CX-80 ▲「ちゃんと座れる3列シートSUV」が欲しい人にとっては待望の1台といえるマツダ CX-80ですが、なぜかなかなか発売されません。こうなったらもう「CX-80の代わりになる3列シートSUV」をとっとと買っちゃった方がいいのかも? ということで、注目すべき3列シートSUVをピックアップしてみることにしましょう!(※写真はマツダ CX-80の欧州仕様)

待望のCX-80だが、実車のデリバリーはずいぶん先になる?

マツダ CX-80。マツダの「ラージサイズ商品群」第4弾となる最新世代の3列シートSUVであり、そろそろ発売される予定の注目モデルである。

世の中に3列シートSUV自体は数多く存在しているが、3列目にも大人がマトモに座れるモデルはきわめて少ない。そのため欧州仕様の場合で全長4995mm×全幅1890mm×全高1710mmとなるCX-80は、日本全国の「ちゃんと座れる3列シートSUVを求めている層」から登場を心待ちにされているわけだが――これがなかなか発売されない。

いちおう2024年中には発売される予定とのことだが、実際の納車はずいぶん先になるはずであり、その中古車がお得な価格で市場に現れるのは、さらに先のタイミングとなるだろう。

であるならばマツダ CX-80についてはスパッとあきらめるというか、考え方の方向性を変えて「CX-80の代わりになり得る3列シートSUVの即納中古車を、今すぐサクッと購入する」とした方が、人生のクオリティは向上するのではないだろうか?

とりあえず、「CX-80の代わりになり得そうな3列シートSUV」をピックアップしてみることにしよう。
 

 

候補①|マツダ CX-8(初代)
→想定予算:総額420万円~

CX-80の代わりとして十分に機能するだろう3列シートSUVといえば、まずはCX-8が筆頭だ。

2017年9月から2023年12月まで生産された、マツダの3列シートSUVである。
 

CX-80▲こちらがマツダ CX-8。写真は最終世代の最上級グレードである「エクスクルーシブモード」
CX-80▲超快適な2列目だけでなく、3列目もごく普通に使えてしまうのがCX-8というSUVのすごいところ
 

前述のとおり3列シートSUVの3列目は「申し訳程度」というか「あくまでも緊急用」といったニュアンスである場合が多いのだが、CX-8のそれは違う。全長4925mm×全幅1845mm×全高1730mmという、CX-80の欧州仕様にほぼ遜色ないサイズのボディに仕込まれた3列目シートは「本当に使えるモノ」だ。

車両のアーキテクチャーは2列5人乗りの「CX-5」と共通だが、ロングホイールベース化により2列目のスペースはとにかく広く、そして3列目も、SUVとしては十分な広さ。そしてそんな3列目シートをたたんでしまえば、一般的なSUVとは比較にならないほど広大なラゲージスペースも獲得できる。

そんなマツダ CX-8も、初期年式だとさすがに「CX-80の代わり」として見た場合には古さを感じそうだが、2022年11月以降の最終世代で、なおかつ上級グレードに属するモノであれば「CX-80の代わり」として十分以上。もしかしたら、「いろいろ熟成されてるから、CX-80以上にイイ!」という結果になる可能性すらある。

2023年式マツダ CX-8の上位グレードを狙う場合の予算目安は「ブラックトーンエディション」が総額420万円~で、「スポーツアピアランス」が460万円~、最上級の「エクスクルーシブモード」が480万円~といったイメージである。
 

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マツダ CX-8(初代) × 全国
 

候補②|レクサス RX450hL(2代目)
→想定予算:総額460万円~

正直、マツダ CX-8以外には「3列目にも大人がマトモに座れるSUV」というのはなかなか見当たらない。

だが、そんな中でも先代にあたる2代目レクサス RXの3列シート版である「450hL」は、相対的に見ればまずまず快適とは言える。
 

CX-80▲2代目レクサス RXをロングボディ化して3列7人乗りとした「450hL」というグレード
CX-80▲450hLの3列目はこのような感じ。さほど広くはないが、まずまず使える空間ではある

450hLは先代RXに途中から追加された、電動格納式のサードシートを採用した3列7人乗りのロングモデルで、ボディサイズは全長5000mm×全幅1895mm×全高1725mm。ノーマル版(5人乗り)の全長が4890mmなので110mmストレッチされたことになり、室内長は545mm延長されている。

パワーユニットは3.5L V6を中心とするハイブリッドシステムで、システム最高出力は313ps。動力性能は十分だ。
 

CX-80▲2019年8月以降の後期型。デザインの変更、3列目シートの快適性向上がはかられている

とはいえ3列目は決して広くはなく、比較的窮屈ではある。しかし、3列目シートの作りがしっかりしているため、座り心地自体は悪くない。3列目をひんぱんに使うユーザーには向かないかもしれないが、「たまに使う(普段は格納しておく)」というユーザーであれば悪くない選択だ。

2019年8月のマイナーチェンジで3列目の居住性が改善されたので、買うならそれ以降の世代がオススメとなる。
 

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レクサス RX 450hL(2代目) × 全国
 

候補③|トヨタ ランドクルーザー200(初代)
→想定予算:総額480万円~

ランドクルーザー200はトヨタ製ラージサイズ・プレミアムSUVの、1つ前の世代にあたるモデル。

こちらの3列シート/8人乗り仕様もマツダ CX-8の3列目ほど快適なわけではないのだが、相対的には優秀な部類に入る。
 

CX-80▲ランドクルーザー200は、プレミアムSUVであると同時に本格オフローダーでもある「トヨタ ランドクルーザー」の先代モデルだ
CX-80▲床面が高いため乗降性はさほど良好ではないが、3列目の空間的余裕自体はまずまず

