち一定の動力コンタクトが必要となる。やみくもに変速を繰り返しては安定したハンドリングは得られないのである。
ティグアンのATは7速であってきめ細やかな制御が可能だ。ダイレクトなフィールを身上としているトランスミッションなので、アクセルを丁寧に扱うことによってより素晴らしいはハンドリングも可能となる。
フォルクスワーゲンは、硬派なエンジニアリングが主体な自動車メーカーである。
だからこそ必要以上のクオリティを要求してしまうのであろう。昨今の物価高による価格と性能を鑑みると、バリューの高さは健在だ。
これからのフォルクスワーゲンを担う1台として、盤石な性能とエンジニアリングが育まれていることに間違いはない。
【試乗車 諸元・スペック表】
●eTSI R-line
型式 | 3AA-CT15 | 最小回転半径 | 5.4m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.54m×1.86m×1.66m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.68m |
ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.59m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1610kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | -m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
シプレッシーグリーンメタリック、パーシモンレッドメタリック、オイスターシルバーメタリック、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト |
||
オプション色 |
オリックスホワイトマザーオブパールE |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3AA-CT15 |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | 7AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | シプレッシーグリーンメタリック、パーシモンレッドメタリック、オイスターシルバーメタリック、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト |
オプション色 | オリックスホワイトマザーオブパールE |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
コラム |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.4m |
全長×全幅× 全高 |
4.54m×1.86m×1.66m |
ホイール ベース |
2.68m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.59m/1.59m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1610kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | -m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | DXD | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 60リットル |
可変気筒装置 | ◯ | 燃費(JC08モード) | 18.3km/L |
総排気量 | 1497cc | 燃費(WLTCモード) |
15.6km/L
└市街地:11.9km/L └郊外:15.9km/L └高速:17.7km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 150ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
250(25.5)/3500 |
エンジン型式 | DXD |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | ◯ |
総排気量 | 1497cc |
最高出力 | 150ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
250(25.5)/3500 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 60リットル |
燃費(JC08モード) | 18.3km/L |
燃費(WLTCモード) | 15.6km/L
└市街地:11.9km/L └郊外: 15.9km/L └高速: 17.7km/L |
燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。