トヨタ ヴェルファイア(現行型)▲新開発されたリアサスペンションやボディの高剛性化、風切り音を低減させるボディ形状の開発など、街乗りから高速道路でのクルージングまで高級車にふさわしい乗り心地や静粛性が与えられている

アルファードより平均価格が120万円も安い!? ヴェルファイアの中古車

ミニバンの頂点に君臨する絶対的王者のトヨタ アルファード。その兄弟車であるヴェルファイアの中古車平均価格が今、安いのだ。

昨今の新車納期の遅れなどもあり、原稿執筆時点でアルファードの中古車平均価格は約510万円と、中堅グレードの新車価格を上回るほど高騰している。

しかし、ヴェルファイアはなんと100万円以上も安い385万円ほど。

確かに新車では、ヴェルファイア販売台数の急ブレーキが最近よく取り上げられている。2017年12月のマイナーチェンジ(販売は2018年1月から)で、アルファードに比べてフロントマスクがおとなしめになったとか、両モデルとも2020年5月からトヨタ全系列店で併売できることになり、販売店がアルファード推しになったという話もある。

ヴェルファイア(現行型)▲こちらはデビュー時のヴェルファイア。金属から削りだしたような縦幅の広いメッキバーのフロントグリルに2段ヘッドランプが組み合わされ、押し出し感のあるフロントフェイスとなっている
ヴェルファイア(現行型)▲そしてこちらがマイナーチェンジ後。デザインはそう大きく変わっていないし、個人的にはむしろ迫力は増したと感じるのだが……いかがだろうか?

いずれにしても、アルファードが好調なのは間違いないようだ。

とはいえ、2015年1月のデビュー直後1ヵ月での新車販売台数はアルファードが約2万台なのに対し、ヴェルファイアは約2.2万台と上回っていたし、マイナーチェンジ直前にあたる2017年までは実はヴェルファイアの方が売れていた。

しかし、2018年になると様子が激変、販売台数が入れ替わり、2021年にはヴェルファイアはアルファードの1/10以下となってしまった。

果たして、この新車の売れ行きが中古車価格にも反映されているのだろうか? さっそく中古車の状況を確認してみよう。

▼検索条件

トヨタ ヴェルファイア(現行型)×全国
 

前期型に限れば、ヴェルファイアの方が選びやすい

先述のとおり、原稿執筆時点でのヴェルファイアの中古車平均価格は約385万円と、アルファードより125万円ほど安い。

実はこれには理由がある。1つはアルファードと比べてヴェルファイアは高価格帯の中古車が少ないのだ。原稿執筆時点で価格帯を見ると、アルファードの約170万~1720万円に対して、ヴェルファイアは約150万~1050万円。

アルファードの1000万円超の中古車を見ると、エグゼクティブラウンジやロイヤルラウンジといったVIP送迎モデルを中心に、1000万円超が30台もある。一方で、ヴェルファイアの1000万円超は、ロイヤルラウンジの1台しか見つからなかった。

また、平均走行距離も大きく異なる。ヴェルファイアの平均走行距離が約4.6万kmなのに対し、アルファードは約2.8万kmとかなり少ない。約7年前から販売されているにも関わらず3万km以下が約2470台と、全体の6割以上を占めているのだから、アルファードの平均価格はどうしても高くなる。

アルファード(現行型)▲中古車価格高騰中のアルファード。「豪華で勇壮」をテーマにデザインされており、主にフロントフェイスのデザインがヴェルファイアとは異なる

では、同年式・同グレード(例えばアルファードのXと、ヴェルファイアのX)・同走行距離で違いはあるか? 結論から言えば大差はない。

しかし、前期型に絞ると選びやすいのはヴェルファイアの方だ。

原稿執筆時点でのヴェルファイアの総掲載台数は約2200台と、アルファードの約3870台と比べて少ない。ただし、前期型(2017年12月のマイナーチェンジ前)のモデルで比べると、ヴェルファイアが全体の6割近い約1270台なのに対し、アルファードは2割程度の約870台。ヴェルファイアの方が台数は豊富なのだ。

前期型が多いということは当然平均走行距離も延びてくる。とはいえ、ヴェルファイアの平均走行距離は約4.6万kmと、まだまだ良コンディションを期待できそうな物件も多く見つかるだろう。

以上をまとめると、まずヴェルファイアの中古車は高価格帯が少ない。また、前期型に限ればアルファードより台数も多い、つまり価格が落ちた低年式の物件が多い。これが、ヴェルファイアの平均価格が安い理由だ。

