ホンダ シビックタイプR ▲弾丸をモチーフとした「ニュー・ブリットフォルム」をテーマに開発された2代目シビックタイプR

“不人気タイプR”といわれていたが……

ホンダのスポーツモデルの中でも頂点となる「タイプR」は、現在に至るまで様々な車種に設定され多くのユーザーをとりこにしてきました。そのタイプRシリーズの中でも、エントリーモデルとして人気を博してきたのが「シビックタイプR」でしょう。

1997年に初代モデルが登場したシビックタイプRは、大衆ハッチバック車をベースとしながらもレーシングカーを思わせるハードな足回りと8200回転で185psを絞り出す1.6Lエンジンを搭載し、人気を博しました。

そして、2022年には11代目のシビックをベースとしたタイプRが登場することがアナウンスされており、いまだに高い人気を誇っていることが分かります。

そんな歴代シビックタイプRの中でも、ややマイナーな存在といわれていたのが2001年に登場した2代目・EP3型でした。

ホンダ シビックタイプR ▲日本では3ドアハッチバックのラインナップがなかったため、イギリスからの輸入車ということになっていた2代目シビックタイプR

7代目シビックをベースとして生まれた2代目シビックタイプRは、それまでの1.6Lから2Lへと排気量がアップされ、215psというスペックを誇るK20A R-specと呼ばれるエンジンを搭載。

ベースとなったシビックの日本仕様は5ドアハッチバックと4ドアセダンのみのラインナップでしたが、タイプRについては先代と同じく3ドアハッチバックボディとなっています。

ホンダ シビックタイプR ▲排気系の違いでインテグラタイプRよりも5ps低いスペックとなっていたが、エンジン自体は同じものだった

そんな2代目シビックタイプRですが、シビックよりも先にインテグラタイプRの2代目モデルが登場。こちらは、同じエンジンを搭載していながらも排気系の違いによって220psとやや出力が高く、ブレンボ製のブレーキを採用するなどシビックよりもスポーツイメージが強くなっていました。

また、パワーステアリングについてもシビックタイプRが電動パワステなのに対し、インテグラタイプRは油圧式。当時はスポーツ走行には油圧式が向いているという声もありましたが、今ではパワーロスがない電動パワステが主流なのはご存じのとおりですね。

それ以外にも、シビックタイプRはエアコンなどの快適装備が標準ではなく、オプション装着するとインテグラタイプRの価格にほど近くなってしまうことや、シビックタイプRがイギリスからの輸入モデルであったことなども影響し、販売面では圧倒的にインテグラタイプRに軍配が上がる結果となってしまったのです。

ホンダ シビックタイプR ▲電動パワーステアリングの他、インパネシフトも2代目シビックタイプRの特徴

そのため、長らくシビックタイプRの中では不人気なモデルという扱いを受けてきた2代目。他の世代に比べて中古車価格が落ち着いていた印象がありましたが、ここへきていよいよ中古車価格が上昇し始めてきました。

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(2代目) ×全国

2代目シビックタイプRの気になる平均価格と掲載台数の推移は?

2019年のころは平均価格も100万円弱といったところで、マイナーな存在らしい低空飛行状態でした。

しかし、2020年秋ごろに一気に20万円ほど平均価格が跳ね上がるとその後は上昇を続け、2021年の冬にはついに150万円を突破するまでに至っています。

ホンダ シビックタイプRの価格推移グラフ

不人気モデルとはいえ、タイプRの名に恥じない高い性能をもっているため、他の国産スポーツカー同様にその価値が再評価されている結果かもしれません。

とはいえ、2代目インテグラタイプRの平均価格はすでに180万円を突破しており、現時点で最も買いやすいタイプRは2代目シビックタイプRであることに違いはないでしょう。

現在の延べ掲載台数は、月に40台ほどと決して多くありませんが、2020年には20台まで下がったことを考えると、徐々に増えてきていると言って良いでしょう。大切に乗ってきたユーザーが、価格高騰を受けて手放したというケースもありそうです。

では、そんな2代目シビックタイプRを狙うのであればどんな仕様がオススメなのでしょうか?

限られた予算でもタイプRを狙いたい!
車両本体価格140万円以下 × 修復歴なし

ホンダ シビックタイプR ▲全体で5000台以下という販売台数にとどまった2代目シビックタイプR。写真の後期型は1000台弱とさらに希少

走りの楽しいスポーツモデルということもあって、手頃な価格帯の物件は軒並み走行距離の進んだものとなっています。それでも、車両平均価格よりも少し安い140万円以下かつ修復歴なしで検索すると10台がヒット。

趣味性の高いモデルゆえ、いくら多走行とはいえ過去のオーナーがしっかりメンテナンスをしてきた物件も多そうです。

そのため、あえて走行距離に上限を設けずに探すことをオススメします。修復歴のない物件であれば、走行距離が多くても状態が良い掘り出し物に出合えるかもしれません。

ちなみに、この条件でヒットした最も低走行な物件は10.4万km、最も多走行な物件は26.5万km(!)となっていたので、しっかりメンテナンスをすれば10万kmオーバーでもまだまだ乗ることができるとも言えるのです。

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(2代目) ×車両本体価格140万円以下×修復歴なし×全国

一生乗りたいからやっぱり低走行!
走行距離7万km以下 × 修復歴なし

ホンダは今後電動化に舵を切ることを明言しているため、純然たるガソリンエンジンのスポーツモデルは2022年に発売される新型シビックタイプRが最後ともいわれています。

となってくると、歴代のシビックタイプRシリーズにもさらに注目が集まり、今後さらに値上がりしていく可能性が大きいでしょう。

そのため、今後長く(もしかしたら一生)乗り続けたいという人もいるはずです。

そんな人には、やはり少しでも状態の良いものを今のうちに手に入れてほしく、走行距離7万km以下かつ修復歴なしという条件をオススメします。

この条件では5台がヒットし、最も高いものは268万円の後期型、走行距離4.3万kmという物件でした。

執筆時点ではこれが最も高額な部類の物件であり、新車価格を大きく超えるほどのプレミア化はまだギリギしておらず、今のタイミングではまだ現実的な価格と言えます。

手の届くうちに、状態の良さそうな物件を手に入れておくのはいかがでしょうか?

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(2代目) ×走行距離7万km以下×修復歴なし×全国

恐らく今後、大きく相場が崩れることは考えにくいので、状態の良いものを購入するのであれば、今がラストチャンス。「あのとき買っておけばよかった……」と後悔することがないように、早めの行動をオススメします。

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(2代目) ×全国
文/小鮒康一 写真/ホンダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。