ランドクルーザー250 ▲大人気ではあるものの、前身であるランドクルーザー プラドと比べると新車価格は爆上がりし、なおかつ納車までに数年かかってしまうらしいトヨタ ランドクルーザー250

今、ランドクルーザー250を手に入れるのはかなり難しい

2024年4月に発売となったトヨタ ランドクルーザー250が今、ちまたで大人気となっています。

ランドクルーザープラドの後継モデルとして2024年4月に登場したランドクルーザー 250は、「原点回帰」をキーワードに開発されたライトデューティ系統のランドクルーザー。フラッグシップであるランドクルーザー300と同じGA-Fプラットフォームに、直線基調のシンプルビューティなボディという組み合わせが何とも素敵です。

しかし素敵で大人気なだけに、その入手はきわめて困難な状況です。

新車をオーダーするにしても、納期は「約2年待ち」というグレードも(メーカー公式サイトでは「詳しくは販売店にお問い合わせください」と案内。千葉トヨペットの公式サイトでは「令和8年以降」の納期予定と案内)。

そして車両価格も、前身であるランドクルーザープラドと比べてかなり高くなってしまいました。プラドの最上級グレードだった「TX Lパッケージ(7人乗り)」は新車時価格433.7万円でしたが、ランドクルーザー250の最上級グレードである「ZX」のそれは735万円に達しています。

そもそも買えるモノがなく、仮にあったとしても「……めっちゃ高い!」というのが、ランドクルーザー250の最大のネックなわけです。

ならば今、ランドクルーザー250の半値ぐらいで――つまり一番人気の「ZX」を基準に考えた場合の約半値である「総額300万円台」という現実的な予算で、ランドクルーザー250に近い魅力と性能を備えた何らかのSUVをとっとと手に入れてしまう方が、QOL(Quality of Life)は大幅にアップするのではないでしょうか?

ランドクルーザー250の半値で買えて「同じぐらい魅力的なSUV」などという都合の良い選択肢が本当にあるのかどうか、現時点ではわかりません。しかし以下、真剣に探してみることにしましょう。
 

 

候補1|ジープ ラングラー アンリミテッド(JK型)
→予算目安:総額300万~380万円

ランドクルーザー250という車の魅力は、主には下記の6点に分解することができるはずです。

1. 堂々たる体躯(要するに存在感がある)
2. 直線基調のシンプルでギアっぽいデザイン
3. 一級品といえるオフロード性能
4. 舗装路でも快適な乗り心地
5. 「ランドクルーザー」という歴史と伝統(要するにブランド力がある)
6. 最新世代のADAS(先進運転支援システム)を装備

この6つの魅力のすべてではありませんが「ほぼすべて」は備えていて、それでいてランドクルーザー250の約半値で狙えてしまうのが先代のジープ ラングラー アンリミテッドです。
 

ランドクルーザー250▲「JK」という型式で呼ばれることも多い先代ジープ ラングラー アンリミテッド
 

ご承知のとおりラングラーは、第二次世界大戦中に米陸軍が使用した軍用車「ウィリス ジープ」の直系子孫で、その5ドアモデルが「アンリミテッド」です。

2018年11月に発売された現行型ラングラー アンリミテッドはさすがにまだ300万円台では少々難しく、中古車の平均価格は600万円以上です。しかし、2007年から2018年途中まで販売されたJK型こと先代であれば、走行距離3万km台までの物件であっても総額300万~380万円ぐらいで狙うことができます。

ラングラー▲インテリアデザインは年式によって少々異なるが、総額300万円台で狙える年式の運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。写真は左ハンドルの本国仕様で、日本仕様はすべて右ハンドル

この車、「堂々たる体躯」という部分ではランドクルーザー250におおむね匹敵しており、「直線基調のシンプルでギアっぽいデザイン」のレベルに関しても、同等または同等以上とみていいでしょう。そして「オフロード性能」においても同等または同等以上です。

「舗装路での乗り心地」はランドクルーザー250の方が良好でしょうし、先代のラングラー アンリミテッドは「小回りが利かない」という欠点はあるのですが、舗装路での乗り心地も決して悪くはありません。そして「歴史と伝統(つまりブランド力)」という部分も、ジープとランドクルーザーはおおむね同等とみて良い気がします。

最後の「最新世代のADAS」という部分に関してはさすがに分が悪いのですが、それ以外のすべてについて、先代のジープ ラングラー アンリミテッドは「ランクル250とおおむね同等または同等以上」だといえるでしょう。

しかし、それでいて先代ジープ ラングラー アンリミテッドは、前述のとおり総額300万円台の予算で走行距離3万km台までの中古車を手に入れることができますし、もう少し条件をゆるくすれば総額200万円台でも普通にイケます。

買いたくてもモノがないランドクルーザー250の代わりとしては十分に機能すると思うのですが、いかがでしょうか?
 

