ランドクルーザー100▲昔からの四駆ファンはもちろん、リムジンのような高級感を求める層まで取り込んで、大人気となったランドクルーザー100

トヨタ ランドクルーザー100の中古車は今

ランドクルーザー100と言えば、日本を、いや世界を代表する本格オフロード四駆だ。

辺境の地での酷使を想定したタフな作り、優れた悪路走破性能を備えながら、ラグジュアリーカーとしても国内最高峰という類い希なキャラクターで、生産終了から約14年が経過する現在も絶大な人気を誇っている。

現在の中古車相場は総額150万円で狙えるモデルもある一方、400万円オーバーの物件もあるという状況だ。

ガソリン車がワゴン登録、ディーゼル車がバン登録となる。グレードや仕様のラインナップが多く、使われ方も多様なことから中古車選びは十分な知識を仕入れたうえで臨みたい。

ここではランドクルーザー100の特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について解説していく。
 

ランドクルーザー100の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー100 DATA
生産期間:1998年1月~2007年6月
中古車流通量:約200台
中古車価格帯:110万~550万円
全長:4890mm × 全幅:1940mm × 全高:1890mm
 

ランドクルーザー100 ▲前期モデルの外観は虚飾を抑えたオーソドックスなもの。当時はヘッドランプもレンズカット入りのものが採用されていた

■ランドクルーザー100の特徴
FJ55/56に始まり、60系、80系と続くラージボディ&ゴージャス路線ランクルの流れを引き継ぎ、1998年1月にデビューしたランドクルーザー100。

フロントサスペンションを独立懸架式としたことは当時、センセーショナルだった。

というのも、一般的に悪路走破性能や頑丈さにおいては、ランクル80系まで採用されていたリジッド式アクスルの方が優れているとされていたからだ。

その心配が杞憂に終わったことは、未開の地を含む世界中で酷使されながら、今でも元気に走り回っている事実が証明している。

もっとも、フロントサスペンションこそハンドリング性能を重視したダブルシッシュボーン式トーションバーとなったものの、ボディは屈強なラダーフレーム構造を採用。

そして、リアサスペンションは頑丈でストロークの長い5リンク・リジッド式コイル、さらに4WDシステムは十分に減速比の低い副変速機(ローレンジ)とセンターデフを備えたフルタイム式……と、基本的な設計の多くは本格的なオフロード四駆の構造だったのだから、タフなのは当然と言える。
 

ランドクルーザー100 ▲頑丈なラダーフレーム、フロントとリアのプロペラシャフトが一直線に連なるオフセットドライブ方式の駆動系レイアウトなど、オフロード四駆としての本格的な作りを備えていた

ランドクルーザー100は、ハイテクを満載したことでも注目された。

そのひとつ、スカイフックTEMSサスペンションは路面状況に合わせてダンパーの減衰力を瞬時に、四輪それぞれに制御することで宙を浮くような乗り心地を提供するというものだ。

乗降時、市街地や高速道路走行時、オフロード走行時で車高を任意に変えられるAHC(アクティブ・ハイト・コントロール機構)も一部のグレードに装備された。

ラインナップには乗用車登録のワゴンと貨客兼用のバンがあり、前者には4.7L V8ガソリンエンジンが、後者には4.2L ディーゼルターボエンジンが搭載された。

従来、ランドクルーザーのガソリンエンジンは中低速重視で、瞬発力や高回転域での伸びには期待できなかったが、このV8ガソリンエンジンの実力は十二分。2500kg近くもある車体を、軽々と加速させる。

