基本性能は変わらない。しかしバランスは格段に向上した

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コンセプト

本来の魅力を求めてレクサスIS200に急接近

限られた全長で3ボックスセダンを作ろうとした場合、最も合理的な駆動レイアウトはFRだ。と、主張してやまないのは誰であろう伏木悦郎である。スタイリング、パッケージング、ハンドリングという、車の魅力を構成する3つのingを鼎立させながら商品性を追求することができる。

この点において、FR を超えるものはないであろう。とくにコンパクトになればなるほどその傾向はさらに強まってゆく。一般的に信じられている常識とは異なって、魅力的なセダンを作ろうと思ったらFR を選ぶべきである。心あるエンジニアは、すでにそのことに気づいている。

アルテッツァはFR の真価を理解するうえで重要な車だ。今回のマイナーチェンジはその質的向上に意が注がれている。
室内&荷室空間

RS200(6MT)用タコメーターに秘密あり

外観上の変更点は最小限にとどめられた。ラジエターグリルのデザインとHID ヘッドランプ、ヘッドランプクリーナー、LEDストップランプ内蔵リアスポイラーなどがオプション設定された程度だ。

室内はダッシュボードが黒とチタンカラーの2色から黒基調に変わり、それに黒とアイボリーの内装色(ファブリック 、本革/エクセーヌ、本革の設定)が合わされる。

インターフェイス回りで注目されるのは、本革ステアリングが一枚革巻きになったことと、RS200の6速MTモデルに採用された、もともとスピードメーターだった部分と入れ替わったセンタータコメーターだろうか。左に速度計が移動した分視認性を確保するため右には速度、燃費、航続距離が選べるデジタルメーターが追加された。
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ドライブフィール

旧型オーナーは断言する。真髄は4発6MTにある

G-LEVになった1G-FEは、直6ならではのスムーズな吹け上がりと官能を刺激する乗り味が魅力。パワーも必要十分のレベルにある。従来型RSオーナーの私としても心が動くところだが、日本向けのASは加速性が問われるニーズに合わせて減速比が4.300に低めてある。今回RSの6MTも同じ理由で4.300に低められたが、エンジンの許容回転数が低い分だけASは煮え切らなさが残る。

純粋に走りの魅力を味わいたければ、パワーとレスポンスで上回る4気筒のRSをオススメする。

今度のRSは、パワステやダンパー/スプリング/スタビの見直しで非常に洗練されたセットアップを探し当てた。最初からこの状態で登場していたら、トヨタのFR展開は全然違ったはずである。
こんな人にオススメ
RS200(6MT)のタコメーターは、昔のスミス製機械式メーターのような動きにカスタマイズできる。Lエディションに設定されるレザーシートや革巻きステアリング&シフトノブのタッチも雰囲気だ。体で車の楽しみを実感したいと思う大人に。
SPECIFICATIONS
グレード RS200 Lエディション
駆動方式 FR
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4400 x 1725 x 1410
ホイールベース(mm) 2670
車両重量(kg) 1370
乗車定員 5人
エンジン種類 水冷直列4 気筒DOHC
総排気量(cc) 1998
最高出力 154kW(210ps)/7600rpm
最大トルク 216N・m(22.0kg-m)/6400rpm
車両本体価格 277万円
写真:桜井健雄 文:伏木悦郎