トヨタ ランドクルーザー60(初代)▲ランクル60がディーゼルエンジンのおかげで人気になったのは事実だが、今では多くのエリアで乗ることができない。それなら……

ランクル×ディーゼルだけが正解とは限らない!

廃盤になってから何十年と経っても、中古車市場での人気が一向に衰えないモデルがある。ランドクルーザー60はそのひとつ。生産終了から今年で36年となるが、むしろ年月が経つほど魅力は唯一無二のものとなり、希少価値が増している。

ランクル60にはガソリン車の他にディーゼル車も設定されており、それも人気を押し上げた要因のひとつだった。オフロードを走るのにディーゼルエンジンの豊かなトルクは重宝し、なにより約2.5トンもある重い車を走らせるのにガソリンエンジンではあまりに燃費が悪かったからだ。

ディーゼル車の燃費も7~9km/L程度と現在の水準からすると良くはなかったが、ガソリン車に比べればかなりマシ。軽油の安さも財布を助けてくれた。ディーゼル車の設定がなかったランクル55/56の時代、「ランドクルーザー」といえば官公庁向け、あるいは一部の裕福な人のための車だったが、ランクル60はサラリーマンにまで門戸を広げてくれた。

ところが現在、一都三県や大阪、兵庫、愛知、三重などの都市部ではランクル60のディーゼル車を登録することができない。1992年に自動車NOx・PM法が制定されたからだ。さらに2003年のディーゼル車規制条例で、都市部に乗り入れることもできなくなった。

浄化装置を後付けし、排ガス検査を受けることで自動車NOx・PM法をクリアする方法もないことはないが、軽自動車1台買えそうなほど多額の追加費用が必要だ。それなら「ランクル60のディーゼルに代わる車」を探してみてはどうか? ランクル60がもっていた魅力を改めて分解し、それに匹敵するモデルを探してみた。
 

トヨタ ランドクルーザー60(初代) ▲ランクル60のディーゼル車にはワゴン登録モデルがなく、バン登録車のみだった。
 

代替案1|トヨタ ランドクルーザー60(初代)・ワゴン登録のガソリン車
想定予算:総額260万~570万円

ランクル60の魅力のうち、ディーゼルエンジンはほんのひとつにすぎない。だったらガソリン車に目を向けてみてはいかがだろう。前述の自動車NOx・PM法、ディーゼル車だけでなく、バン登録のガソリン車も対象となるが、ランクル60には「FJ62G」というワゴン登録のモデルがあった。

ワゴン登録のガソリン車なら、規制地域内でも問題なく登録することができるのだ。都市部への乗り入れも自由で、堂々と乗ることができる。
 

トヨタ ランドクルーザー60(初代) ▲後ろに長く伸びたリアオーバーハングは、高い荷役性の証し

ここで改めてランクル60の魅力を考えてみよう。他のランクル・シリーズ同様、悪路走破性や耐久性が高いことは言わずもがな。頑丈なラダーフレーム構造に前後リーフ・リジッド式サスペンション、副変速機といった本格オフローダーの要素はすべて備わっている。

そのうえで快適性や荷役性も兼ね備えていたのが、60の画期的なところだった。特にワゴン登録車はシート生地なども格段に豪華。本格四駆でありながら、レジャービークルの楽しさをもち合わせていた。
 

トヨタ ランドクルーザー60(初代) ▲インジェクター式となった4Lガソリンエンジンは静かで滑らかな加速フィール

ということで中古車市場のランクル60をサーチしてみると、全流通量約70台のうち、半分がガソリン車。その中でワゴン登録の物件は約20台だ。

「FJ62G」は1988年8月~1989年12月までのごくわずかな期間しか生産されなかったが、ランクル60唯一のワゴン車ということで人気が高い。価格帯は260万~570万円と幅広い。現存する「FJ62G」は希少。希望に近い物件が見つかったら素早く決断するのが良いだろう。
 

