支払総額150万円以下で狙えるようになった今こそ、V8エンジンを搭載したアメリカンSUVを手に入れるラストチャンス!?
2021/08/20
日本市場からの撤退と電動化で、この先アメリカンV8はさらに希少に
アメリカンV8エンジンといえば、往年のダッジ チャージャーやフォード マスタングといったマッスルカーに代表されるようなパワフルなエンジンだ。もちろん、力強く野山を駆けめぐるSUVにも搭載されていた。
しかし、フォードが日本市場から撤退しクライスラーがフィアット傘下に収まった現在、日本に正規輸入されているアメリカンV8エンジン搭載のSUVは、キャデラック エスカレードとジープ グランドチェロキーSRT8しかない。
約20年前、2000年代初頭を振り返れば、正規輸入されていたSUVだけでも5車種に搭載されており、日本でも割と手軽に買えたのだ。そんなアメリカンV8エンジン搭載のSUVも年月を経て、次第に台数が減ってきている。
一方で、日本には入ってきていないが、ハマーが電気自動車として復活したり、フォードも人気のピックアップトラックF150シリーズに電気自動車バージョンを加えたりと、アメリカ本国でも電動化が進んでいる。アメリカンV8を積んだSUVを味わうなら、今がラストチャンス!?
そんな希少車も、いよいよ支払総額150万円で選べるようになってきた。今回はその中から、正規輸入されたV8エンジン搭載モデルのあるアメリカンSUVを紹介する。
なお、今回紹介するモデルだけに言えることではないのだが、登場から20年近く経過したモデルゆえ、何かしらのトラブルを抱えている物件もあるだろう。
初めてアメ車にチャレンジするなど心配や不安がある方は、アメ車に詳しい販売店で相談したり、点検記録簿をきちんとチェックすることをオススメする。
2代目のみV8エンジンが搭載されていた全米ベストセラー
フォード エクスプローラー(2代目)
当時フォード エクスプローラーは、SUVの本場であった全米で長きにわたりベストセラーSUVの座に就いていた。
それほど人気を誇った2代目が日本でデビューしたのは2001年だ。初代ではV6のみ(本国にはV8も存在)だったエンジンは、2代目では4LのV6に加え、新たに4.6LのV8も用意された。また初代同様、電子制御式のセパレート4WDが全車に備えられた。
最高出力213ps/最大トルク344N・mのV6に対し、V8は242ps/382N・mを発揮。これに5速ATが組み合わされた。また、2代目では3列シート仕様になったのもトピックだ。
ボディも初代と同じくフレームにボディを載せるラダーフレーム構造だが、サスペンションが新調されたことや1000項目以上にも及ぶ改良が施されたことで、剛性や静粛性が大幅に向上。ナンバーワンSUVの名に恥じない走行性能を手に入れていた。
また、V8モデルは本革シートが奢られるなど、同車の中で上級グレードとして位置づけられた。
2005年11月のマイナーチェンジで、フロントマスクの存在感が増したとともに、V8エンジンは296ps/407N・mの新エンジンに切り替えられた。また、走行性能にも手が加えられ、ATが6速化されたり、ロールを抑制するアドバンストラック機能などが備えられた。
デビュー時のV8搭載グレード「エディバウアー」の車両本体価格は452万円。初期型であれば支払総額50万円から、マイナーチェンジ後のモデルでも総額100万円程度から狙うことができる。
▼検索条件
フォード エクスプローラー(2代目)×V8エンジン搭載×総額150万円以内×全国4種類のV8をラインナップしていたジープブランドの最上級モデル
ジープ グランドチェロキー(3代目)
ジープブランドの最上級モデルとして位置づけられているのがグランドチェロキー。2005年に登場した3代目には2種類のV8エンジンが搭載された。
ひとつは伝統の「HEMI(ヘミ)」の名を冠した5.7LのOHVエンジン。最高出力326ps/最大トルク500N・mを発揮する。
もうひとつのV8は、2代目から改良が施された4.7LのSOHCエンジン。最高出力は231ps、最大トルクは410N・mだ。いずれも5速ATが組み合わされる。
すでに2代目からラダーフレームをやめて乗用車同様のモノコック構造となり、3代目ではフロントサスペンションがリジッド(車軸懸架)から独立懸架となるなど、乗用車のような走行性能を手に入れている。
2006年6月には最高出力326psは同じだが、可変シリンダーシステムを備えた5.7LのV8ヘミエンジンを搭載したグレード「オーバーランド」が従来の5.7L V8モデルに変わって投入された。
