・ドイツでは死亡や負傷事故につながる恐れのある追突の72%を回避可能
・Euro NCAP(ヨーロッパ新車アセスメントプログラム)の新しい格付けスキームがドライバー アシスタンス システムの普及を後押し
・ ボッシュは2014年に200万個以上のレーダー/ビデオ センサーの販売を予想


新車におけるドライバー アシスタンス システムの装備率


ドライバー アシスタンス システムは人命救助に大きく貢献します。なぜなら、長時間ハンドルを握り続けてきたドライバーに警告音やセンターコンソールに表示されるコーヒーカップの アイコンを通じて休憩を促すだけで十分なこともあるからです。ドイツで2013年に新規登録された295万台の乗用車のうち、ほぼ4分の1に当たる68万 台に、事故を引き起こす前にドライバーに疲労を警告するシステムが装備されていました。新車に装備されるドライバーアシスタンス機能の中で最も装備率が高 かったのが、この居眠り運転検知システムです。このことは、ボッシュが各セグメントの主要モデルについて実施した調査で明らかになりました。なお、調査は 2013年の新車登録統計に基づいて実施されました。

『姿の見えない同乗者』の重要性が次第に高まってきています。ボッシュのシャシーシステム コントロール事業部長を務めるゲルハルト・シュタイガー(Gerhard Steiger)はこう述べます。「交通事故の根絶を目指す『ビジョン・ゼロ』達成の道程において、ドライバー アシスタンス システムは非常に重要なステップとなります」。この目標はEuro NCAPの新しい格付けスキームにも反映され、衝突予知緊急ブレーキシステムや車線逸脱警報の装備を後押しすることになっています。そして、この種のアシ スタンスシステムに欠かせないセンサーの生産数量にもその効果が及んでいます。「ボッシュは、今年のレーダー/ビデオ センサーの販売が200万個を超え、昨年の2倍に達すると予想しています」(シュタイガー)。新車に装備されるアシスタンスシステムのうち、人気の高い6 つのシステムを、装備率の低い方から挙げると以下のようになります。

ACC(アダプティブ クルーズ コントロール)とACC Stop & Go – 新車全体の4%に装備

交通量が多い状況でもリラックスして運転: ACC(アダプティブ クルーズ コントロール)は通常、レーダーセンサーで機能し、交通量の多い状況でも前走車との間に事前設定した安全な車間距離を確保するシステムで、周囲の車の流れ に合わせて自動的に加減速を調整し、滑らかで低燃費な走りを可能にします。さらにStop & Go機能を装備したバージョンでは、渋滞時にシステムが自動的に減速し、状況に応じて完全に停車できるようになっています。オートマチックトランスミッ ション装備車の場合は、短時間の停車後に車列が再び動き始めると、ACC Stop & Goがエンジンを再始動させます。これによりドライバーは疲労を伴う運転操作から解放され、より長時間にわたり集中力を保てるようになります。2013年 にドイツで登録された新車のうち、ACCまたはACC Stop & Goを装備していた車両の割合は約4%でした。中距離レーダーセンサーのようなコストパフォーマンスの優れたセンサーを導入することで、小型車やコンパク トカーにもコスト的に無理なくACCやACC Stop & Goを取り入れられるよう、ボッシュはその普及に努めています。

標識認識システム – 新車全体の4%に装備

制限速度から追い越し禁止ゾーンまで、「道路標識のジャングル」を無理なく走り抜けるのに役立つ標識認識システムを装備していた車両は、2013年にドイ ツで新規登録された乗用車全体の約4%でした。このシステムはビデオカメラで道路標識を読み取り、対応する情報を、シンボルを使ってセンターコンソールに 表示します。この種のシステムは車両への固定取り付けが一般的ですが、ボッシュはスマートフォンさえあれば標識認識システムを利用できるソリューションも 開発しました。スマートフォンのカメラを使って道路標識を認識するアプリ「myDriveAssist」は、App StoreまたはGoogle Playで無料ダウンロードすることができます。(欧州の一部対象国の標識に対応)

