先代ホンダ フィットの平均価格がやっと100万円以下に! でも……結局どれを選べばいいのだろう?
2021/08/20
先代フィットは「質」で選ぶべき? それとも「価格」を重視?
使い勝手と走りがとっても良く、なおかつビジュアルもちょっといい感じのコンパクトカー、先代ホンダ フィットの中古車平均価格がついに100万円を切ってきました。
普段づかいのコンパクトカーとして先代フィットに注目はしていたものの、なかなか相場が下がらないことから「とりあえず静観」という状況だった人も多いかと思います。しかし平均価格100万円を切ってきた今こそ、フィット3(先代ホンダ フィット)の中古車を手に入れるタイミングがやってきたといえるでしょう。
とはいえ、先代フィットの中古車は「質」を軸に選ぶか、それとも「価格」を軸にするかで、選び方は少しだけ変わってきます。
本稿では、多くの人がなるべく満足できる先代ホンダ フィットを、なるべくお手頃な予算で入手するための「作戦」を、なるべくわかりやすくお伝えしたいと思います。
▼検索条件
ホンダ フィット(3代目)×全国フルモデルチェンジで相場は下がったが、今度は流通量が減少中
さっそくですが相場状況から見てまいりましょう。下記のグラフをご覧ください。
2019年は「125万円前後で高止まり」という状態だったフィット3の平均価格ですが、2020年の春頃からダウントレンドに転じ、そのトレンドが継続したことで、2021年4月に100万円を切った――という流れになっています。
2020年春に、それまで高値安定だった先代フィットの平均価格が下がった理由は、ズバリ「フルモデルチェンジ」です。
2020年2月に現行型のホンダ フィット(フィット4)が発売されたことで、多くのユーザーはフィット3からフィット4へと乗り替えました。そうすると下取り車としてのフィット3が中古車市場に大量に流れ込みますので、その結果としてフィット3の「高値安定状態」は解消されたのです。
当時の具体的な流通台数とトレンドは下のグラフをご参照ください。新型フィットが登場した2020年2月から、フィット3の流通量が見事に増え始めたことがよくわかります。
ということで先代フィットの中古車は、新型が登場したことで流通量が増え、それに伴って平均価格も下がりましたで、「まぁのんびり探しても大丈夫だろう」という結論になりそうな気もします。
しかし実際はそうではなく、「むしろちょっと急いだ方がいいかも?」といえる状況なのです。
「急いだ方がいいかも」な理由は、上のグラフを見るとおわかりのとおり、今年の2月頃から流通量が急激に減り始めているからです。
これは要するに、フィット4の発売によって市場に増えたフィット3のうち、程度が良かったり、価格と程度のバランスが良好な物件はさっさと売れてしまい、買うべき価値のある物件の残数が急激に減ってきている――ということを、おそらくは意味しています。
そのため、決して安っぽくあおるつもりはないのですが「ちょっと急いだ方がいいかもしれませんよ?」と言いたいのです。
オススメはガソリンよりも断然ハイブリッド
では、現在の市場に残っている先代フィットの中からどんな年式の、どんなグレードを、いくらぐらいで探すべきなのでしょうか? 以下、詳しく見てみましょう。
まずは先代フィットの「グレード」を把握しましょう。細かくいえばいろいろあるのですが、ざっくり考えると(こういうときはなるべくざっくり考えるのがコツです)以下の4種類に大別されます。
●13G|1.3Lのガソリンエンジンを搭載するグレード。JC08モード燃費は26.0km/L。
●15X|1.5Lのガソリンエンジンを搭載するグレード。JC08モード燃費は21.8km/L。
●RS|15Xと同じ1.5Lガソリンエンジンの、ちょっとスポーティなグレード。6MTも選択可能。JC08モード燃費は21.4km/L(※6MTは19.0km/L)。
●ハイブリッド:1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車。JC08モード燃費は36.4km/L。
この中では「ハイブリッド」が断然イチオシです。非常にパワフルなので走行中のストレスがなく、それでいて燃費もフィット3の中では抜群に良好だからです。
次点のオススメはいちおう15Xですが、存在としてやや中途半端かもしれません。13Gは安価なのはいいのですが、やや非力なため、走行時にストレスを感じる人もいるでしょう。
スポーティなRSは(特にその6MTは)やや特殊なので、「スポーティな車がお好きならばどうぞ」といったニュアンスのグレードです。
理想をいえば「Honda SENSING付き」を選びたい
ざっくりとグレード展開を把握したあとは、「一部改良の歴史」も軽く把握しましょう。改良の内容によっては、けっこう重要なポイントになります。
●2013年9月|フィット3発売
●2014年10月|ガソリン車の装備を強化。それまではオプションだった「あんしんパッケージ」が15G以上のグレードで標準装備に。「あんしんパッケージ」というのは、いわゆる自動ブレーキとサイドエアバッグなどがセットになったもの。
●2014年12月|ハイブリッドの装備を強化。「あんしんパッケージ」と「IR/UVカットガラス」などが標準装備に。
●2015年9月|外観デザインを少々変更し、快適装備の類をこまごまと強化。
●2017年6月|マイナーチェンジで運転支援システム「Honda SENSING」を多くのグレードに採用。内外装デザインを少し変更し、ハイブリッドの燃費もやや向上。
この中では2017年6月の「Honda SENSING採用」が最も重要なポイントとなるでしょう。
それ以前の「あんしんパッケージ」に含まれていた自動ブレーキは30km/h以下の低速で走っているときだけ作動するものでしたが、2017年6月以降のHonda SENSINGの衝突軽減ブレーキは5~80km/hで作動。さらにHonda SENSINGは、アクセルペダルを踏まずとも適切な車間距離を保つ「アダプティブ・クルーズ・コントロール」や「車線維持支援システム」など、8つの機能を通して事故を未然に防いでくれます。
つまりHonda SENSINGとあんしんパッケージでは「モノがぜんぜん違う」ということになりますので、先代フィットを買う際に“質”を重視したい場合には、2017年6月以降のHonda SENSING付き物件を選ぶのが正解となるでしょう。
では以上のグレード情報と一部改良情報をベースに、「で、結局どれを選べばいいのか?」という命題についての結論を出してみましょう。
●パターン1:ある程度高くてもいいから、とにかく“質”を重視したい!