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候補2|トヨタ FJクルーザー(初代)
→予算目安:総額310万~380万円

もしも輸入車より国産車の方がお好みであるならば、2018年1月に販売終了となったトヨタのSUV、FJクルーザー」がランクル250の代わりとして良い仕事をしそうです。

FJクルーザーは、もともとは北米専用車種として開発された中型サイズのSUV。シャシーはランドクルーザープラドと共通で、パワーユニットは最高出力276psの4L V6ガソリンエンジンです。

では、このSUVをランドクルーザー250と比べてみることにしましょう。


ランドクルーザー250▲日本では2010年から2018年1月まで販売されたトヨタ FJクルーザー
 

まず、1の「堂々たる体躯」に関しては、FJクルーザーの方がひと回り小さいのですが、FJクルーザーも決して小さい車ではないので(全長4635mm×全幅1905mm×全高1840mm)、さほどの減点材料にはなりません。

そして、2の「直線基調のシンプルでギアっぽいデザイン」については、人それぞれの好みの問題もあるでしょうが、なるべく客観的に見て「引き分けかな?」と筆者は思います。もちろんランドクルーザー250の方が今っぽいデザインであることは間違いありませんが、FJクルーザーのデザイン性の高さだってかなりのモノです。

3の「オフロード性能」も、FJクルーザーのシャシーはランドクルーザープラドですから、おおむね遜色ありません。もちろん過酷な悪路で厳密なテストを行えば、最新モデルであるランクル250が勝利するのでしょう。しかし、普通はそこまで過酷な悪路を走ることもないはずなので、ここは「同等!」と考えて大丈夫でしょう。

「舗装路でも快適な乗り心地」については、さすがに最新のライトデューティ系であるランドクルーザー250の方が良好なはずですが、FJクルーザーの乗り心地も決して悪くはありません。

もちろん5と6の「ランドクルーザーという歴史と伝統」「最新世代のADASを装備」という部分に関してはランドクルーザー250の圧勝です。しかし、ランクル250の約半値である総額310万~380万円ぐらいで走行3万km台までの中古車が買えてしまうことを考えれば、「そこも(ある意味)問題なし!」としても良いはず。

ということでトヨタ FJクルーザーの中古車も、ランドクルーザー250の代わりとして十分に機能することでしょう。
 

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候補3|ジャガー Fペイス(初代)
→予算目安:総額310万~370万円

ランドクルーザー250がボディ・オン・フレーム構造のオフローダーであるのに対し、こちらはモノコック構造のSUVですから毛色や方向性はずいぶん異なります。

しかしジャガー Fペイスも、ランクル250の代替品としてある程度は機能するはずです。
 

Fペイス▲英国ジャガーが作っているプレミアムSUVのFペイス

Fペイスは、日本では2016年6月に発売されたジャガー初のSUV。

エクステリアデザインは、ジャガーのピュアスポーツカー「Fタイプ」の要素を取り入れたもので、日本仕様のボディサイズは全モデルともに、全長4740mm×全幅1935mm×全高1665mm。ランドクルーザー250と比べると少し小さいのですが、存在感は十分です。

モデルライフの途中から超強力な5L V8エンジンなども追加しましたが、基本となるパワーユニットは最高出力180ps/最大トルク430N・mの2L直4ディーゼルターボと、同390ps/同450N・mのスーパーチャージャー付き3L V6ガソリン。トランスミッションは8速ATで、駆動方式は全車トルクオンデマンド式の4WDです。

ランドクルーザー250▲運転席まわりは、スポーツセダンである「ジャガー XE」に近いデザインを採用している

この車は前述のとおりランドクルーザー250とはずいぶん毛色も方向性も異なるため、ガチで競合するSUVではありません。またプレミアム系のSUVであるため、ランドクルーザーならではの「屈強な感じ」を求めているのであれば、若干物足りなくも感じるかもしれません。

しかし、幸いにして(?)昨今のジャガーは日本ではいまひとつ売れていないため、多くの人にとってジャガー Fペイスという車は「謎の高級大型SUV」に見えるはず。その謎感こそが、日本におけるこの車の素敵なポイントなのです。

そして本気で悪路を走るならさておき、ほとんどのユーザーは、ほとんどの時間を舗装路の上で過ごすはず。であるならば、モノコック構造ゆえに高速道路などを超快適に走ることができるFペイスでも問題ないというか、むしろFペイスの方が好都合かもしれません。