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トヨタ ランドクルーザー60(初代)×ワゴン登録・ガソリン車×全国
 

代替案2|トヨタ ランドクルーザープラド(4代目)・ディーゼル
想定予算:総額280万~580万円

それでも「ランクルといえばディーゼル」にこだわりたい人に。自動車NOx・PM法規制地域内では2002年以降、新車で買えるディーゼルのランクルが全滅となっていた。13年もの沈黙期間を経た2015年6月、ついに復活したのが4代目プラドに設定された2.8Lクリーンディーゼルターボだ。

この1GD-FTV型エンジン、排ガスがクリーンなだけでなく動力性能もすごい。トルクが太いだけでなく、吹け上がりもガソリンライクなパンチ力のあるもの。燃費性能も11.8km/Lと高い。まさに隔世の感あるディーゼルだった。

ボディサイズについてもワイド化されたランクル60と非常に近い。正直、乗り味についてはランクル60のおうようさはなく、デジタルで洗練された風味だが、そこは現代のランクルとして理解されたい。
 

ランドクルーザープラド(4代目)・ディーゼル ▲同じランクルでもプラドにバンの設定はなく、ワゴンのみ

中古車市場でもディーゼルは人気。1500台あまりあるプラド(4代目)全流通量のうち、約440台がディーゼル車だ。

ディーゼルが設定されたのは中期型以降だが、中期型は総額280万円~、フロントマスクが大幅に変更された2017年9月以降の後期型は総額340万円~が購入予算の目安となる。

価格の一例を挙げると、2017年式・後期型・走行距離4.6万kmの「TX ディーゼルターボ」で総額397.2万円。なお、2020年8月の変更でディーゼルエンジンに改良が施され、動力性能が大幅に高められている。
 

ランドクルーザープラド(4代目)・ディーゼル ▲「TX」グレードには3列シート車と2列シート車の設定があった

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ランドクルーザープラド(4代目)× ディーゼル×全国
 

代替案3|マツダ プロシードマービー(初代)
想定予算:総額130万~180万円

私が今あえてプロシードマービー(初代)を推す理由、それはランクル60に近いテイストをもっているからだ。ランクル60のスタイルが、当時北米で人気となっていたトラック派生型SUVを意識したものであることは疑いようがない。

プロシードマービー(初代)もピックアップをベースとして開発された車。登場したのは1991年ですでにランクル60が生産終了した後だったが、ベースの設計は1980年代で、当時から“ちょっとレトロ”な雰囲気をもっていた。ランクル60に惹かれる人なら、プロシードマービー(初代)の雰囲気にもシンパシーを感じられるのではないだろうか?

マツダ プロシードマービー(初代) ▲プロシードマービー(初代)は1990年代初頭の四駆ブームに乗って生まれた車だ

プロシードマービー(初代)の魅力は何といっても長大な荷室。オーバーフェンダーを含めた全幅(後期型)はランクル60の標準ボディとほぼ一緒なのに、全長は5m近い。そのため2列目シートを折りたたむと荷室長2m以上の広大な空間が生まれる。ロングボードなど遊びのギアを載せるのにぴったりだ。

搭載されたエンジンは凡庸な2.6Lガソリン(1996年3月に2.5Lへと変更)。駆動方式もランクル60と同じ古典的なパートタイム式で、メカニズムはシンプルそのもの。そのあたりも懐古趣味を刺激されるところだろう。

マツダ プロシードマービー(初代) ▲インパネのデザインもレトロ。デビュー時にATの設定はなく、1992年4月に追加された

中古車市場におけるプロシードマービー(初代)の流通台数は10台前後と決して多くないが、現行車当時の人気を考えると驚異的な生存率とも言える。多くは1996年3月以降の後期型だ。

