三菱 eKカスタム ▲トールワゴンの3代目eKワゴンをベースに、スタイリッシュでスポーティな内外装としたものがeKカスタム(初代)

スーパーハイト軽ワゴンに隠れた存在の狙い目モデル

維持費が安いにもかかわらず、普通車並みかそれ以上の装備をもつことで人気を集めている軽自動車。特にスーパーハイト軽ワゴンはいまだに安定した人気を誇っており、中古車価格は高値安定傾向にあります。

その一方で、比較的安価で狙うことができるのが、スライドドアを持たない「トールワゴン」と呼ばれるタイプのモデルです。

スーパーハイト軽ワゴンに匹敵する装備をもちながらも、スライドドアでないという理由で手頃な価格となっており、実は非常に買い得なモデルとなっています。

そんな軽トールワゴンの中でも比較的高年式ながら、平均価格70万円台と買いやすい価格となってきた初代eKカスタムをご紹介しましょう。

三菱 eK ▲初代ekカスタムの中古車平均価格は2020年初頭から下落を始め、昨年末には70万円台前半まで落ちている

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三菱 eKカスタム(初代) ×全国

3代目eKワゴンの「カッコeK」モデル、それが初代eKカスタム

2013年6月に登場したeKカスタムは、三菱がリリースしているトールワゴンであるeKワゴンの派生車種で、3代目eKワゴンのスポーティカスタマイズモデルです。

初代、2代目のeKワゴンは三菱独自開発のモデルでしたが、このモデルからは日産との共同出資で生まれた合弁会社「NMKV」が手がけており、いわば三菱と日産が共同開発したモデルになります。

三菱 eK ▲右が「eKカスタム」で、左がベースとなった「eKワゴン(3代目)」となる(写真は後期型)

そんな3代目eKワゴンがベースのeKカスタムは、大型のメッキグリルとディスチャージヘッドランプを採用した精悍なヘッドライトを備えたフロントマスクをもち、サイドエアダムやリアスポイラーなどを装着したことでスポーティさと力強さをもったエクステリアが最大の特徴。

内装も黒を基調としたスポーティなもので、シート表皮には縦柄のスエード調ファブリックを採用して上質さも兼ね備えていました。

三菱 eKカスタム ▲スポーティな黒で統一され、上質で質感の高さが伺えるシート表皮をもつeKカスタム

また、2015年10月の改良ではフロントマスクを一新。同時期に販売されていたアウトランダーに採用された「ダイナミックシールド」というデザインコンセプトを採用し、他の三菱車と共通の顔つきとなりました。

三菱 eKカスタム ▲アウトランダーを皮切りに採用された「ダイナミックシールド」というデザインコンセプトを採用した後期型

メカニズム的にはベースとなったeKワゴンと同じく、660ccの3気筒エンジンを搭載していましたが、eKカスタムの特徴として当初からターボエンジン搭載グレードが用意されていたことが挙げられます(eKワゴンには2015年10月から追加)。

先進安全装備については2013年の登場時には設定がなかったものの、2014年12月に衝突被害軽減ブレーキと前方誤発進抑制機能、アクティブスタビリティコントロールをセットで装備した「e-Assist」系グレードを追加。

このe-Assistは2018年5月に改良がなされ、衝突被害軽減ブレーキは対車両の作動速度域の拡大と歩行者に対しても作動するようになり、誤発進抑制機能も後退時にも作動するとともに前進時は歩行者にも対応。さらに、出力制御だけでなくブレーキ作動も加わるといった進化が見られました。

ただし、eKカスタム自体は2019年2月に生産終了となったため、進化したe-Assistを搭載したモデルは希少となっているので注意が必要です。

では初代eKカスタムを狙う場合、どんな仕様がオススメなのでしょうか? 今回は予算別に3パターンに分けてご紹介します。

三菱 eKカスタム ▲いざというときに被害を軽減してくれる先進安全装備は今や必須の装備と言っても過言ではない

お手頃感ある総額70万円以下のオススメ
走行距離10万km以下のターボエンジン搭載モデル

三菱 eKカスタム ▲価格帯的に前期型が中心となるが、意外にも低走行車も見つけることができる

原稿執筆時点でおよそ450台の物件掲載があるeKカスタム。

平均価格よりも安い総額70万円以下とすると、半数以上の230台ほどがヒットします。

さらに、ターボエンジン搭載モデルに絞っても100台ほどあり、意外にも手頃な価格で狙うこともできそうな雰囲気。

自然吸気(NA)エンジンも街中をのんびり走る分には過不足ない実力を持ち合わせていますが、複数人が乗車する場合や山坂道を走る場合、高速道路を使って遠出をするシーンではやはりターボエンジンの余裕は魅力的。

さすがに前期型が中心とはなりますが、支払総額40万円台でも10万km未満の物件が見つかるなど、買い得感は強そうです。ぜひ積極的にターボエンジン搭載グレードを狙ってみてください。

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三菱 eKカスタム(初代) ×総額70万円以下×走行距離10万km以下×過給機設定モデル×全国

ちょっと奮発して総額70万~100万円以下のオススメ
後期型のディーラー系中古車

三菱 eKカスタム ▲「ダイナミックシールド」を採用した後期型であれば、古さを感じさせない点も魅力のひとつ

続いては少し予算を上げて、総額70万~100万円の物件をチェックしてみましょう。

この価格帯に絞って検索すると50台ほどがヒット。フェイスリフト後の後期型、つまり比較的高年式の物件が中心となり、ほとんどが修歴のない物件となります。

また、走行距離もほとんどが7万km以下で、1万km未満という低走行車も10台ほど掲載されていました。

さらには、ディーラー系中古車店の物件も多く、保証の充実した安心して乗れる車両が揃っている印象でした。

初めての車としてekカスタムを検討している方も多いと思いますので、この価格帯では「走行距離7万km以下の後期型・ディーラー系中古車」をオススメさせていただきます。

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三菱 eKカスタム(初代) ×総額70万~100万円以下×2015年10月以降生産モデル×走行距離7万km以下×ディーラー系販売店×全国

余裕ある予算の総額100万~140万円以下のオススメ
特別仕様車「ACTIVE GEAR」の最終型

三菱 eKカスタム ▲随所にオレンジの差し色がプラスされ、アクティブなイメージがプラスされた「ACTIVE GEAR」は全車ターボモデルとなる

最後は、平均価格よりもだいぶ高めの140万円までの物件。

かなり高額な印象があるかもしれませんが、eKカスタムの最終型は最も安価な「G Safety Package」であっても151.2万円~という新車価格であったため、実は現実的な価格だったりします。

さすがにこの価格帯になると、進化した予防安全技術の「e-Assist」が設定された2018年5月以降の最終型が多くなり、人気の特別仕様車「ACTIVE GEAR」の低走行車も射程圏内となります。

ちなみに、「ACTIVE GEAR」とはデリカD:5やアウトランダーにも設定されたもので、ミラーやグリル、ステアリングのステッチなどにオレンジの差し色が入れられたモデル。

ベースとなったのは最上級グレードの「T Safety Package」だったため、新車時は170万円ほどのプライスがつけられたものでした。

やや台数は少なくなりますが、この「ACTIVE GEAR」の最終型であっても総額100万円台~140万円台で狙うことができるため、より特別なeKカスタムを狙う人にオススメできる1台と言えるでしょう。

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三菱 eKカスタム(初代) ×総額100万~140万円×2018年5月以降生産モデル×「ACTIVE GEAR」×全国

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三菱 eKカスタム(初代) ×全国
文/小鮒康一、写真/三菱自動車
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター、S660。