トヨタタンク▲人気の軽ハイトワゴンを大きくしたような「スライドドア+背高スタイル」のコンパクトカー(写真はトヨタ タンクカスタム前期型)
 

軽ハイトワゴンと普通車ハイトワゴンの違い

スライドドアを備えた背の高いカタチの「軽ハイトワゴン」。ホンダ N-BOXやスズキ スペーシアなどの人気モデルは、街中でよく目にする。

だが、よくよく見ると「同じようなカタチだけど、軽自動車にしてはちょっと大きい車」がある。

これらの正体は、軽自動車ではない。普通車のスライドドア付きコンパクトカーだ。
 

軽自動車とコンパクトカーの違い ▲カタチは似ているが大きさが異なる。普通車には5人が乗車可能

上の表は、軽ハイトワゴンとスライドドア付きコンパクトカーのサイズなどを比較したもの。

軽ハイトワゴンは軽自動車の規格内に収めるため全長と全幅に制限があるが、スライドドア付きコンパクトカーは全長、全幅ともに軽自動車のそれより大きくなっている。

これにより、後席に3人がけできるスペースが生まれるとともに、前席も運転席と助手席の距離が離れるので、窮屈さを感じずに運転することができる。

荷室の長さは軽ハイトワゴンとスライドドア付きコンパクトカーで大きく変わらないが、全幅がある分、荷室の幅が広くなるので後者の方がより多くの荷物を積むことが可能だ。
 

トヨタタンク ▲室内は横方向に余裕があるため、軽自動車よりゆったり乗れる。積載性も高い(写真はトヨタ タンク)

搭載されるエンジンにも違いがある。軽自動車は排気量の上限が660ccだが、スライドドア付きコンパクトカーは、排気量が大きい分パワーがあるので、高速道路などを走るときや荷物・人を乗せた際に余裕を感じられるはずだ。

ただ、軽自動車は税金が安いので、スライドドア付きコンパクトカー購入時は、軽ハイトワゴンより維持費がかかることを念頭に入れておかなければならない。
 

ダイハツトール ▲軽自動車より横幅がある分、車両全体のバランスが良く安定感がある(写真はダイハツ トール)

デザインを見ると、軽ハイトワゴンは限られた全幅で全高を高くしているので全体的に腰高な印象を受ける。一方、スライドドア付きコンパクトカーは軽自動車より全幅がある分、どっしりとした佇まいになっている。

見た目は軽自動車っぽいが、乗車人数が多くて荷物もたくさん積める。以降では、そんなスライドドア付きのコンパクトカーを予算ごとに紹介する。
 

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スズキ ソリオ/三菱 デリカD:2/ダイハツ トール/トヨタ タンク/トヨタ ルーミー/スバル ジャスティ × 全国
 

総額50万円未満|スライドドア付きコンパクトカー

スズキソリオ ▲スライドドア付きコンパクトカーの先駆け的存在である2代目スズキ ソリオ

この予算で見つかるのはスズキ ソリオ(2代目)と、そのOEMモデルである三菱 デリカD:2(初代)だ。

2代目ソリオのスペース効率は当時のハッチバックで最も優れていて、それはデビューから10年以上経過した現在でも十分通用する。
 

スズキソリオ ▲助手席側のインパネアッパーボクスに保冷機能を搭載するなど、2代目ソリオはユーティリティ性能も高められている使いやすいモデルだ

総額30万円付近でも助手席側に電動スライドドアを備えた前期型の「X」を見つけることができる。走行距離は10万km前後のものが多い。

総額50万円付近にあるのも前期型の「X」が多いが、走行距離7万~8万km程度のものが増えてくる。また、この価格帯だと人気のパール系や黒といったカラーの選択肢も確保できる。

OEMモデルであるデリカD:2も、ソリオとほぼ変わらない条件のものが流通している。デザインにこだわりがなければ、あわせて検討しよう。
 

三菱デリカD:2 ▲デリカD:2(初代)とソリオ(2代目)のデザイン上の違いはエンブレムのみ

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スズキ ソリオ/三菱 デリカD:2/ダイハツ トール/トヨタ タンク/トヨタ ルーミー/スバル ジャスティ × 総額50万円未満
 

総額50万~100万円未満|スライドドア付きコンパクトカー

スズキソリオ ▲フロントライトまわりのデザインが前期型と異なる2代目ソリオの後期型。ドアハンドルのスイッチを押すだけで開閉ができるワンタッチパワースライドドアを搭載

総額50万円台で、両側電動スライドドアを備えた2代目ソリオ前期型の上級グレードである「S」が見つかる。

総額70万円付近には2代目ソリオの前期型で走行距離5万km以下のものや、後期型も狙える。2代目ソリオの後期型は、デザインが優しい雰囲気にあらためられ、アイドリングストップ搭載車には新開発エンジンが搭載されている。