・推奨条件=ハイブリッド×Honda SENSING×走行5万km以下
・想定予算=総額130万~220万円。
▼検索条件
ホンダ フィット(3代目)×走行距離5万km以下×予算(130万~220万円)×ハイブリッド×Honda SENSING ×全国「とにかく良いモノが欲しい」というなら、イチオシグレードであるハイブリッドのHonda SENSING付き、すなわち2017年6月以降のハイブリッドL Honda SENSINGまたはハイブリッドS Honda SENSINGを選ぶに限ります。そして走行距離は――本当は一概には言えないのですが――5万km以下を目安にすると、お望みどおりの「良いフィット3」が見つかるでしょう。ただし、この場合の総額は130万円からと、少々お高めにはなります。
●パターン2:質を重視しつつも総額120万円以下に抑えたい!
・推奨条件=ハイブリッド×2015年式以降×LパッケージまたはSパッケージ×走行5万km以下
・想定予算=総額70万~120万円。
▼検索条件
ホンダ フィット(下限なし~2015年)×走行距離5万km以下 ×予算(70万~120万円)×ハイブリッド×Lパッケージ×Sパッケージ ×全国予算を100万円以下にしたい場合は、Honda SENSING付きのハイブリッドはあきらめることになります。ただし「あんしんパッケージ」に含まれる自動ブレーキは欲しいところですので、2015年から2017年途中までの「ハイブリッド Lパッケージ」「同Sパッケージ」の、走行5万km以下の物件を探してみるのがオススメです。
ちなみに、Lパッケージというのはややラグジュアリー寄りの装備となるパッケージで、Sパッケージはパドルシフトやリアスポイラーなどが付いているスポーティなパッケージです。
●パターン3:とにかく安価な「ハイブリッド」が欲しい!
・推奨条件=ハイブリッド×2013~2014年式×走行5万km以下
・想定予算=総額60万~90万円。
▼検索条件
ホンダ フィット(2013~2014年)×走行距離5万km以下×予算(60万~90万円)×ハイブリッド ×全国安全装備の質ではなく「価格の安さ」を軸にフィット ハイブリッドを探すなら、初期年式(2013年9月~2014年11月)のハイブリッドを、走行5万km以下を目安に探してみるといいでしょう。自動ブレーキは付いていませんが、多くの中古車に「バックカメラ」は装着されていますので、駐車はやりやすいはずです。
●パターン4:徹底的に「値段重視」で先代フィットを探したい!
・推奨条件=13G×走行5万km以下
・想定予算=総額50万~80万円。
▼検索条件
ホンダ フィット(3代目)×走行距離5万km以下×予算(50万~80万円)×13G ×全国総予算の安さをメインの軸にして先代フィットを探す場合は、1.3Lガソリンエンジンの「13G」がいいでしょう。というか、1.5Lガソリンの「15X」はそこそこ高めであり、流通量も少ないので、実質的に13Gの一択になります。
13Gはやや非力ですが、普通に走るは走りますので、車の「走り」という部分をさほど重要視しないのであれば、総額50万円から探せる「走行5万km以下の13G FパッケージまたはLパッケージ」が、ちょうどいい感じの“道具”になるはずです。
ということで、以上ご紹介した選び方は「絶対にこうしなければいけない!」というわけでもありませんが、「なにかとベターな選び方」であることは間違いありませんので、ぜひご参考にしていただければと思います。
というかそれよりも、冒頭付近で申し上げたとおり、先代ホンダ フィットの流通量は減少中であり、ぼやぼやしていると「ちょうどいい1台」は市場からどんどん減っていく可能性もあります。
無駄に煽るつもりはありませんが、もしも「便利で手頃で優秀なコンパクトカー」であるフィット3が本当に欲しいなら、なるべく早めに動いてみた方がいいのは確かでしょう。
▼検索条件
ホンダ フィット(3代目) ×全国※記事内の情報は2021年8月18日時点のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。