なお、ディーゼル仕様は2002年8月に自動車NOx・PM法の影響により、規制対象地域内での登録ができなくなった。現在、中古車を購入する場合も同様だ。
 

ランドクルーザー100 ▲木目調パネルや本革がふんだんに使われた豪華なインテリア。写真は2002年マイナーチェンジ以降のもの

デビュー時のグレード体系は以下のとおり。

ワゴン、バンとも共通だが、ワゴンは3列目シートを備えた8人乗り仕様となる。

・「VX」:シンプル装備のグレード
・「VXリミテッド」:クルーズコントロール、本革巻きステアリング&木目調パネル、プライバシーガラス、16インチアルミホイールなどを装備
・「VXリミテッド Gセレクション」:VXリミテッドの装備内容に加え、スカイフックTEMSサスペンション、AHCを装備

一部改良やマイナーチェンジは何度か行われたが、中古車購入に際して特に注目したいタイミングは2回だ。

一度目は2002年8月で、このマイナーチェンジでは内装や走りの質感がかなり向上された。

■2002年8月
【内装】
・インパネのデザインを全面変更
・マルチインフォメーションディスプレイの視認性向上
・ナイトビューをオプション設定

【エンジン・駆動系】
・ガソリン、ディーゼルターボとも当時最新の排出ガス規制に適合させ、燃費、出力も向上
・トランスミッションが4速ATからスーパーインテリジェント5速ATに
・可変ギア比ステアリングシステム(VGRS)を採用
・大径アルミホイールを標準装備(「VXリミテッド」、「VXリミテッド Gセレクション」)

【グレード】
・ワゴンの「VX」を3列シート(8人乗り)から2列シート(5人乗り)に変更
・バンの「VX」を廃止
・ディーゼル前車が自動車NOx・PM法の規制対象車となり、規制対象地域での購入・登録が不可に

2度目のマイナーチェンジは2005年4月で、こちらは外装の変更がメインとなっている。フロントグリルのデザイン変更などで、高級感がさらに高まった。

■2005年4月
【エクステリア】
・フロントグリル、アルミホイールのデザインを変更
・ヘッドランプにマニュアル式光軸調整用レベリング機構を採用
・リアコンビネーションランプのデザイン変更&LED化
・背面スペアタイヤ仕様を廃止

【エンジン】
・V8ガソリンエンジンが平成22年度燃費基準に適合、燃費も向上
 

ランドクルーザー100 ▲2005年のMCを経てヘッドランプがレンズカットのないタイプとなり、フロントグリルも迫力ある造形となった

■ランドクルーザー100の中古車相場
生産終了から約14年が経過して、中古車市場に流通しているのはおよそ200台。ひと昔前に比べるとかなり少なくなった印象だ。

車両本体価格の平均は230万円前後だが、年式や走行距離、コンディションによって価格はかなり異なり、安いものは総額110万円ほどから、高い物件だと総額500万円を超えるものまである。

いずれにしても、10年以上経過した国産車としては驚異的に高い中古車価格と言える。だが、それだけの価値があるモデルではある。

海外では20万km、30万km走行しているのが当たり前なので、きちんと整備さえされていれば走行距離はあまり気にしなくて大丈夫だろう。たとえ、走行距離が10万km程度の物件だったとしても、あと10万kmは定期的な整備を行うだけで十分に走れるはずだ。

ただし希ではあるが、本格的なオフロード遊びに供されていた物件もあるので、購入前にはボディ底面などの下まわりチェックを念入りに行いたい。多少の擦り傷程度は問題ないが、サスペンションのリンクが曲がっていたりするものは注意が必要。融雪剤により、下まわりが錆びていないかも要チェックだ。

数あるグレードの中でも高級感を求めるなら、スカイフックTEMSが装備されている「Gセレクション」をオススメする。後継となるランクル200と比較しても全く遜色ない滑らかな乗り味だ。

2002年8月のマイナーチェンジ以降モデルを選べればなお良しだろう。

一方で、カスタマイズを前提とするなら、サスペンションにAHCなどの複雑な機構が採用されていない「VX」「VXリミテッド」がベター。構造的に車高を上げるのが容易な作りになっており、リーズナブルにカスタマイズを楽しめる。
 

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザー100 × 全国

※記事内の情報は2021年7月20日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。