レーンアシスト – 新車全体の10%に装備

レーンアシストは、2013年に新規登録された乗用車の約10%に装備されました。車線関連のアシストシステムは大きく3種類に分類することができます。 1つめは、意図せずに車両が車線から外れた場合にステアリングホイールの振動などで警告し、事故を未然に防ぐ車線逸脱警報です。2つめの車線維持支援シス テムは、機能がさらに一段と高度になり、車両が車線の片側に近寄りすぎると、システムが緩やかに、ただししっかりと反対方向に操舵力を加え、車両を車線内 に維持する支援をします。3つめの車線変更支援システムは、車両の横と斜め後方の状況をモニターし、別の車両が後方から高速で接近してくる場合や死角に別 の車両が存在する場合には、サイドミラー周辺に表示灯などを点灯させてドライバーに警告します。GIDAS(ドイツの交通事故データベース)は、意図しな い車線逸脱が原因で発生する事故の28%は、車線維持支援システムで防止できると結論づけています。

自動緊急ブレーキシステム – 新車全体の11%に装備

交通事故の中でも特に多いのが追突事故で、歩行者や自転車を巻き込むとさらに悲惨な結果を招きます。しかし、自動緊急ブレーキシステムがあれば、追突事故 の多くを回避でき、万一回避できなくても、事故の被害をある程度軽減することができます。システムが障害物に衝突する可能性を検知すると、緊急停止に向け てブレーキシステムを待機させ、ドライバーが何も反応しなければ、自動的にブレーキを操作します。2016年以降、Euro NCAPから最高評価の5つ星を獲得するには、こうした歩行者保護ブレーキシステムの装備が必要になります。このようにして、このシステムの有効性が広く 知られるようになってきました。ドイツの場合、すべての車両に自動緊急ブレーキシステムを装備すれば、死亡や負傷事故につながる可能性のある追突事故の 72%を防ぐことができると推定されています。なお、2013年の新車装備率は約11%でした。

インテリジェント ヘッドライト コントロール – 新車全体の20%に装備

インテリジェント ヘッドライト コントロールは、視界の改善と、他の道路利用者にとっての視認性の向上を目指すシステムで、夜間やトンネル内では、ヘッドライトアシスタントが必要に応じ て、自動的にロービームのオン/オフを切り替えます。システムが前走車と対向車がいないことを検知すれば、自動的にハイビームも点灯します(建物密集区域 走行時を除く)。インテリジェント ヘッドライト コントロール システムの機能はそれだけにとどまらず、ライトの向きを道なりに合わせて継続的に調整し、ロービームとハイビームの切り替えを連続的に行います。このよう にして、他の道路利用者の視界を妨げることなく、最善の照明効果が得られるようになっています。なお、2013年に新規登録された乗用車のインテリジェン ト ヘッドライト コントロール装備率は約20%でした。

居眠り運転検知システム – 新車全体の23%に装備

運転中の一瞬の居眠り、注意力の散漫や疲労は非常に危険で、多くの交通事故を引き起こす原因にもなっています。しかし、疲労し、集中力が低下すると、ステ アリング操作の精度が低下し、微修正する頻度が増加するため、そうした兆候を早い段階で検知することができます。ボッシュの居眠り運転検知システムは、ド ライバーのステアリングホイール操作を操舵角センサーや電動パワーステアリングで常時分析し、疲労時に観察される典型的パターンが現れていないかチェック するシステムです。急にわずかなステアリング操作があれば、システムはそれも検知し、他のデータ(それまでの運転時間や時間帯など)も考慮して、警戒が必 要となる疲労の兆候を特定します。その後、音や表示で警告を発し、ドライバーに居眠りをする前に休憩を取るよう促します。ドイツの場合、居眠り運転検知シ ステムの2013年の新車装備率は約23%でした。

自動車部品の最大手サプライヤーの1つであるボッシュは、あらゆる製品群におけるドライバー アシスタンス システムを手がけています。ボッシュはABS(アンチロック ブレーキ システム)とESC(エレクトロニック スタビリティ コントロール)の開発を通じて、交通事故の減少に寄与するソリューションの基礎を固めてきました。 また、このESCは自動運転実現の基礎技術にもなっています。センサーを通じて周囲の状況を検知し、それを認識する機能を車両に持たせ、センサーをさらに 高度化することにより、車両の「学習能力」をいっそう向上させることができます。ボッシュは、このために必要なレーダー/ビデオ センサーもかなり以前から提供してきました。そして最終的に、高性能なコンピューターが、アシスタンスシステムの反応をより早め、腕利きのドライバーにも 負けないような状況判断能力を持たせることを可能にしています。