ドブロ(田代哲也)

自動車テクノロジーライターの松本先生と、漫画家の田代先生が話題のモデルを深く分かりやすく掘り下げていく連載『人気車ゼミ』。今回紹介するのは新型フィアット ドブロ。
 

講師紹介

松本英雄

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。

田代哲也

マンガ家

田代哲也

マンガ家・イラストレーター。1987年『週刊少年ジャンプ・サマースペシャル』(集英社)でデビュー。少年マンガ誌、青年マンガ誌、スポーツ雑誌などジャンルを問わず執筆。絵本『田んぼの昆虫たんけん隊』『水泳大好き!トラ』(星の環会)。2004年より東放学園高等専修学校、東放学園映画専門学校で講師を務める。スズキの車を5台乗り継ぎ、現在の愛車はエスクード。

ドブロ(田代哲也)
ドブロ(田代哲也)
ドブロ(田代哲也)

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重要ワード(マンガ内※)解説

※1 兄弟車
かつて、ドブロはフィアット独自のモデルとして開発されていたが、2021年にフィアット、アルファ ロメオ、シトロエン、プジョー、ジープなどが参加するステランティスグループが成立。それにともない、商用車部門が共通プラットフォームを使ってMPVを開発した。

ベルランゴ▲シトロエン ベルランゴ
リフター▲プジョー リフター

※2 16インチ
ドブロは2列シート、マキシともに205/60R16タイヤとアルミホイールを装着。リフターやベルランゴが履く17インチアルミホイールの方が、大きい分スタイリッシュになる。しかし、タイヤ交換時の費用が抑えられるなど、ドブロはより実用的と言えるだろう。

※3 スライドドア
商用車ベースで開発されたドブロは、電動スライドドアが非搭載。2000年代以降、日本のミニバンは電動スライドドアが人気装備になり多くのモデルで標準装備されている。ただ、トヨタ ハイエースバンや日産 キャラバンも一部グレードを除き非搭載となっている。

※4 日本のミニバン
日本のメーカーが製造するミニバンは、ファミリーユースを意識した装備が豊富。後席の子供用にテーブルやタブレット置きがあるモデルや、お年寄りや子供でも乗降しやすいようスライドドアの下からステップが出てくるモデルもある。

ヴォクシー▲現行型ヴォクシー/ノアのサイドステップとロングアシストグリップ

※5 商用バンの歴史
ヨーロッパでは古くから乗用車の後ろに四角い荷室をつなぎ合わせた商用モデルが開発されてきた。古くはシトロエン 2CVに箱を付けた2CVフルゴネット(写真)やルノー 4(キャトル)ベースの4Fなどがある。日本車では1992~1999年まで日産 AD-MAXが販売された。

2CV▲シトロエン 2CVフルゴネット

※6 ディーゼルターボ
ヨーロッパでは電気自動車のE-ドブロが中心モデル。ベルランゴ、パートナー(リフターの商用モデル)もEVが中心だが、3モデルとも日本にはディーゼルを投入した。ライバルモデルのルノー カングーは1.5Lディーゼルターボの他、1.3 Lガソリンターボも導入している。

カングー▲ルノー カングー

※7 石畳の上
フランスやイタリアの古い街は石畳で細い道が多く、郊外は未舗装路が多かった。そのため柔らかめの足回りにして路面からの衝撃を吸収していた。2CV(写真)は「荒れた農道でカゴいっぱいに入れた卵が一つも割れずに走れること」を目標に開発されたといわれている。

2CV▲シトロエン 2CV

※8 前輪が浮いて
FFの商用車は満載時に駆動輪に荷重がかかりづらいというリスクがあるが、荷室を広くできるというメリットもある。軽バンや軽トラ、ハイエースなどの日本の商用車は荷物を満載にした際も駆動輪にしっかり荷重がかかるよう後輪駆動のものが多い。

※9 3列シート
日本での欧州製のMPVはカングーの独壇場だった。ドブロ(ドブロマキシ)、ベルランゴ、リフターは7人乗りを設定することで、ミニバンが人気の日本での優位性をアピール。カングーも2023年9月にドイツで開催されたIAAモビリティ2023で3列シートのグランカングーを公開している。

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イラスト・マンガ/田代哲也、文/高橋満(BRIDGE MAN)、監修/松本英雄、写真/フィアット、シトロエン、プジョー、ルノー、トヨタ
※この記事は情報誌カーセンサー2024年1月号掲載の記事をWeb用に再編成したものです