Aクラスセダン ▲圧倒的な人気を誇るだけではなく「圧倒的な諸性能」も誇る現行型ホンダ シビックタイプRですが、その中古車平均価格は600万円以上。さすがにその金額はちょっと厳しいということで、その3分の1ぐらいで買える「現行型シビック タイプと似たようなモデル」を探してみることにしましょう!

中古車平均化価格は新車価格よりも高い約610万円

2022年9月に登場した「FL5」こと現行型ホンダ シビックタイプR。最高出力330ps/最大トルク420N・mの2L直4直噴ターボエンジンにレブマッチング付き6MTを組み合わせ、緻密に設定されたECUマッチングや四輪独立電子制御ダンパー「アダプティブ・ダンパー・システム」などにより、「まるで足裏に吸いつくようなアクセルワーク」が可能となっている素晴らしい1台です。

そんな素晴らしい現行型シビックタイプRですが、直近の中古車平均価格は新車価格(499.73万円)よりも大幅に高い約610万円となっています。

さすがにその金額は少々厳しいということで、「現行型シビックタイプRが欲しいのはやまやまだが……」というニュアンスで購入を断念した人も多いのではないかと推測します。
 

Aクラスセダン▲現行型ホンダ シビックタイプRのコックピット。「究極のシフトフィール」を目指し、6MTのシフトレバー構造も新設計された
 

しかし、世の中には「中古車マーケット」という便利なものがあります。中古車マーケットを丹念にチェックしてみれば、もしかしたら「現行型シビックタイプRの3分の1程度の予算で、FL5に近いレベルの満足が得られる1台」は存在しているかもしれません。

現時点で“それ”が見つかるかどうかは不明です。しかしとにかく探すしかありませんので、ご一緒に「現行型シビックタイプRの3分の1程度の予算で、FL5に近いレベルの満足が得られる1台」を探してみることにしましょう!
 

Aクラスセダン
 

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ホンダ シビックタイプR(現行型・6代目) × 全国
 

現行型シビックタイプRの代わり①|ホンダ シビックタイプRユーロ(初代)
→予算目安:総額150万~230万円

ホンダ シビックタイプRの中古車は、現行型は言うに及ばず、先代や先々代であってもなかなか高額です。しかし2009年から2010年にかけて断続的に限定発売された「タイプRユーロ」であれば、現行型FL5の3分の1またはそれ以下の予算で入手可能です。
 

Aクラスセダン▲英国製のシビックタイプRを逆輸入した「ホンダ シビックタイプRユーロ」
 

ホンダ シビックタイプRユーロは、欧州市場向けの8代目シビックをベースに英国工場で生産されたホットハッチ。日本へは逆輸入の形で2009年11月に上陸しました。ボディサイズは全長4270mm×全幅1785mm×全高1445mmで、パワーユニットは最高出力201psのK20A型2L直4 DOHC i-VTEC。トランスミッションは6MTのみです。

当然ながらエンジンパワーはターボ車であるFL5の330psに遠く及びませんが、NSX製法ヘッドポート処理や吸排気抵抗の低減、吸排気系やバルブタイミングの最適化などにより、そのフィーリングはきわめて痛快。5000rpm台の半ばでVTECのカムが高速側に切り替わってからは一気呵成の吹け上がりとなり、最高出力を発揮する7800rpmの手前でさらにもうひと伸びするという、超絶快感ユニットです。

乗り心地は、ユーロとはいえ「タイプR」ですので当然ながら硬めですが、同世代の国内版シビックタイプRと比べればいくぶんマイルドであるため、「大人な乗り味」へと進化した現行型FL5に若干通じる部分はあるかもしれません。
 

Aクラスセダン▲インパネのデザインは「スペースシップをイメージした」というもの。扇型の面にi-VTEC/REVインジケーターや各種操作ボタンが配置されている
 

限定発売時はあっという間に売り切れてしまったタイプRユーロですが、現在は中古車市場にて60台ほどが流通中。コンディションも中古車価格も物件により様々ですが、総額おおむね200万円前後にて、まずまず悪くない1台を確実に見つけられるでしょう。
 

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ホンダ シビックタイプRユーロ(初代) × 全国
 

現行型シビックタイプRの代わり②|ルノー メガーヌ R.S.(旧型・3代目)
→予算目安:総額160万~230万円

輸入車でもOKということであれば、これこそが「シビックタイプRの代わり」になり得るでしょう。歴代シビックタイプRと「市販FF車世界最速」の座を激しく競い合ってきたフレンチホットハッチです。
 

Aクラスセダン▲こちらが先代ルノー メガーヌR.S.。写真は2014年6月以降の後期型
 

日本では2011年から2017年まで販売された先代のルノー メガーヌ R.S.は、全長4320mm×全幅1850mm×全高1435mmの3ドアボディに最高出力250ps(※当初)の2L直4ターボエンジンを組み合わせた6MTのホットハッチ。駆動方式はシビックタイプRと同様に前輪駆動です。

車体はルノーが「カップシャシー」と呼ぶ、スポーツ走行を前提に路面追従性を追求したもので、高剛性なアンチロールバーや専用フロントサスペンション(ダブルアクスルストラットサスペンション)、LSDなどが備わっています。またブレーキディスクは前後ともブレンボ製で、ブレーキキャリパーもフロント側はブレンボ製となります。

2012年7月にはマイナーチェンジを行ってエンジンの最高出力を265psとし、ハンドル位置を左から右に変更。また2014年6月には二度目のマイナーチェンジを実施し、フロントマスクのデザインを一新しました。
 

Aクラスセダン▲2012年途中から右ハンドルに変更。トランスミッションは引き続き6MTだ
 

総額100万円台後半の予算であれば前期型の良質物件が、そして総額200万円ちょいの予算であれば後期型や、後期型の各種限定車、そして最終限定車の「273ファイナルエディション」も狙うことができます。
 

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ルノー メガーヌ(旧型・3代目) × R.S. × 全国
 

現行型シビックタイプRの代わり③|ルノー メガーヌ R.S.(現行型・4代目)
→予算目安:総額250万~340万円

先代のルノー メガーヌR.S.は本当に素晴らしいホットハッチであるため(※筆者も乗ってました)、「シビックタイプRの代わり」としてまったく不足のない1台であると確信しています。しかし「現行FL5の代わり」として考える場合には、さすがに年式と設計の古さは若干気になるかもしれません。

であるならば――若干予算オーバーにはなってしまうのですが、先代ではなく現行型のルノー メガーヌR.S.でどうでしょうか?
 

Aクラスセダン▲2018年8月に発売された現行型ルノー メガーヌR.S.
 

2018年8月に上陸した現行型ルノー メガーヌR.S.は、全長4410mm×全幅1875mm×全高1435mmの5ドアハッチバックボディに、最高出力279ps/最大トルク390N・mの1.8L直4直噴ターボエンジンを搭載する高性能モデル。トランスミッションは、大トルクエンジンに対応するためルノースポールとゲトラグが新たに開発した6速DCT(6EDC)。左側のパドルを引き続けると、最適なギアまで自動でシフトダウンする「マルチシフトダウン」機能も備わっています。

またその他にも、素早い発進加速を可能にする「ローンチコントロール」や、5つの走行モードからスポーツモードとレースモードを直接呼び出せる「R.S.ドライブボタン」などを搭載し、四輪操舵の「4コントロール」や「HCC」も標準装備。一般道からサーキットまでの幅広いシーンで、FL5型ホンダ シビックタイプRに匹敵するレベルの走りを堪能できるでしょう。
 

Aクラスセダン▲7インチディスプレイを採用したマルチメディア「イージーリンク」が印象的な現行型メガーヌR.S.のコックピット。トランスミッションはダブルクラッチ式の「6EDC」
 

とはいえ中古車価格は「FL5の3分の1」ではなく「半額ぐらい」になってしまいますし、トランスミッションも古典的な6MTではなく6速DCTになるのですが、もしもそこが許容できるのであれば、きわめて高いレベルで「現行型シビックタイプRの代わり」として機能するはずです。
 

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ルノー メガーヌ(現行型・4代目) × R.S. × 全国
 

現行型シビックタイプRの代わり④|フォルクスワーゲン ゴルフ R(旧型・7代目)
→予算目安:総額200万~260万円

駆動方式はホンダ シビックタイプRやルノー メガーヌR.S.と違いフルタイム4WDになってしまいますが、「史上最強のゴルフ」として2014年2月に上陸した7代目(先代)フォルクスワーゲン ゴルフの「R」も、3分の1の予算にてFL5の代わりになり得る存在です。
 

