3代目・NC型マツダ ロードスターの価格がここにきて上昇中! もはや不人気世代とは言えぬ状況に
2022/01/20
2年間ほぼ横ばいだった平均価格が2021年に入って上昇基調に!?
メルセデス・ベンツ SLCなど輸入車のライバルたちの生産が終了し、ますます「ライトウエイト2シーターオープンスポーツカー」という希少価値が高まっている歴代のマツダ ロードスター。現行型のND型は4代目となり、現在も生産が続いている。
中古車も、他の車たちと比べるといずれも人気は高く、なかなか値落ちしない代表モデルの一つとなっている。
しかし、歴代の中で最もサイズと排気量が大きい3代目・NC型は、年式や走行距離の割にお買い得感があり、中古車平均価格は2019年~2020年の2年間はほぼ横ばいで安定していた。
「ライトウエイト」という点を求めるユーザーにはやや受け入れられなかったことが要因の一つだろう。
だが、2021年に入ると状況が変わり、NC型の中古車価格もジワジワと上昇し始めたのだ。なぜ価格が上がっているのか? 買うなら今のうち? まずは相場状況から見ていこう。
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マツダ ロードスター(3代目・NC型)×全国希少価値の高まりと、手頃な価格、コンディションの良さが値上がりの要因か
3代目・NC型ロードスターは、歴代の中で唯一全長が4000mmを超える4020mm(マイナーチェンジ後)で、最も大きい2Lという排気量のエンジンを搭載し、車両重量も歴代トップとなる1110kg(2L・5速MT車)。
そんなスペックを敬遠した人もいたようで、国内販売台数は歴代の中で最も少なかった。
一方で、前後50:50の重量配分をはじめ、初代から続く人馬一体感が追求されたロードスターであることは紛れもない事実。
そのため一定のファンもいて、先述のとおり、2019~2020年の2年間の中古車平均価格は100万~110万円と、しっかりと価格を維持しながら横ばいで推移していた。
ところが2021年に入ってから、平均価格はジワジワと上昇を始め、2021年12月には1年前の同月と比べて約23万円も高い130.5万円となった。
かといって流通台数が大きく減ったということもなく、低走行車や高年式車が増えているわけでもなさそうだ。
平均価格が上がった要因として考えられることは、やはりFRのライトウエイト2シーターオープンスポーツカーという希少価値が高まっていることがありそうだ。
初代・NA型はすでにクラシックカー並みに値上がりしているし、2015年5月から販売されているND型(4代目)は原稿執筆時点で245.4万円と新車時価格とあまり変わらないほどの中古車平均価格になっている。
一方で、2代目・NB型は原稿執筆時点で82万円と、歴代モデルの中ではお手頃感があるが、1998年1月~2005年7月という生産期間を考えればコンディションに不安が残るのも事実だ。
こうしたことを踏まえると、NA型やND型よりも安い支払総額150万円ほどで手に入り、NB型よりはコンディションの良さそうなことから人気がジワリと高まり、NC型の価格が上昇していると考えられる。
NA型(初代)のフォロワーとして誕生したメルセデス・ベンツ SLC(当初の名はSLK)は2019年に生産が終了し、アウディ TTロードスターも2020年のファイナルエディションでその歴史に幕を閉じた。BMW Z4も現行型が最後だと噂されている。
しかも、これら海外のライバル勢と比べたら、たとえ歴代の中で最も大きく、大排気量で、重いとはいえ、NC型は十二分にライトウエイトな2シーターオープンスポーツカーだ。それが支払総額150万円程度で手に入るのだから、人気になっても不思議ではない。
この先、新たにライトウエイト2シーターオープンスポーツカーが増えるわけでもないことから、しばらく価格は上昇か高止まりすることが予想される。一方で、生産終了から約7年が経ち、低走行車も増えることはないだろう。
「NC型は歴代の中では手頃で、価格は横ばいだからいつでも買える」というのは過去の話。今のうちに狙うのが正解と言えそうだ。
では、NC型の中でどのグレードを狙うべきか。モデル変遷や中古車価格を見ながら考えてみよう。
隅々まで人馬一体感ある走りが追求された正常進化型
2005年8月に登場した3代目・NC型ロードスター。衝突安全性を高めるため、デビュー時のボディサイズは全長3995mm×全幅1720mm×全高1245mmと、ロードスターで初めて3ナンバーサイズとなった。
2代目・NB型と比べて全長・全幅とも+40mmmとなり、ボディ剛性が強化されているにもかかわらず、徹底的に各部位のグラム単位での軽量化がほどこされ、車両重量はわずか10kg増(いずれもグレードはRSでの比較)にとどめられた。
「人馬一体」をテーマに開発されたボディは、2人乗った状態で前後重量配分を50:50とした。また、ヨー慣性モーメントを低減するため、NB型よりエンジンを135mm後方に移動するなど、重心点に重量物を寄せ、かつ下方にして低重心化が図られている。
搭載されたエンジンは2Lの自然吸気ガソリンエンジン。これもNB型の1.8Lエンジンより19.1kgも軽量化されている。トランスミッションには5速か6速のMT、あるいは6速ATが組み合わされる。
低回転から高回転までエンジンがストレスなく回せることや、ステアリングやシフトフィーリングの気持ち良さも追求された。
デビュー時のラインナップはベースグレード(5速MT/6速AT)と、スポーティなRS(6速MT)、装備充実のVS(6速MT/6速AT)の3グレードだった。
2006年3月には、車高調機能付きビルシュタインダンパーなどが備わる、レース仕様ベースモデルのNR-A(5速MT)が追加された。
そして同8月には、独自の電動ルーフシステムを備えたパワーリトラクタブルハードトップ(RHT)モデルも追加。トランクスペースをまったく犠牲にしない世界初の電動ルーフシステムで、グレード構成はソフトトップモデル同様、ベースグレードRHT(5速MT/6速AT)とRS RHT(6速MT)、VS RHT(6速MT/6速AT)という3グレードだ。
マツダ車は国産車としては珍しく、度々マイナーチェンジや一部改良で動力系にも手が加えられる。ロードスターも例外ではなく、中古車を購入するなら、何がいつ改良されたのか下記で確認しておこう。
■2008年12月:マイナーチェンジ
内外装のリファインの他、グレード構成が見直され、ソフトトップはベースグレードの「S(5速MT)」、レース仕様ベースの「NR-A(5速MT)」、スポーティグレードの「RS(6速MT)」とすべてMT車となった。またデザイン変更に伴い、全長は歴代モデル最長の4020mmとなった。
一方、パワーリトラクタブルハードトップ(RHT)はベースグレードの「S(6速AT)」、スポーティグレードの「RS(6速MT)」、最上級グレードの「VS(6速AT)」とAT車が中心となり、ソフトトップより上質感や快適性を重視したモデルという位置付けが明確化された。
また、人馬一体のためのさらなる性能強化が図られている。例えば、MT車のレブリミットが7000rpmから7500rpmへ引き上げられ、エンジンパワーを使い切るフィーリングが高められた。これに合わせて6速MTも改良されている。
同時に6速AT車にはアクティブ・アダプティブ・シフト機能が備えられた。これにより路面やドライバーの操作状況からスポーティ走行と判断すると、積極的に自動でシフトダウン/シフトアップを行ってくれ、ドライバーの意に即したスポーティな走りをサポートしてくれる。
■2012年7月:一部改良
内外装のデザインが一部見直された他、MT車の加速コントロール性能の向上と、全車の減速コントロール性の向上が図られた。
■2013年12月:一部改良
レカロ社製バケットシートの設定や一部グレードのフォグランプの標準装備化など装備の充実化が図られた。
なお、ロードスターにはいくつかの特別仕様車が販売されたが、特に走りにこだわったモデルが2つある。
一つは2007年4月に販売されたマツダスピードM'zチューン。ソフトトップのRS(6速MT)をベースに、専用コンピュータやビルシュタイン社製サスペンションなどが備わるモデルだ。
もう一つは2014年5月に販売された25周年記念車だ。
RS RHT(6速MT)をベースに、ピストンやコネクションロッド、フライホイールなどエンジンの回転系部品がベストなバランスになるよう厳選されたモデルだ。
ロードスター誕生25周年を記念して世界中で販売された特別仕様車で、日本仕様は25台限定で販売された。
いずれの特別仕様車も中古車市場ではレアな存在で、根気強く探す必要がある。では、手頃にNC型を楽しむなら、どんなグレードがいいだろう。下記で見ていこう。
ソフトトップならRS、RHTならVSがオススメ
原稿執筆時点で306台掲載があったうち、ソフトトップとRHTはほぼ同数見つかったため、好みの物件を見つけるハードルはどちらもほぼ同じと言って良さそうだ。
そのため、まずはソフトトップとRHT、どちらにするかを決めよう。
NA型(初代)から続くオープンスポーツカーらしい楽しさを堪能したいなら、ソフトトップのMT車だろう。
中でも小気味よくスポーティにロードスターを駆ることができる、6速MTのRSがオススメだ。
台数も多く、原稿執筆時点でソフトトップの約4割を占める65台あって見つけやすい。
ただし、支払総額2桁万円から見つけることができるが、そのほとんどが走行距離10万km超。
比較的低走行の走行距離5万km未満はわずか15台だが、それでも支払総額150万円以下から見つけることができる。コンディション重視なら予算を150万円以上は見ておくのが良いだろう。
なお、もう少しだけ予算を上げられるなら、RSの中でも動力性能が改良された2008年12月のマイナーチェンジ以降の後期モデルをオススメしたい。こちらも台数は18台と少ないが、支払総額約160万円から探すことができ、お得感は高いと言える。
▼検索条件
マツダロードスター(3代目・NC型)×RS×全国一方で、オープン/クーペを両方味わえて、快適性も求めるなら、RHTの最上級グレードであるVS RHTがオススメだ。
最上級グレードゆえ本革シートをはじめ装備が充実していて、原稿執筆時点で57台とRHTの中では最も多い3割以上を占めていて選びやすい。
見つかったVS RHTのほとんどは6速AT車で、“快適なロードスター”というVS RHTの性格にピッタリだ。
こちらも走行距離10万km超なら支払総額2ケタ万円から見つけることができるが、走行距離5万km未満に絞るとやはり15台ほどしか見つからない。
ただし、ソフトトップのRS同様、5万km未満で支払総額約150万円から狙うことができる。
走行性能が向上した2008年12月のマイナーチェンジ以降の後期モデルは、他のグレードよりも多いため積極的に探してみよう。後期モデルで5万km未満なら支払総額約160万円から、10万km未満なら支払総額約130万円から見つけることができる。
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マツダ ロードスター(3代目・NC型)×VS RHT全国▼検索条件
マツダロードスター(3代目・NC型)×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。