ボディサイズは全長4950mm×全幅1980mm×全高1880mmと十分だが、オフロードSUVゆえに室内の床面が高く、高さ方向のゆとりはやや不足気味。しかし、さすがにそれなり以上のボディサイズおよび室内サイズであるため、そこそこの身長の成人がフル乗車しても、ある程度の余裕は感じられる。

中古車は総額250万円付近から探せるが、前期型だとさすがに今や古さも感じさせる。これから買うのであれば、内外装デザインと安全装備が大幅に強化された2015年8月以降の後期型がオススメ。その場合の中古車価格は総額480万円~が目安となるだろう。
 

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トヨタ ランドクルーザー200(初代) × 全国
 

候補④|ジープ コマンダー(2代目)
→想定予算:総額480万円~

現行型のジープ コマンダー(2代目)は、2022年10月に上陸した全長4770mm×全幅1860mm×全高1730mmとなる3列シート/7人乗りのミッドサイズSUV。

同ブランドのコンパクトSUVであるコンパスとフラッグシップSUVのグランドチェロキーの中間に位置するモデルだ。パワーユニットは最高出力170ps/最大トルク350N・mの2L直4ディーゼルターボで、トランスミッションは9速AT。
 

CX-80▲ジープ コマンダーは、大ロングセラーだったチェロキーの後継にあたる中型SUV
CX-80▲コマンダーの車内はおおむねこのようなニュアンス。「たまに3列目も使う」というようなユーザーであれば、大きな問題はないはず

シートは前方から2座+3座+2座の3列7人乗りレイアウトで、それぞれのシートにリクライニング機能が備わっている。その3列目空間は「ミッドサイズSUVとしてはまあまあ広い方」と言えるもの。座面が平面であるため長時間座りたいタイプではないが、大人が座っても、とりあえずヒザ元や頭上には若干の余裕がある。「3列目シートをひんぱんに使用するわけではない」というタイプのユーザーであれば、わりと普通に使えるはずだ。

中古車価格は総額480万~590万円といったところだが、具体的な狙い目は「総額500万円前後」ぐらいのゾーンになるだろう。
 

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候補⑤|トヨタ アルファード(3代目)
→想定予算:総額310万円~

ここまでにマツダ CX-8を含む4車種を挙げてきたわけだが、我ながらどうにも歯切れが良くない。「悪くない」とか「使えなくはない」的な表現に終始してしまっているわけだ。

冒頭付近でもわりとハッキリ申し上げたが、「3列目シートを日常的にガンガン使いたい」と考えるのであれば、基本的には「マツダ CX-8の中古車を買う。あるいはCX-80の発売を待って注文を入れる」以外の選択肢はない。

もちろんここまでに挙げてきたレクサス RX 450hLもランクル200も、そしてジープ コマンダーも「たまに3列目を使う」という使用法であればバリバリに便利だ。しかし、「日常的に3列目シートを使う」というテーマにはそぐわないのである。

だが、ここでふと思ったのは「……なぜ私は“SUV”にこだわってピックアップしているのだろうか?」ということだ。

つまり「3列目に広さを求めるなら“ミニバン”でもいいんじゃないですか?」ということである。

もちろんこんなことを言い出すと、この企画自体が破綻してしまうわけだが、「快適に座れる3列目シートを求める」という主題に対して真摯に向き合うのであれば、CX-8以外のSUVは選択肢から排除するしかない。そして「ミニバン」をオススメするしかないのだ。

……で、どんなミニバンであれば快適な「3列目生活」が送れるかといえば、やはり筆頭格はトヨタ アルファードだろう。5ナンバー級ミニバンの3列目も決して悪くはないが、アルファードのサイズ感がもたらす広さと快適性には到底かなわない
 

CX-80▲こちらがご存じ先代トヨタ アルファード。写真のグレードは「エグゼクティブラウンジ」
CX-80▲2列目が超快適なのは言わずもがなだが、3列目もさすがに広い!

できれば最新の現行型アルファードを手に入れたいところだが、新車はモノがなく、中古車も果てしなく高いので「先代の後期型(2018年式以降)」ということで手を打ちたい。先代であってもあの車の快適性は驚異的であり、後期型であればビジュアル的にもまあまあイケている。そしてその場合の中古車価格は総額310万円~が目安。

何かと毀誉褒貶も激しいアルファードであり、「自分はミニバンではなくSUVの方が……」と思う人も多いかもしれない。だがあの快適さは一度体験するとクセになるほど素晴らしいため、まずは虚心坦懐なゼロベース思考で、先代トヨタ アルファードという3列シート車のことを今一度チェックしてみてほしい。
 

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トヨタ アルファード(3代目) ×2018年1月~ × 全国
文/伊達軍曹 写真/マツダ、篠原晃一、レクサス、ジープ、トヨタ

※記事内に誤った情報が含まれていたため(CX-80の全幅数値)、2024年8月20日に修正いたしました。お詫びして訂正いたします。

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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