三菱 アウトランダーPHEVの中古車価格が1年で約60万円ダウンして200万円を切った! 注目の人気国産SUV、今オススメの選び方は?
カテゴリー: 特選車
タグ: 三菱 / SUV / プラグインハイブリッド / フルタイム4WD / アウトランダーPHEV / 田端邦彦
2024/07/28
昨年同月比との比較で平均価格は60万円近くもダウン
アウトランダーPHEV(初代)は、国産SUVで初めて、乗用車を含めても2番目にプラグインハイブリッドを採用したモデルだ。
そんな先進性とちちょうど良いサイズ感、三菱らしい凝った4WDシステム、どことなく欧州車をイメージさせるスマートな外観といった魅力は、現行アウトランダーにバトンタッチして3年経った今も健在。中古車市場でも人気の1台となっている。
そんなアウトランダーPHEV(初代)、生産終了後も中古車平均価格は極端に落ちることなく推移してきたが、今年に入ってから下落傾向に。2024年6月の中古車平均価格は前年同月比で59.3万円も下がった。
アウトランダーPHEV(初代)を狙うなら、今がチャンスかも。ということで今回は、今アウトランダーPHEV(初代)を中古で探すにはどの年式やグレードを選ぶべきなのか、ニーズごとに考えてみたい。
1. モデル概要:PHEVの先駆者にして完成されていた!
まずはアウトランダーPHEV(初代)について、ざっくりおさらいしておこう。
アウトランダーPHEV(初代)は、PHEV専用モデルとして2代目アウトランダーから独立したモデルだ。アウトランダーが2代目へとフルモデルチェンジした直後の2012年12月に登場した。
外観はガソリン車と共通の基本デザインとしながらも、フロントグリルの形状やリアコンブランプのLED化によってPHEVであることをアピール。前期型のフロントマスクはヘッドライトとグリルが一直線に連なる、シンプルなものだった。詳しくは後述するが、アウトランダーPHEV(初代)のフロントマスクは2015年7月のマイナーチェンジで、それまでとは全くイメージの異なるものに一新されている。
全長4655~4695mm、全幅1800~1810mmと現行のミドルクラスSUVと比較するとコンパクトで、取りまわしが良いのも特徴だ。乗車定員は5名。なお、ガソリン車にあった3列シート7人乗りの設定は、PHEVにはなかった。
技術的なハイライトは何といっても先進的なプラグイン・ハイブリッドシステムだろう。前輪を2Lガソリンエンジン(後期型では2.4Lガソリンエンジンに変更)とモーターで、後輪をモーターで駆動する「ツインモーター4WD」が採用され、四輪の駆動力を制御する「S-AWC」が組み合わされた。
エンジンは発電に特化し、登坂路や高速走行でのみ駆動力に介入するタイプ。その走りはほとんどピュアEVと変わらず、スムーズかつトルクフルだ。コンパクトかつ比較的軽量なボディと相まって、キビキビした走りが堪能できる。バッテリーへの充電は走行による回生エネルギー、または充電によって行われ、蓄えた電力を家庭用電源としても利用できるV2Hにも対応している。
アウトランダーPHEV(初代)に設定された主なグレードは下記のとおり。
「E」(2012年12月~2015年6月):前期型での廉価グレード。
「M」(2015年7月~2021年12月):後期型での廉価グレード。
「G」:LEDフォグランプやステアリングヒーターなど機能装備が充実したグレード。装備内容を抑えて求めやすい価格とした「セーフティパッケージ」、カーナビ標準装備の「ナビパッケージ」、豪華装備の「プレミアムパッケージ」などが設定された。
「S エディション」(2017年2月~2021年12月):ビルシュタイン製ショックアブソーバーなどが備わるスポーティ・グレード。
新車当時、圧倒的人気だったのは「G」グレードで、廉価グレードについては受注生産だった。なお、「E」「M」や前期型「G」の一部には衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備「e-Assist」が装備されていない仕様もあったので、安全性能を重視する人は中古車選びの際に注意されたい。
アウトランダーPHEV(初代)は9年という長いモデルライフの中で、何度もマイナーチェンジが実施され、ハイブリッドシステムもアップグレードされていった。主な変更は下記のとおり。
■2014年5月:フロントバンパー下部にスキッドプレートを追加。運転席・助手席シートヒーターを標準装備。
■2015年7月:新デザインコンセプト「ダイナミックシールド」に基づいて、フロントまわりのデザインを一新。誤発進抑制機能をオプション設定。ステアリングヒーターを標準装備。サスペンション剛性向上、燃費向上。これまでの「E」グレードに代えて「M」グレードを追加。
■2017年2月:ハイブリッドEVシステムを改良し、加速性能を向上。新グレードとして「S エディション」を追加。
■2018年8月:これまでの2Lガソリンエンジンに代えて、2.4Lガソリンエンジンを搭載。駆動用バッテリーを変更し、最高出力・最大トルク・航続距離ともに向上。「S-AWC」に、新たに2つのドライブモード「SNOW」と「SPORT」を追加。ヘッドライト内部、フロントグリル、スキッドプレートなどのデザインを変更。
外観の変更は2015年7月のマイナーチェンジが最も大規模な内容で、この期を境に前期型、後期型と分けることが多い。
2.価格状況&考察:車検のタイミングで手放す人が増えたため?
