M・ベンツ量産初のフルアルミボディ

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フルアルミニウムボディシェルやルーフフレームにマグネシウムを採用したことなどにより、旧型より最大140kgの軽量化を実現した
SLクラスのモデルチェンジは、いつでも物議を醸す。たいていは先読みのスタイリングが批評の的となるが、第六世代めの今回に限っていえば、それはない。従来のR230後期型のイメージを発展させ、よりシンプルな造形にしてきたからだ。すっきりと伸びるサイドラインは古典的ですらある。

話題の的は、むしろ中身だ。メルセデスの量産車としては初のフルアルミニウムボディ構造とした。サスペンションにもアルミを使う。

パワートレインも最新シリーズ。基本的にはCLSクラスあたりと同じエンジンラインナップで、350と550、そしてデリバリーは少し遅れるけれど、最強の63AMGを加えた計3グレード構成とした。そのほか、最新の安全標準装備や、フロントバスシステム、マジックビジョンコントロール、トランクハンズフリーアクセスといった以前の日本車なみの"おもてなし"装備も満載している。

乗り心地の"A B C"がつまってる

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低音スピーカーを前席足元に配置することで、ルーフ開閉に関わらず臨場感あふれる音響を実現させるFrontBassシステムを搭載する
すでに海外試乗会で550を堪能していたものだから、今回は350をじっくり乗ってみた。+90万円のAMGパッケージ付きで、これを選ぶとアクティブボディコントロール(ABC)がセットされる。550にはABCが標準で、その乗り心地は身体がとろけるかと思うほど、素晴らしかった。

日本で乗ったABC付き350もまた、とろけそうになった。ハナ先が軽いぶん、軽快に動くが、独特のまったりとした、懐深い乗り味は、基本的に550に近い。むしろ、自然吸気の健やかなフィーリングが、よくマッチしている。

確かに、パワー感でいうと物足りないと思う瞬間もあった。峠道を上っていくようなときだ。けれども、そんなことなどどうでもよくて、気持ちに余裕をもち、クルージングしていればいいじゃないか、と思わせるだけの乗り心地があった。この良さ、ガキには絶対に分からないと思う。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード SL550 BlueEFFICIENCY
全長×全幅×全高(mm) 4615×1875×1305
車両重量(kg) 1800
エンジン種類 V8DOHC+TURBO
総排気量(cc) 4663
最高出力[ps/rpm] 435/5250
最大トルク[Nm/rpm] 700/1800-3500
車両本体価格 1560万円
Tester/西川淳  Photo/向後一宏