Aクラスセダン▲最高出力280ps(後期型は310ps)の2L直4ターボエンジンと4MOTION(フルタイム4WD)を採用した先代フォルクスワーゲン ゴルフR
 

全長4275mm×全幅1800mm×全高1465mmの5ドアハッチバックボディに搭載される2L直4ターボエンジンは、当初は最高出力280psをマーク。2017年5月のマイナーチェンジ後は同310psを発生するに至っています。

これに組み合わされるトランスミッションは6速DCT(DSG)が基本ですが、2015年6月には6MTも追加し、後期型のDSGは7速に。そしてデビュー当初から、空転するタイヤの反対側タイヤの駆動力を確保する「EDS」や、高速コーナーでアンダーステアを抑制する「XDS」、可変ギアレシオステアリングシステム「プログレッシブステアリング」などが標準装備です。

また電子制御ダンパーの減衰力やスロットルレスポンス、トランスミッションの変速プログラムなどを切り替えできる制御システム「DCC」も標準で、さらにESPへの介入を遅らせることができる「ESP Sport」モードも備わっています。
 

Aクラスセダン▲ゴルフRの運転席まわり。ドライビングプロファイル機能には「コンフォート」「ノーマル」「レース」「エコ」「カスタム」の5モードが用意されている
 

マイナーチェンジ後の310ps版は総額280万円以上となってしまうのが一般的ですが、280psの前期型で良しとするのであれば総額230万円前後にて、まずまず悪くない1台が普通に見つかるはず。「FL5の3分の1」と言うには若干ながら予算オーバーかもしれませんが、先代ゴルフRは予算をちょい足しするに値する、超高性能かつ実用的でもある1台です。MT車の流通量は少なめですが、それでも「6MTを選ぶこともできる!」という部分において、現行型シビックタイプRの代わりとしての資格は十分であると考えられます。
 

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フォルクスワーゲン ゴルフ(旧型・7代目) × Rグレード × 全国
 

現行型シビックタイプRの代わり⑤|BMW 1シリーズ M135i(2代目/F20型)
→予算目安:総額160万~210万円

これまた駆動方式はシビックタイプRのFFとは異なるFR(後輪駆動)ですが、動力性能の強烈さとハンドリング性能の痛快さという部分においては、現行型ホンダ シビックタイプRに近いレベルで満足できる可能性があります。
 

Aクラスセダン▲こちらが先々代BMW 1シリーズの高性能グレード「M135i」
 

2代目BMW 1シリーズ(F20)の高性能グレードである「M135i」は、M3やM5などハイパフォーマンスモデルの開発を手がけるBMW M社がチューニングした「Mパフォーマンス」と呼ばれるモデルラインの第1弾として2012年に登場。パワーユニットは、当時のBMW 1シリーズの中では最もパワフルな最高出力320psを発生する3L直6ターボ。トランスミッションは8速ATで、0-100km/h加速を4.9秒でこなす俊足ぶりを誇る1台です。

そしてパワフルな直6ターボエンジンだけでなく、専用チューニングされた「アダプティブMサスペンション」や、対向ピストン式のブレーキキャリパーを前後に備えた「Mスポーツブレーキ」も、この車の見どころ。そしてブレーキを効率良く冷却するためのエアインテークを備えたフロントバンパーや、専用デザインの18インチアルミホイール、ヘキサゴンクロスとアルカンターラのスポーツシートなどのスポーティな内外装も、オーナーの満足度をアップさせる要因です。

「1シリーズの小さなボディに320psの3L直6ターボを詰め込んだ」と聞くと、かなりハードな乗り心地をイメージするかもしれませんが、M135iはさにあらず。タウンスピードにおける乗り心地はきわめて快適かつしなやかで、それでいて速度を上げていっても、可変制御ダンパーである「アダプティブMサスペンション」が車体をピタリと安定させます。
 

Aクラスセダン▲この時代のBMW各シリーズと共通するデザインイメージとなるコックピット。トランスミッションは8速AT
 

流通量が少ないのが玉にキズではありますが、もしも総額200万円前後でコンディションと整備履歴が良好な1台を見つけられたなら、「FL5の3分の1で買える代替案」としては相当高いレベルで満足できるはずです。
 

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BMW 1シリーズ(2代目/F20型) × M135i × 全国
文/伊達軍曹 写真/ホンダ、ルノー、フォルクスワーゲン、BMW、篠原晃一

※本記事は、2025年2月4日に公開した内容の一部に誤りがあった点を、2025年2月7日に修正し再公開したものとなります。大変失礼いたしました

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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