総額170万円から狙える! メルセデス・ベンツの高級セダン「CLSクラス」、中古車平均価格が約1年で30万円以上ダウン
2022/10/29
約1年間で中古車平均価格は30万円以上ダウン
エレガントなスタイルとセダンの実用性を兼ね備えた流麗な4ドアクーペ、メルセデス・ベンツ CLSクラス。その先代モデル(2代目)の中古車価格が今、けっこう大きく下がっています。
まずは下のグラフをご覧ください。
昨年の7月は277.1万円だった2代目CLSクラスの平均価格は2022年9月には242.6万円となり、約1年で30万円以上もダウンしているのです。
中古車の平均価格が下がるということは、「何らかのネガティブな要因が出てきたから」という場合も多いわけですが、2代目CLSクラスに関しては、特に大きなネガはない模様。もちろん中古の機械モノですから「絶対大丈夫!」なんてことはないわけですが、少し古い年式の高級車が、市場の自然の流れとして小売価格を下げてきた――というのがおおむねの真相です。
ならば今、輸入4ドアクーペに興味がある人は「どんな2代目CLS」を、「だいたいいくらぐらいで」狙うべきなのでしょうか?
次章以降、もろもろ考えてまいります。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ CLSクラス(2代目) × 全国モデル概要:先代Eクラスをベースとする4人乗りの4ドアクーペ
メルセデス・ベンツ CLSクラスという4ドアクーペの初代モデルが誕生したのは2005年。車名に「S」と入っていますが、CLSは「Sクラスのクーペ版」ではなく、Eクラスをベースとする4ドアクーペです。
今回の検討対象となる2代目CLSクラスが日本へ上陸したのは2011年2月。低く伸びやかなルーフラインや狭いウインドウエリアといった特徴は初代から受け継いでいますが、2代目のデザインは2010年に発売された「SLS AMG」をイメージしたフロントマスクや、フロントフェンダーからリアに向けて下降する「ドロッピングライン」などにより、初代以上にダイナミックなものに変化しています。
ボディサイズは全長4940mm×全幅1880mm×全高1415mmで、初代より長く・広くなったと同時に、全高は初代以上に低くなり、「ワイド&ロー」なフォルムはより強調されることになりました。ちなみにリアシートはセパレートタイプで、乗車定員は4名です
AMGモデルを除くグレードに当初用意されたパワーユニットは最高出力306psの3.5L直噴V6ガソリンエンジンで、これが「CLS350 ブルーエフィシェンシー」に搭載されました。トランスミッションは「7Gトロニック」と呼ばれる7速AT。駆動方式はいわゆるFRです。
デビューから8ヵ月後の2011年10月には最高出力408psの4.7L V8直噴ツインターボエンジンを搭載する「CLS550 ブルーエフィシェンシー」を追加し、翌2012年8月には運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」を全モデルで標準装備に。そして2014年10月にはマイナーチェンジを実施しました。
このマイナーチェンジでは、片側24個のハイパフォーマンスLEDを個別制御して、前走車や対向車を眩惑しないようにヘッドライトの照射範囲を調整する「マルチビームLEDヘッドライト」が全モデル標準装備に。また4.7LのV8ツインターボを搭載するCLS550のトランスミッションが7速ATから9速ATに進化しました。この際、3.5L V6を搭載するCLS350はカタログ落ちしていますす
翌年2015年2月にはCLS350の後継にあたる、最高出力333psの3.5L V6直噴ツインターボを搭載するCLS400を新グレードとして追加。このCLS400は、マルチビームLEDヘッドライトや19インチホイールなどからなる「AMGライン」が標準で、エアスプリングと連続可変ダンパーを電子制御する「AIRMATICサスペンション」も標準装備されました。
CLS400の追加から約2ヵ月が経過した2015年4月には、40.8kg・mのビッグトルクを発生する2.2L直4ディーゼルターボエンジンを積む「CLS220 ブルーテック」を追加。経済的でありながら力強いこちらも、なかなかの人気を集めました。
そして2018年6月、現行世代である3代目CLSクラス(C257)の登場に伴い、2代目CLSクラスは新車市場から退場した――というのが、W218(2代目CLS)の大まかなヒストリーです。
狙い方1:手頃な予算で狙うなら「CLS350 ブルーエフィシェンシー」
2022年10月下旬現在、2代目メルセデス・ベンツ CLSクラスの流通量は約100台で、価格レンジは総額130万~500万円といったところ。
この中から「なるべく安価に、しかしなるべく良いモノを手に入れたい」と考えるなら、狙うべきは総額170万~190万円付近のCLS350 ブルーエフィシェンシー、すなわち最高出力306psの3.5L直噴V6ガソリンエンジンを搭載した前期型のエントリーグレードです。
エントリーグレードといっても、さすがはCLSクラスということで装備全般は普通にラグジュアリーですし、3.5L V6自然吸気エンジンの力感も十分以上。ドライブモードを「E」にしておくとややまったりしていますが、「S」にすれば、途端に軽やかな回転上昇が始まりますし、多くの中古車には「AIRマティックサスペンション」が含まれる「AMGスポーツパッケージ」というオプションが付いていますので、これのセッティングを「SPORT」にすれば、文字どおりスポーティなハンドリング性能を楽しむこともできます。
内外装および機関や足回りの状態が良好で、さらには整備履歴が悪くない個体=最低でも2年に1回は正規ディーラーないし専門工場で点検と整備を受けている個体を探す必要はあります。しかしもしもそういった個体が総額170万~190万円付近で見つかったなら、2代目CLS350 ブルーエフィシェンシーは「ラグジュアリーにしてスポーティ」という、ある種の人にはたまらない味わいを堪能できるでしょう。
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メルセデス・ベンツ CLSクラス CLS350 ブルーエフィシェンシー(2代目) × 全国狙い方2:ディーゼルターボの「CLS220 ブルーテック」は総額300万円前後から
3.5L V6自然吸気エンジンもぜんぜん悪くありませんが、「自分はやはり経済的かつ極太トルクなディーゼルターボの先代CLSクラスに乗りたい!」と考える方もいらっしゃるでしょう。
その場合でも、比較的手頃な予算で入手することは十分可能です。具体的には、総額270万~330万円付近のゾーンで、まずまず悪くないスペックの2015年式CLS220 ブルーテックが見つけられます。
とはいえこのあたりの物件は走行距離が比較的多めになります。走行距離5万km以下のCLS220 ブルーテックを見つけたい場合はおおむね総額400万円以上の予算が必要となり、それ以前に「ディーゼルターボの2代目CLSは流通量が少ない」というのがネックになるかもしれません。
しかし300万円前後の価格帯でもしもコンディション良好&オプション充実のCLS220 ブルーテックが見つかったなら、それはかなり“おいしい1台”ですので、がんばって探してみる価値はあるかと思います。
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メルセデス・ベンツ CLSクラス CLS220 ブルーテック(2代目) × 全国狙い方3:怒涛のパワーを望むならCLS550(またはCLS400)
「怒涛のV8ツインターボを炸裂させたい!」と願う場合には、最高出力408psの4.7L V8直噴ツインターボエンジンを搭載するCLS550を狙うことになりますが、こちらも流通量は少なめです。具体的には、マイナーチェンジ前の前期型が4台ほどで、マイチェン後の後期型は2台しか流通していません(※2022年10月下旬現在)。
中古車価格は前期型CLS550が総額250万~300万円といったところで、2014年10月以降の後期型CLS550は総額400万円以上。
ツインターボの2代目CLSを狙いたい場合は、V8のCLS550だけにこだわると、あまりにも流通量が少ないというのがネックになります。そのため、V8ではなくV6にはなりますが、最高出力333psのV6ツインターボエンジンを搭載する「CLS400」も検討対象に入れてみることをオススメしたいと思います。
CLS550ほどではないにしても、CLS400でもパワー感は十分以上ですし、前述したとおりAIRマティックサスペンションを含む「AMGスポーツパッケージ」が標準装備ですので、走りにもビジュアルにも抜かりはありません。
まぁそんなCLS400の流通量も決して多くはないのですが、総額350万~390万円付近のゾーンで、なかなか好条件な1台が見つかることでしょう。
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メルセデス・ベンツ CLSクラス CLS550/CLS400(2代目) × 全国いずれにしましても2代目メルセデス・ベンツ CLSクラスは、ご予算200万円台から300万円台で買えるメルセデスの中では異例なまでに個性的で、走行フィールも上々(メルセデスですので当然かもしれませんが)、なおかつ希少性も感じられるという稀有な1台。
ご興味のある方は、さらなるチェックを進めてみてください。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。