先進安全装備であるレーダーブレーキサポートを搭載した中古車も多いが、この年式だとまだ約5~30km/hの範囲でしか作動しない。もちろん、ないよりあった方がいいが、先進安全装備にこだわって中古車を探している人はもう少し予算を増やして、より性能の高いものが搭載されたものを選びたいところ。
 

スズキソリオ ▲総額100万円近くだと上質なデザインが与えられた2代目ソリオの「バンディット」を買うことも可能。走行距離は5万~8万km程度のものが多い

総額100万円近くになると、数は少ないがダイハツ トールやトヨタ ルーミーも見つかる。ただし、これらは中古車相場の下限付近にあるものになるので、走行距離は2代目ソリオやD:2より多いものが中心になる。

また、総額100万円近くだと3代目ソリオの中古車も見つかるが、こちらもトールやルーミー同様に走行距離が10万km近いものが多い。

この価格帯で中古車を探すなら2代目ソリオの後期型、または初代D:2がオススメだ。
 

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スズキ ソリオ/三菱 デリカD:2/ダイハツ トール/トヨタ タンク/トヨタ ルーミー/スバル ジャスティ × 総額50万~100万円未満
 

総額100万~150万円未満|スライドドア付きコンパクトカー

ダイハツトール ▲ダイハツ トール(初代・前期型)。搭載エンジンは1L 3気筒で、NA(自然吸気)とターボがある

この価格帯になると、ダイハツ トール、そのOEMモデルであるトヨタのタンクとルーミーが探しやすくなる。

トールとタンクはほぼ同じデザインだが、ルーミーは顔つきがかなり変えられているので、どちらが好みか見比べたうえで選ぶようにしたい。
 

トヨタタンク ▲トヨタ タンク(前期型)。デザインはトールとほぼ同じになる

110万円未満のトールやタンクは、エントリーグレードで走行距離5万~7万km程度か、両側電動スライドドアが付いたもので走行距離10万km前後のものになる。
 

トヨタルーミー ▲トヨタ ルーミー(前期型)。フロントライトやグリルなど、顔つきがトールやタンクと異なる

スズキ ソリオはトールやルーミーより少し年式が古いが、2代目の後期型で走行距離5万km前後のものが簡単に見つかる。

総額120万円前後まで予算を増やすと、トールやタンクでも一気に走行距離5万km前後で両側電動スライドドアが付いたものを探しやい。

ソリオも3代目の前期型で、マイルドハイブリッドを搭載したものが見つかる。マイルドハイブリッドにこだわらなければ、走行距離5万km以下の中古車を探すことも可能だ。
 

スズキソリオ ▲3代目ソリオは新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用。剛性感があり、安定感のある乗り味を堪能できる

総額150万円付近だと、条件のいい中古車の選択肢が大きく広がる。

ソリオ(3代目)の前期モデルなら、走行距離2万km前後でマイルドハイブリッドを搭載したものが多く流通。デザインにこだわった上級モデルの「バンディッド」を狙うことも可能だ。

トールやルーミーは衝突被害軽減ブレーキが歩行者にも対応したスマートアシストIIIを搭載した2018年11月以降のモデルも選べる。
 

▼検索条件

スズキ ソリオ/三菱 デリカD:2/ダイハツ トール/トヨタ タンク/トヨタ ルーミー/スバル ジャスティ × 総額100万~150万円未満
 

総額150万円以上|スライドドア付きコンパクトカー

スズキソリオ ▲総額150万円から狙える、機能充実の現行型ソリオバンディット。ヘッドアップディスプレイやアダプティブクルーズコントロールなどを搭載している

この予算になってくると、すべてのモデルで登録済未使用車や、デモカーアップの低走行車を選ぶことができる。また、標準モデルだけでなく、バンディッドなどのカスタムグレードを買うことも可能だ。

ソリオだと2020年12月以降の現行型、トールやルーミーは2020年9月のマイナーチェンジ以降のものが中心になる。なお、このマイナーチェンジのタイミングでタンクは廃止され、トヨタのスライドドア付きコンパクトカーはルーミーのみとなった。また、ルーミーのデザインはトールに近いものに変更されている。
 

ダイハツトール ▲トールカスタム(後期型)。先進安全装備が強化され、電動パーキングブレーキも採用された

年式は2020年式や2021年式が中心になるので、車の状態について心配することもない。もちろん、先進安全装備も最新のものが備わっているし、多くの物件が両側電動スライドドアを装備しているものになる。

新しくて条件のいいものを買って長く乗りたい人は、この価格帯から選ぼう。
 

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スズキ ソリオ/三菱 デリカD:2/ダイハツ トール/トヨタ タンク/トヨタ ルーミー/スバル ジャスティ × 総額150万円以上

※記事内の情報は2021年12月10日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、三菱

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL