スバル BRZ ▲今年7月に新型が登場し、旧型モデルとなった初代BRZですが、スポーツカーらしく軽快で気持ちの良い走りは健在

新型モデルの登場で、初代の中古車流通状況に変化が

スバル BRZといえば、言わずと知れたFRスポーツモデルで、トヨタとスバルの共同開発で生まれた車両でありトヨタ 86と兄弟車関係にある1台。

今年7月には2代目となる新型が登場し、数少ない国産スポーツカーというジャンルを盛り上げる存在となっています。

そして、その新型登場に伴い、ここ最近初代の中古車流通状況に変化が出てきているのです。
 

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スバル BRZ(初代) ×全国

水平対向エンジンを搭載した低重心パッケージのスポーツカー

スバル BRZ
スバル BRZ

中古車の状況を見てみる前に、以下初代BRZという車について簡単に振り返ってみましょう。

搭載される、エンジンはスバルのアイデンティティでもある水平対向エンジン。低重心なパッケージと走る楽しさを追求したハンドリングの味付けで多くのファンを獲得しただけでなく、多くのアフターパーツメーカーも巻き込んでチューニングの楽しみも多いモデルとなっています。

そんなBRZは2012年3月に発売がスタートし、200psを発生させるFA20型水平対向4気筒2Lに6速のMTもしくはATが組み合わされるというラインナップ。

前期型においてはサスペンションの味付けが86と若干異なる程度で、メカニズム的には86とほぼ同一となっていました。

逆に明らかに異なっていたのがエクステリア。特にフロントマスクは両車異なるデザインを採用していましたが、86がウインカー別体のヘッドライトを採用していたのに対し、BRZはヘッドライト内にウインカーが備わるものを採用。

この違いが影響し、86はローダウンしていくと最低地上高の問題よりも先にウインカーの位置が車検NGの位置となってしまい、BRZよりも車高を落とすことができないという問題が発生してしまったのです。 


トヨタ 86 ▲こちらはデビュー時のトヨタ 86。BRZと比べてみると、結構デザインが異なることがわかります

後期型では86もヘッドライト内にウインカーが備わるものに変更されていますが、前期型ベースでローダウンを検討しているのであれば、BRZの方が有利という点は覚えておいて損ないでしょう。

そして、2016年7月にはマイナーチェンジを実施。MT車は吸排気系の見直しによって+7ps/0.7kg・mの出力向上を実現。サスペンションの味付けの見直しやボディ剛性のアップ、メーターデザインの一新などでより近代的な印象となりました。

その後、初代BRZは2020年7月で受注を終了し、2021年7月に登場した2代目モデルへとバトンタッチを果たします。
 

スバル BRZ ▲スバルお得意の水平対向エンジン。デビュー時のスペックは最高出力200ps/最大トルク205N・m
スバル BRZ ▲ドライバーの手の動線を考慮したレイアウトなどにより、スポーティなコックピット空間が演出されています
スバル BRZ ▲決して広いとは言えませんが、何かと便利な後部座席も備えられています

新型が登場した結果なのか、一気に中古車流通台数が増加し、現在は最も中古車物件を選びやすいタイミングになっていると言えます。

では、現在までの初代BRZの中古車流通状況の推移を見てみましょう。
 

初代スバル BRZの平均価格と掲載台数の推移は?

初代BRZの中古車流通台数を見ると、新型登場以降急激に増加しています。直近10月は1年前に比べ250台も延べ掲載台数が増加し、過去一番の流通量となっています。

恐らくは、初代から新型への乗り替えが進み、下取り車が増えたことが要因かと思われます。

そのため、自分好みの初代BRZを探すのに絶好のタイミングであると言って良いでしょう。
 

スバル BRZ ▲ご覧のとおり、新型登場以降、急激に掲載台数が増加しています

通常であれば、供給量が増加すると価格は下がる傾向にあります。

マイナーチェンジ後の車両が3~5年を迎えて市場に流れた物件が増えたためか、スポーツカー全般の高騰が影響しているためか、2019年時点よりは若干平均価格は上がっていますが、新型が登場した後も大きな変化は見られません。

また、他のスポーツカーを見るとごく希に新型の評価が芳しくなく、旧型の価値が上がるというケースも過去にはありましたが、新型BRZは評価も上々のため、引き続き安定した価格となっているようです。
 

スバル BRZ ▲ここ1年の中古車平均価格は、多少の波はありますがほぼ横ばいという状況です

では初代BRZを狙うなら、どんな仕様がオススメなのでしょうか?
 

初代BRZのスペシャルモデル
tS & tS GTパッケージ

スバル BRZ

86のGRMNや14R-60のような超過激なスペシャルモデルこそ用意されないBRZですが、2013年8月と2015年6月にSTIが手がけた特別仕様車の「tS」が限定販売されています。

このtSは、STI製の足回りやボディ補強パーツ、大径ドライブシャフトの採用、18インチアルミホイールにブレンボ製大径ブレーキキットなどが備わる本格的なもので、2013年モデルには「GTパッケージ」としてドライカーボン製リアウイングやレカロ製バケットシートも装着可能となっていました(2015年モデルにはレカロ製バケットシートが標準装備)。

2013年モデルが500台、2015年モデルが300台限定と希少なモデルではありますが、執筆時には17台がヒット。新車時はおよそ370万~440万円と高額なモデルでしたが、執筆時点で掲載されていた物件は高いものでも300万円弱とプレミア価格とはなっておらず、今のうちに押さえておきたい1台です。
 

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スバル BRZ(初代) ×「tS」系グレード×全国

打倒新型! カスタマイズベースに
車両本体価格150万円以下 × MT車

もともとカスタマイズを楽しんでもらいたいという思いをもって生まれた86/BRZだけに、比較的安価な物件をベースに自分好みの1台を作り上げるというのも楽しみのひとつと言えます。

そこで、なるべく安価な物件をベースに……ということで車両本体価格150万円以下のMT車に絞ってみると20台ほどヒット。中には、100万円ちょっとの物件も見つけることができました。

安価な物件はほとんどが初期型で、走行距離も10万km前後のものが中心となりますが、カスタマイズがてらメンテナンスをすることもできます。さらに、このテの車に乗るユーザーはもともとメンテナンスに気を使っている人も多く、走行距離の割に状態が良いものも珍しくないので、思わぬ掘り出し物が見つかる可能性がありそうです。
 

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スバル BRZ(初代) ×車両本体価格150万円以下×MT×全国

新型が登場して話題のBRZではありますが、初代モデルもFR車としては非常に楽しい1台に仕上がっており、まだまだ楽しむ余地のあるモデルと言えます。

新型も先代型のキャリーオーバーの部分も多いため、新型のパーツを旧型に流用するというチューニングもできるハズですから、新旧の良いところを併せ持ったチューニングカーを作るのも面白いのではないでしょうか。
 

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文/小鮒康一 写真/篠原晃一
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター、S660。