例えば、1996年式・走行距離6.7万kmの物件なら総額148万円。ランクルのように中古車価格が高騰していないのも魅力だ。
 

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代替案4|トヨタ ハイラックス(7代目)
想定予算:総額350万~600万円

ピックアップじゃランクル60と車のタイプが全然違うじゃん、と言うなかれ。ハイラックス(7代目)をオススメするのには理由がある。

第一に、ハイラックス(7代目)はランクルのように、マルチに使える車であること。どんな所にも入っていける悪路走破性の高さは、ランクルにも決して劣らないもの。全長は長めだけれど、全幅は1855mmとランクル60のワイドボディ車に近く、比較的コンパクトなところも嬉しい。林道走行などでも困ることはないだろう。
 

トヨタ ハイラックス(7代目) ▲リアサスペンションはリーフ・リジッド式で重量物を載せても安心

日本に導入されているのはダブルキャブなので、きちんと5人乗ることができる。荷台に屋根はなく、雨が降ると荷物が濡れてしまうので、気になる方は純正品または社外品のトノカバーを利用しよう。

第二にディーゼル車であること。日本での長い販売休止期間を抜け、復活したハイラックス(7代目)には2.4Lクリーンディーゼルターボが搭載されている。重い荷物を積載したときのトルク感はディーゼル特有のものだし、登坂時などにも扱いやすい。もちろん最新のディーゼルエンジンだけあってWLTCモード燃費も11.7km/Lと優秀だ。
 

トヨタ ハイラックス(7代目) ▲最大500kgの荷物を積めるデッキ。一部グレードには先進的な運転支援機能も備わる

中古車市場での流通台数が500台以上と豊富なのも魅力。ちなみにハイラックス(7代目)は2020年8月にフロントマスクの変更を含む大規模な変更が行われて後期型となった。中古車市場に流通している物件のおよそ6割が後期型だ。

価格の一例を挙げると2022年式・走行距離1.7万kmの「Z」で総額351.8万円。新車当時よりも約36万円安く手に入る。本家のランクルが大型化&高級化した現在、ハイラックス(7代目)はちょうど良い相棒になってくれそうだ。
 

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代替案5|ボルボ 240エステート(初代)
想定予算:総額120万~400万円

ランクル60のノスタルジックな雰囲気に惹かれているなら、目線を変えてこんなチョイスもあり!?

四駆ブームの到来を目前に控えていたランクル60の現役当時、ひそかな人気となっていたカテゴリーがあった。ボルボの240エステートに代表される欧州製ステーションワゴンだ。

当時の国産車はまだステーションワゴンブームの到来前で、このタイプの車といえばビジネスバンしかなかった。そこに欧州のエステートが上陸してインパクトをもたらしたというわけ。

240エステートは1974年に登場。実はランクル60よりもだいぶ先輩だったりする。1979年にはヘッドライトを丸目から角目へと変更。お馴染みのデザインとなり、1993年12月まで生産された。レンガを積み重ねたような真四角なフォルムは今見ると新鮮。どことなくランクル60とも似ているような……。

ボルボを世界的有名ブランドにしたのは安全性の高さと、使い勝手の良さだ。車内空間はまるで家の応接間にいるかのような温かさがある。
 

ボルボ 240エステート(初代) ▲乗り味についても見た目から想像するとおり、ふんわりのんびりしたもの

ネオクラシック人気の中、中古車市場には今も60台近い240エステートが流通している。多くはボルボの日本法人が設立された1986年以降の物件だ。

中古車平均価格は210万円前後となっている。年式が古いだけに走行距離15万kmを超えている物件がほとんど。メンテンナンスの面倒も見てくれる店舗で購入するのが良いだろう。
 

ボルボ 240エステート(初代) ▲この年式ともなるとシート生地や天井の張り替えは必然。メンテ費用がかかることも想定しておきたい

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ボルボ 240エステート(初代)×全国

※記事内の情報は2025年3月12日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ、マツダ、篠原晃一、ボルボ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。