BMW Mを狙うなら知っておきたい「現在のM3中古車事情」
2022/10/30
BMWのMモデルには、現在多くの車種バリエーションが用意されている。ここでは車好きやMファンが「やっぱりこれこそM!」と言うほど人気の高い歴代M3に注目。中古車価格が上がりつつある世代や今価格的に魅力が増している世代と、世代によって状況は異なる。M3選びはやっぱり楽しいし、難しい……
すでに希少性が高まりつつある初代と2代目
BMWのハイパフォーマンスモデルである「M」が、誕生から50年という節目の年を迎えた。近年はMモデルのラインナップが増えているが、往年のファンにとっては今も昔もMモデルの華はやはりM3だろう。
M3はBMWのスポーツ性能はもちろん、ブランドのDNAが最も色濃く表現されたモデルである。初代M3となるE30型から数え現在は6代目まで進化している。変遷上少しややこしいのが、ドアの枚数によるモデル分岐。2014年に登場したF80型となる5代目から、セダンはM3、クーペはM4に分かれている点だ。
さて、歴代M3モデルだが、元々人気が高く新車販売台数も多かったため、今まではCSLなどの特殊なモデルでない限り、中古車で探すことは比較的容易なモデルだった。
ところが、初代E30型、2代目E36型、3代目E46型は、徐々にクラシックカーの領域に入りつつあり、中古車流通量はハイペースで減少中。当然相場も上昇していることから、そろそろ手の出しにくいモデルになりつつある。
例えば、過去の初代E30型の流通状況と相場を、カーセンサーEDGE創刊号(2005年時)で振り返ってみたところ、2005年の10月時点の流通量は10台、価格帯は180万~300万円だったのが、2022年の10月の流通量は4台、価格帯は800万~1600万円となっていた。
売れた人気モデル故に、かろうじて中古車市場に残ってはいるが、もはや完全にクラシックカーのようなマーケットになりつつあるのだ。
ちなみに、ここ10年の中古車流通量は0~2台レベルで推移している。
2代目E36型の相場は、徐々に上昇しているといった状況だが、3Lエンジンの前期型、3.2Lの後期型ともに流通量は激減している。この流通量では、今すぐにでも希少車として相場が上がる可能性がある。逆にこの状況下でこの相場を維持していることが不思議なくらいだ。その意味でも歴代M3の中で「買い時ど真ん中モデル」と言えるかもしれない。そこで過去からの価格帯と流通量の推移をまとめてみた。
2005年 流通量22台/月 価格帯180万~320万円
2008年 流通量8台/月 価格帯240万~600万円
2011年 流通量2台/月 価格帯410万~480万円
2014年 流通量2台/月 価格帯280万~390万円
2017年 流通量3台/月 価格帯210万~550万円
2020年 流通量1台/月 「応談」のためNO DATA
さらに初代E30型と2代目E36型は、サーキット走行用にサスペンションなどの交換がされている物件率が高いのも大きな特徴。その走りに魅了されたオーナーに愛されていたモデルとも言えるだろう。
今狙いやすいのは3代目以降
性能や物件状態から見ると、比較的穏やかな相場を形成しているのが3~5代目までのM3だ。
3代目(E46型)はMT車や軽量化モデルのCSLでなければ、現在も本体価格250万~570万円の価格帯で探すことができ、流通量も20台前後をキープしている。往年のMファンにとっては、現在中古車としてのコストパフォーマンスが最も優れたM3と言えるだろう。
4代目(E90型)は、M3として唯一V8エンジンを積んでいたモデル。現在の流通量は50台前後で、価格帯も230万~640万円と、これから買うという人からすると魅力的な相場を形成している。これは、BMWといえば6気筒であるべし、というイメージを持つ往年のファンも多いことから、V8を受け入れる人とそうでない人で評価の分かれていることによる、“今だけ”のラッキー相場なのかもしれない。流通量が減ってくれば、間違いなく相場は上がる。
5代目(F80型)からはセダンがM3、クーペがM4(F82型)とモデル分岐した。先代となるまだ新しいモデルだけに、M3セダンの流通量は50台前後と豊富で、価格帯も380万~1400万円と幅広く落ち着いている状態と言って良いだろう。M3と同じ機構をもつM4クーペの方が新車時の人気が高かったのか、流通量はM3セダンの倍となる100台で、価格帯は390万~1830万円という状況。
6代目(G80型)は発売から間もない現行モデルのため、中古車としての旨味はほぼなし。価格帯は1000万~1280万円と新車価格とほぼ同じ水準となる。
クラシック系を好むなら、選択肢は限りなく少ないが探せばまだある2代目(E36型)、3代目(E46型)を根気よく探すのが良いだろう。これらは、今でも人気のシルキーシックスと呼ばれる自然吸気直6エンジンを搭載しているため、往年のBMWらしいエンジンフィーリングも楽しめるはずだ。
Mの高性能っぷりを存分に堪能したいなら、4代目(E90型)、5代目のM3セダン(F80型)、そして同じ機構をもつM4クーペ(F82型)が、車両状態と価格のバランス、そしてある程度の品揃えが整っているため狙い目となるだろう。