ゆえに比較的年式が古くてもお手頃な価格で手に入れたい! という人には、ぜひヴェルファイアもチェックしてほしい。

一方で、高年式車が欲しかったり、そもそも見た目が好みじゃないという人は、アルファードに絞って探すしかない。特に(下記で触れるが)ヴェルファイアが一気に1グレードに絞られた2021年4月以降のモデルは、アルファード方が圧倒的に選びやすい。


では、前期型のヴェルファイアが良いと思ったらどんな物件を狙うべきか? モデル概要をおさらいしながら見ていこう。

 

アルファードとともに大空間高級サルーンの頂点に君臨するミニバン

ヴェルファイア(現行型)▲「大胆不敵」というテーマでデザインされたヴェルファイアのエクステリア。ボディ形状は、写真のバンパーの左右に大きな開口部が備わるエアロボディ(写真)と、開口部のない標準ボディの2タイプがある

ミニバン好きからすれば“あがりの1台”といえるのが、アルファード/ヴェルファイアだろう。

2015年1月に発売された現行型は、「大空間高級サルーン」をキーワードに開発されただけあり、室内の広さは最大級で、これより広い車を求めるなら同じトヨタのハイエースか、ハイエースをベースにしたグランエースくらいしか選択肢はない。

一方で、“高級車”としての性能も代を重ねるごとに向上している。高い静粛性と快適な乗り心地は磨きがかかり、衝突被害軽減ブレーキや全車速追従機能付きACC、世界初のシースルービュー、同じく世界初の駐車支援機能(インテリジェントパーキングアシスト2)が用意されるなど、先進装備も充実している。

もちろん内外装の高級感の演出にも抜かりはなく、上質な本革シートや精巧な木目調加飾が施され、助手席と2列目シートには車内で足を伸ばしてくつろげるようオットマン機構が用意された。家族需要だけでなく、企業のトップや芸能人の送迎に使われることを見越して、2列目の快適性を高めたエグゼクティブラウンジというグレードも設定されたのは、やはり“高級車”としての自覚からだろう。

トヨタ ヴェルファイア(現行型)▲フロアの低床化により、全高は旧型より10mm低い1880mmだが、室内高は旧型同等の1400mmが確保されている。両側電動スライドドアはグレードのX、Zを除いて全車標準装備
トヨタ ヴェルファイア(現行型)▲色ではなく光を意識し見応えをデザインした木目調加飾。杢柄(もくがら)の間に金属的な輝きをもたせ深みを表現した上質な茶木目調や、ホログラム層を世界で初めて下地に採用し、ダイナミックな杢柄をダークカラーで表現した斬新な黒木目調などを採用
トヨタ ヴェルファイア(現行型)▲後席重視のグレード「エグゼクティブラウンジ」もアルファード同様設定。セカンドシートはソファのような座り心地のよさに加え、電動オットマンやベンチレーション、格納式テーブルなどを装備し、まさに至れり尽くせり

パワーユニットは、ガソリンエンジンとハイブリッドシステムの2本立て。ガソリンエンジンには2.5L×CVTと3.5L×6速ATの2種類があり、ハイブリッドシステムは2.5Lにモーターを組み合わせ、電気式4WDのE-Fourを搭載する。

なお、ヴェルファイアには標準ボディの他に、サイドスポイラーなどを装備するエアロ仕様も用意されているため、下記にまとめる。

■標準ボディ
・ガソリン車:X、V、VL、エグゼクティブブラウンジ
・ハイブリット車:X、V、エグゼクティブブラウンジ

■エアロボディ
・ガソリン車:Z、ZA
・ハイブリッド車:ZR

デビュー時の車両本体価格は、319万7782~703万6691円だった。

トヨタ ヴェルファイア(現行型)▲最大1160mmもスライドする助手席スーパーロングスライドシートはガソリン車のVの7人乗りとZA、Z Aエディションに標準装備。2列目シートがベンチシートになる8人乗りは2.5Lガソリン車のZ、X(8人乗りのみ)、V、ハイブリッド車のXに用意されている
トヨタ ヴェルファイア(現行型)▲ラゲージ&3列目シート下に148Lの床下収納が用意されている。床下収納のフタにあたるデッキボードは脱着や折り畳んで使うことが可能

すでに述べたように、中古車の台数が多いのは2017年11月まで生産された前期型だが、後期型との違いも下記で確認しておこう。

・2018年1月/マイナーチェンジ:内外装のデザイン変更とともに、先進安全運転支援技術「トヨタセーフティセンス」が全車標準装備され、3.5L車が6速から8速ATとなった