アウトランダーPHEV(初代)の中古車市場流通台数は300台前後。PHEV専用車種としては多めと言っていいだろう。潤沢というほどではないが、これだけあれば希望の年式を選びやすい。グレードについては中古車市場に流通している物件のほとんどが「G」のパッケージ車だ。
そうした状況を踏まえたうえで、なぜ今年に入ってから、中古車平均価格が下落傾向になっているのか、その理由を推測してみよう。ヒントのひとつは年式ごとの分布にありそう……。
年式別で最も多いのは後期型への変更直後である2015年式。続いて多いのはエンジンが2Lから2.4Lへと変更され、ハイブリッドシステムも一新された2018~2019年式となっている。
一般的に初度登録から3年、5年、7年、9年と車検のタイミングを前に車を手放す人が多く、中古車市場への供給量が増えて価格が下落しやすい傾向がある。最もボリュームの多い2015年式については初度登録から9年が経過し、そろそろ10年を超えるタイミングであること、次いでボリュームの多い2018~2019年式あたりも2度目の車検を前に手放す人が増え、供給量が増えたこと……そのあたりが中古車平均価格下落の主な要因と推測できる。
ざっくり言うなら経年による中古車相場下落、という一般的な現象ということだ。メカニカルなトラブルなど評価が下がったわけではないため、安心して中古車を購入できる。
ちなみに、アウトランダーPHEV(初代)における駆動用バッテリーのメーカー容量保証は、初度登録から8年以内、かつ走行距離16万km以内。この期間内に駆動用バッテリーの容量が新品時の70%を下回っていた場合、無償で修理、交換してもらえる(ディーラーで点検を受けるなどの条件あり)。バッテリーの寿命が心配、という人は念のため、上記期間に該当する物件を選んでおくと良いだろう。
ということで上記の背景を踏まえたうえで、次項ではニーズ別にオススメの年式やグレードを考察していこう。
3. 中古車のオススメ1|安さ重視なら前期型で走行距離の少ないものを
アウトランダーPHEV(初代)の新車時価格は332.4万円~という価格帯だった。しかし今、前期型(2012年12月~2015年6月)の中古車なら、総額100万円前後から狙える物件もある。
同じ前期型でも2014年5月以降のものはフロントバンパー下部がスキッドプレート風のデザインとなっていたり、運転席&助手席シートヒーターが標準されたりしているが、走行性能において大きな差はない。
前期型の場合、気になるのは年式やグレード、装備内容より駆動用バッテリーの寿命だ。交換が必要となると数十万円の費用がかかってしまうので、できるだけ走行距離の少ない物件を選ぶのが吉だろう。
アウトランダーPHEV(初代)前期型の割合は、全年式中の20%ほど。選択肢は多くないが、2013年式・走行距離3.6万kmの「G ナビパッケージ」で総額124.3万円というリーズナブルな物件が見つかる。
▼検索条件
三菱 アウトランダーPHEV(初代)× 前期型 × 全国4. 中古車のオススメ2|コスパ重視なら2015~2016年式がオススメ
先進的なプラグインハイブリッドを搭載するSUVとして、アウトランダーPHEV(初代)はもともとお買い得感の高い中古車と言えるだろう。その中でも特にコスパの高いもの、ということなら、後期型にマイナーチェンジした直後の2015~2016年式がオススメだ。
このあたりの年式なら、人気のダイナミックシールド顔でありながら価格も手頃。エンジンは前期型と同じ2Lながら、フリクション低減やモーター制御の最適化・効率化によって燃費性能が向上した。さらに、乗り心地や静粛性についてもそれ以前のモデルより大幅に改善されている。
そのうえ、前述したように最も流通量が多い年式でもある。「G」グレードの「セーフティパッケージ」「ナビパッケージ」「プレミアムパッケージ」が比較的満遍なく分布しており、選びやすい状況だ。
価格の一例を挙げると、2015年式・走行距離3.3万kmの「G セーフティパッケージ」で総額159.9万円。まだまだ長く乗れそうな物件が、この価格ならリーズナブルだろう。
▼検索条件
三菱 アウトランダーPHEV(初代)× 2015~2016年式 × 全国中古車のオススメ3|高年式車を選ぶなら2018年以降の後期型
エンジンが2.4L化された2018年8月以降の最終型なら、デザイン、走行性能、安全性能ともに大満足。現行のプラグインハイブリッド車と比べても遜色ない。
シャシー性能やサスペンション性能についても度重なる改良で熟成されており、デビュー直後のモデルとは別の車と思えるほどに進化している。
中古車市場にはアウトランダーPHEV(初代)の2018年8月以降の最終型だけで100台以上が流通。選択肢は十分にある。価格は安いところだと総額190万円から狙える状況だが、これからも長く乗るためにはできるだけ走行距離の少ない物件を選びたい。
例えば検索条件を走行距離3万km未満に限定すると、予算は総額240万円前後~となる。価格の一例を挙げると、2019年式・走行距離1.6万kmの「G リミテッドエディション(特別仕様車)」で総額252.5万円。当時の新車価格よりも200万円近く安く手に入る計算だ。
ちなみに当時、最上級だった「S エディション」は最終型全体の10%ほどとなっている。流通量こそ少ないが、硬めの乗り味が好みの人は、こちらを狙ってみるのもアリだろう。
この年式では前述のメーカー保証がほぼ確実に残っているので、ぜひ購入後にディーラーで駆動用バッテリーの容量をチェックしてもらおう。
▼検索条件
三菱 アウトランダーPHEV(初代)× 後期型 × 全国※記事内の情報は2024年7月17日時点のものです。
自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。