「ランドクルーザー250と似た個性を持ち合わせた代替品」には決してなり得ないFペイスではあります。しかし、ガラリと考え方を変えて「自分は快適でゴージャスなプレミアムSUV路線を歩むのだ!」と決心できるのであれば、総額300万円台で狙える低走行なFペイスは、あなたがランドクルーザー250を購入した場合とおおむね同量の満足感を――方向性は異なりますが――あなたに与えてくれるでしょう。
 

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候補4|メルセデス・ベンツ GLE(初代)
→予算目安:総額320万~390万円

先代にあたる初代のメルセデス・ベンツ GLEも、ジャガー Fペイスを選択する場合と似たマインドで選ぶべき選択肢です。

つまり、屈強なランドクルーザー250とはまったく違う方向性のラグジュアリーなモノコックSUVですが、「今後はそれで良し!」と考えるのであれば、十分な満足は得られるでしょう――という話です。
 

ランドクルーザー250▲こちらが先代メルセデス・ベンツ GLE
 

先代のGLEは、以前は「Mクラス」と名乗っていたアッパーミドルSUVが、ビッグマイナーチェンジを機に「GLE」へと車名を変更したモデルです。

メインのパワーユニットは最高出力258ps/最大トルク620N・mの3L V6ディーゼルターボで、トランスミッションは9速AT。やや古い世代ではありますが、さすがはメルセデス・ベンツということでADASは普通に充実していますし、乗り味における上質感と精密感もハイレベルです。

ランドクルーザー250▲Mクラス時代と比べれば、ダッシュボード中央部の液晶パネルは大型化されている

デザインの面では、最新のトレンドにのっとっているランドクルーザー250の方が素敵であるように思えます。

しかし、「ベンツである!」という印籠のようなものが、足りない部分を補ってくれるでしょう。総額300万円台で考える選択肢としては、なかなか悪くないかもしれません。
 

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候補5|トヨタ ハイラックス(7代目)
→予算目安:総額330万~370万円

自分で挙げておきながらアレですが、候補3と4で申し上げたモノコック構造のプレミアムSUVは、やはりランドクルーザー250の代わりとしては少々弱い気がしてきました。

ランドクルーザー250の魅力の本質は「タフで屈強であると同時に、現代的でもある」ということです。そう考えると、やや古い世代のモノコックSUVは少し違うと言わざるを得ないわけです。

しかし、「SUV」というボディタイプであることを一度ご破算にしてゼロベースで考えてみれば、けっこうしっくりくる代替品が見つかるかもしれません。

例えばそれは、トヨタのピックアップトラックである現行型ハイラックスです。
 

ハイラックス▲2017年に、日本では13年ぶりに発売された現行型トヨタ ハイラックス。写真は2020年8月以降の後期型。フロントに台形の大型グリルを採用した他、乗り心地なども改善されている
ハイラックス▲現行型ハイラックス後期型の運転席まわり。欲をいえばもう少しワイルド感が欲しいが、そのあたりは中古車購入後、自分好みに少々カスタマイズすればいいのかも

ご承知のとおりハイラックスは、トヨタが1960年代から製造販売しているピックアップトラック。通算8代目となる現行型は2017年に発売されました。

ボディサイズは全長5335mm×全幅1855mm×全高1800mmという、ランドクルーザー250に引けを取らないボリューム感で、パワーユニットも、ランドクルーザープラドに搭載された2.8Lディーゼルターボのショートストローク版2.4Lです。駆動方式は伝統的なパートタイム4WDですので、ローレンジ付きフルタイム4WDのランクル250と方式は異なるものの、同様に悪路走行を苦にしません。

そして舗装路での乗り心地はまあまあ普通に快適で、「歴史と伝統」もランクルほどではないにせよ、まあまあではあります。

まぁ「最新のADAS」や「高級感」みたいな部分については14対2ぐらいのスコアで完敗するわけですが、「そういったモノはないのが逆にハイラックスの魅力!」と言うことは確実にできます。そして「ピックアップトラックである」ということがもたらす個性あるいは存在感については、ランドクルーザー250以上と言ってもいいのかもしれません。

それでいて中古車は、走行距離3万km台までの物件であっても総額330万~370万円ぐらいでマイナーチェンジ後の後期型を狙うことができます。

「高級感」や「ラグジュアリー性」みたいな部分はどうでもいいと考えることができるのであれば、2021年式以降のハイラックスこそが「ランドクルーザー250の代わり」としては最適な1台なのかもしれません。
 

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文/伊達軍曹 写真/トヨタ、ジープ、河野敦樹、ジャガー、メルセデス・ベンツ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。