・2020年1月/一部改良:全車に9インチのディスプレイオーディオが標準で備えられた

・2021年5月/グレード構成変更:ガソリン車とハイブリッド車ともにグレードがゴールデンアイズIIのみとなった。ベースは従来のエアロボディのZで、高級感のある内外装や、ウェルカムパワースライドドア機能が備わるスマートエントリーシステムなどが備わる。なお2022年5月よりゴールデンアイズIIIへ進化している

以上が現行型ヴェルファイアの概要となる。

ちなみに、原稿執筆時点での中古車掲載台数は、先述のとおり約2200台。そのうち2018年1月のマイナーチェンジ前までのモデルは約1270台と約6割を占めている。

パワートレイン別では、2.5L車が約8割と最も多く、次いでハイブリッド車が1割超で、3.5L車は1割に満たないという状況。

乗車定員別では、2列目がセパレートシートになる7人乗りが約9割と圧倒的に多いのも“高級ミニバン”らしい特徴だ。また両側電動スライドドアは、標準装備だったグレードが多かったこともあり、9割超が装着している。

以上を踏まえ、今のオススメ物件を見ていこう。

 

なるべく手頃な価格で手に入れたいなら前期型の「2.5 Z」狙いで

最も手頃な価格で狙えるのは、最廉価グレードの2.5Lエンジンを搭載したXだが、標準ボディなのが敬遠されたのか、前期型に絞ると中古車台数が約40台とあまり多くない。

そこでオススメなのが、X同等だがエアロボディとなる「Z」だ。中古車台数は約150台と多くて選びやすい上、価格はXとあまり変わらないのでお得度も高い。

装備はXと基本的に同じだが、何しろ“高級車”ヴェルファイアだ。上記で述べたように前後左右独立式フルオートエアコンや、助手席側電動スライドアが標準で備わる。

また専用エクステリアパーツが装着され、アルミホイールも16インチから18インチに。さらに8人乗りだけのXと違い、Zなら7人乗りも選べる。

修復歴なしでも走行距離10万km以下なら支払総額約230万円から、5万km以下に絞っても支払総額約320万円からと平均価格よりもだいぶ安く狙うことができる。

▼検索条件

トヨタ ヴェルファイア(現行型)×前期型×2.5 Z×走行距離10万km以下×修復歴なし×全国 ※価格昇順
 

装備が充実していてコスパが高いのは「前期型 2.5 Z Gエディション」

装備が充実しているヴェルファイアを、なるべく手頃な価格で狙いたいなら、2.5Lエンジンを搭載した、エアロボディのZ Gエディションがオススメだ。

上記のZにオートワイパーやステアリングスイッチ、ファブリック+合成皮革のシート(Zはファブリック)、運転席&助手席電動シート、2列目電動シート、両側電動スライドドアなどが加わり、かなり装備が充実している。ただしZと違い、7人乗りのみとなるので注意しよう。

新車時の人気が高かったグレードのため、前期型で絞っても中古車台数が約190台と多めなのもポイントだ。また、新車時の車両本体価格はZと比べて約+60万円だったが、中古ではその差はグッと縮まっていてお買い得感もある。

走行距離10万km以下なら支払総額約280万円から、5万km以下に絞ると支払総額約320万円とほぼZと同じ価格帯から狙うことができる。

▼検索条件

トヨタ ヴェルファイア(現行型)×前期型×2.5 Z Gエディション×走行距離10万km以下×修復歴なし×全国
 

ハイブリッド狙いなら前期型「ZR」がオススメ

ガソリン高の昨今、大きなミニバンを購入すると気になるのがランニングコストという人も多いはず。そんなことからハイブリッドを狙っている人も多いはず。

2.5L車の2WD車のJC08モード燃費が12.8km/Lなのに対し、ハイブリッドは4WDにも関わらず同19.4km/Lとなる。

ハイブリッド車の中の狙い目は、エグゼクティブラウンジを除けば最上級グレードだった「ZR」だろう。他グレードとの新車時の価格差はグッと縮まっており、お得度が高いのが理由だ。

7人乗りのみとなるが、両側電動スライドドアやファブリック+合成皮革のシート、運転席&助手席電動シートなどが備わる。

また、中古車台数は約80台、前期型に絞ると約40台と少なめだが、ハイブリッド車の中では最も台数が多くて選びやすい。

走行距離10万km以下なら支払総額約300万円から、5万km以下に絞ると総額約380万円から狙うことができる。

▼検索条件

トヨタ ヴェルファイア(現行型)×前期型×ハイブリッド ZR×走行距離10万km以下×修復歴なし×全国

▼検索条件

トヨタ ヴェルファイア(現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/篠原晃一、トヨタ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。