さらに同年9月には、最高出力426psを発揮する6.1LのV8ヘミエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルのSRT8が追加された。
4WDにも2種類のフルタイム4WDシステムが用意された。
ベースグレードの「ラレード」はクォドラトラックII、上級グレードはクォドラドライブII。いずれも路面状況に応じて前後輪の駆動力を適切に分配し、左右輪のどちらかが空転すると、もう一方に駆動力を配分するが、より高度なクォドラ“ドライブ"IIの方が左右輪の駆動力配分を素早く行ってくれる。
デビュー時のV8搭載モデル「リミテッド5.7」の車両本体価格は588万円。最強グレードのSRT8は支払総額200万円超からとなるが、それ以外のV8モデルなら支払総額約60万円から見つけられる。
▼検索条件
ジープ グランドチェロキー(3代目)×V8エンジン搭載×総額150万円以内×全国ブレイザーの上のモデルとして新たに開発されたが1代で販売終了
シボレー トレイルブレイザー(初代)
4.3L V6エンジンを搭載する同時期のブレイザーの、1クラス上という位置づけで2001年に登場したトレイルブレイザー。当初はヤナセが輸入していたが、2003年から当時GMと提携していたスズキでも販売されるようになり、2007年からGMアジアパシフィックジャパン(後のGMジャパン)へと移行した。
当初は4.2L直6エンジンのみだったが、2003年2月に5.3LのV8エンジンモデルも追加された。オールアルミ製のV8 OHVエンジンは最高出力289ps/最大トルク441N・mを発揮。これに4速ATが組み合わされる。
同じグレードでも直6とV8があるため、カーセンサーnetでは、直6搭載グレードを「EXT LT(L6)」、V8搭載グレードを「EXT LT(V8)」というように表記している。4WDシステムには路面状況に応じて自動的に4WDに切り替わるオートトラックシステムが採用されている。
ブレイザーと名乗っても、プラットフォームは全くの新設計。そのため、ブレイザーよりボディサイズもひと回り大きく、全長は4890mmと同時期のエクスプローラーなみの大きさとなる。
さらに、3列目シート・7人乗りモデルのグレード「EXT」は、ホイールベースが伸ばされて全長は5300mmと5mを超えるど迫力ボディだ。
デビュー時のV8搭載モデル「EXT LT(V8)」の車両本体価格は452万円。原稿執筆時点でV8モデルは5台しか見つからなかったが、いずれも支払総額約130万円で狙うことができる。
▼検索条件
シボレー トレイルブレイザー(初代)×V8エンジン搭載×総額150万円以内×全国リンカーンのブランド名にふさわしいラグジュアリーな大型SUV
リンカーン ナビゲーター(3代目)
リンカーンはフォードのプレミアムブランド。そのリンカーンの3代目ナビゲーターが当時のフォードジャパンから正規輸入されたのは、2008年5月だ。
同時期のフォードエクスペディション(日本未導入)をベースに、リンカーンブランドにふさわしいラグジュアリーな仕様に仕立てられた大型SUVで、ライバルはキャデラック エスカレード。
格子状のクロームグリルとヘッドライトを一体化したデザインをまとった全長約5.3m、全幅と全高はともに約2mという堂々としたボディに3列シートを備え、車両重量は2.7tを超える。
これをラクラク動かすために搭載されたのは、最高出力304ps/最大トルク495N・mを発揮する5.4LのV8 SOHCエンジン。これに6速ATが組み合わされた。4WDシステムは電子制御のパートタイム式4WDで、2WD(FR)/オート/4WDをインパネ上のスイッチで切り替える。
ロールスタビリティコントロールをはじめとした車両姿勢を安定させる電子デバイスがいくつも投入されているのは、さすがラグジュアリーSUVといったところ。
2009年3月にはフロント&サイド&リアビューカメラも用意された。なお、2015年のマイナーチェンジで、スピリット・ウイング・グリルが採用されるなどエクステリアが大幅に刷新されたのと同時に、エンジンが3.5LのV6ターボにダウンサイジングされたため、V8搭載車はそれ以前のモデルとなる。
デビュー時の車両本体価格は870万円。台数は少ないが、支払総額約150万円から見つけることができる。なお、中古車の並行輸入の初度登録の関係で、同年式でも旧型モデルがあるが、写真の格子状グリルが今回ターゲットとした3代目となる。
▼検索条件
リンカーン ナビゲーター(3代目)×V8エンジン搭載×総額150万円以内×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。