ホンダ N-VAN(現行型)▲家具などの大きな荷物も楽々積み降ろしできる大開口部がN-VANの自慢。ホンダ N-BOXの貨物登録車版モデルである

ようやく中古車らしいお得な物件が出始めた

4ナンバーの軽貨物登録車である軽バンを、車中泊などプライベートで使う人が増えている。そのニーズをいち早くキャッチし、乗用モデルN-BOX派生のちょっとオシャレな軽バンとして2018年にデビューしたのがホンダ N-VANだ。

デビュー直後から軽バン界の2大巨頭であるダイハツ ハイゼットカーゴとスズキ エブリイに迫る登録台数を記録。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大や半導体不足の影響で新車の生産が追いつかず、現在でも注文から納車まで半年待ちといった状況が続いている。

そこで提案! N-VANを少しでも早く手に入れたいと思っている人は、中古車での購入を検討してはいかがだろう? 中古車市場での流通台数は1200台をコンスタントに超えてきており選択肢は豊富。さらに良コンディションの物件が、新車価格より安く買えるようになっている。

例えば、人気グレード「+スタイル ファン」の修復歴なし・走行距離3万km未満という条件でも総額140万円~と、諸費用分がオトクになる価格の物件が多く流通している。

この記事ではN-VANの概要やグレード体系をチェックしつつ、お買い得感の高い「+スタイル ファン」を中心にオススメの物件を紹介していく。

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ホンダ N-VAN(現行型) × 全国
 

商用車の使い勝手+快適な乗り心地

アクティバンの後継車種として、またプライベートユースを意識した新ジャンルの軽バンとして開発されたN-VAN。競合車であるダイハツ ハイゼットカーゴ、スズキ エブリイとの最大の違いは、前者がエンジンを前席下に搭載するセミキャブオーバー型であるのに対して、N-VANはフロントに搭載するボンネット型であるという点だ。

この設計手法が、運転感覚や車内の作りに明確な違いをもたらした。簡単に言うと、セミキャブオーバーの乗り心地がトラック然としているのに対して、N-VANのそれはトールワゴンそのもの。バンゆえに積載を重視しているが、サスペンションは日常ユースでも全く不快さを感じないほどソフトライドだ。

ボンネットがある分、車内寸法はライバルよりも若干短くなっているが、そこは使い勝手の良さでカバーする。燃料タンクを腹下に薄く広く設置するセンタータンクレイアウトとすることで低床化を実現。助手席&後席には折り畳むと下方に沈む込むダイブダウン機構を採用して、長くフラットな積載スペースを確保した。

N-VAN ▲助手席をダイブダウンさせた時の最大積載スペースは長さ2635mm。ロングボードなどの長尺物を積むのに便利だ

また、助手席側のセンターピラーはスライドドア内に埋め込まれており、ボディサイドがガバッと大きく開く構造。トールワゴンで好評を得ている技術を貨物車に転用し、見事に成功したのである。

 

グレード体系はシンプルなビジネス系と、装備充実の「+スタイル」系

さて、そんなN-VANのラインナップはかなり豊富。シンプルな装備&外観のビジネス系グレードと、プライベートユースを意識し、(軽バンとしては)装備内容を豪華にした「+スタイル」系グレードに大別できる。ビジネス系は「G」と「L」の2タイプ。

N-VAN ▲ビジネス系グレードの外観はアクティバンを思わせるシンプルさ。リアシートはヘッドレストがない仕様となっている
N-VAN ▲CVT車のシフトレバーはインパネに配置される。ビジネス系グレードにはMT車も設定

「+スタイル」系はハイルーフの「+スタイル ファン」「+スタイル ファン ターボ」と標準ルーフの「+スタイル クール」「+スタイル クール ターボ」の4タイプを用意。それぞれのグレードにFFと4WDが設定され、一部グレードにはホンダセンシング非装着車も用意された。

「+スタイル」系はフロントグリルにクロームメッキが入り(「ファン」はボディ同色+クロームメッキ、「クール」は全面クロームメッキ)、バンパーもLEDフォグライトが内蔵される専用デザインに。リアシートもヘッドレスト付きとなるなど、インテリアでもビジネス系グレードと差別化されている。

「+スタイル ファン」はブラックアウトされたヘッドライトベゼルに、丸く縁取られたLEDヘッドライトが内蔵されるかわいらしい顔つきが特徴だ。スマートキーが標準であるなど、装備内容もワゴンに近いものとなっている。

なお、2021年2月のマイナーチェンジによりホンダセンシング非装着車は廃止され、全車標準装備に。また、唯一の標準ルーフ仕様だった「+スタイル クール」シリーズも廃止され、「+スタイル」は「+スタイル ファン」シリーズのみとなった。

 

「+スタイル ファン」で、新車価格より10万円以上安い物件が流通

N-VAN ▲中央にクロームメッキの入ったフロントグリル、丸目ヘッドライトなどかわいらしい外観が特徴の「+スタイル ファン」

N-VANの流通台数は1200台を超えており、年式を見るとデビュー年、デビュー翌年の年式より今年初度登録された物件の方が多い。つまり、「新車に近いコンディションのN-VANを、中古車でリーズナブルに、スピーディに手に入れたい」と思っている人にとって今は願ってもない状況と言えよう。

中古車平均価格は150万円前後。ビジネス系グレードが約3割、「+スタイル」系グレードが約7割という比率になっている。

「+スタイル」系ではハイルーフ仕様で現在も新車が継続販売されている「+スタイル ファン」の人気が高く、実にN-VAN中古車全体の半数以上を占めていて流通量が豊富。 「+スタイル ファン」の場合、価格は総額100万円弱からのスタートとなるが、その価格帯では走行距離10万kmを超えている物件がごく普通だ。

貨物車であるN-VANだけに走行距離が進んでいても適切に整備されてきた物件、あるいは購入後の重整備を前提とするなら問題ないが、一般ユーザーが手を出すのはややリスクが高い。ということで、オススメは走行距離3万km以下の「+スタイル ファン」。

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ホンダ N-VAN(現行型) × 「+スタイル ファン」 × 走行距離3万km以下

予算の目安は総額140万円から、「+スタイル ファン ホンダセンシング」の場合で145万円から、「+スタイル ファン ターボ ホンダセンシング」の場合で総額150万円から、となる。

当時の新車車両本体価格に対しておおむね10万~15万円安というところで、諸費用分+αの金額がオトクになる計算。十分にお買い得感があるだろう。

次にビジネス系グレードに目を向けると、上位グレードの「L」より、最廉価となる「G」グレードの割合が多く、走行距離にこだわらなければ総額60万円台から狙うことができる。

走行距離5万km以内でも総額100万円~。しかも、多くの物件がホンダセンシング搭載車だ。

これからN-VANでビジネスを始めよう、あるいはキャンピング仕様などに架装して楽しもう、という人にちょうど良い選択肢となるだろう。

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ホンダ N-VAN(現行型) × 「G」

ちなみに、雪国に暮らしている人やアウトドアでN-VANを使おうと思っている人にとって心強い4WD仕様の割合は、中古車市場に流通しているN-VAN全体の2割ほど。

ビジネス系グレードで総額120万円台~、「+スタイル ファン」で総額130万円台から狙うことができる。

新車より安い物件は少ないものの、こちらも低走行車が多く流通しており選びやすい状況となっている。

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ホンダ N-VAN(現行型) × 4WD

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ホンダ N-VAN(現行型) × 全国

※記事内の情報は2022年10月10日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/ホンダ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。