絶滅危惧車のダイハツ YRVは、2000年前後のパッケージング競争時代を、“+α”で戦った1台だ
2020/01/22
立体駐車場にも入るトールワゴン
ストーリアをベースにスポーティ色を強く押し出したYRV。2000年8月~2005年7月まで約5年間生産されたモデルである。
思い起こせばダイハツ YRVがデビューした2000年前後は、“パッケージング”競争が盛んだった。
要はボディサイズによるナンバー制度の枠組みのなかで、どれほど効率的な室内空間を生み出すか、ということ。
おそらくトヨタ・プリウスを筆頭に、コンパクトボディからいかに室内空間を広く確保できるか、という競争が激化したように思える。
YRVのボディサイズは全長3765mm×全幅1625mm×全高1535mmでホイールベースは2370mm。
コンパクト・トールワゴンながら、立体駐車場に入れられる数値となっている。もちろん、大人4名乗車でもまったく不満がない。
面白かったのは真横から見ると前後のドアで同じようにフロントからリアにかけて跳ね上がっていくようなラインが描かれていたこと。このようなデザインは斬新で軽快感、躍動感を視覚的に演出していた。
価格設定もリーズナブル
ただ、YRVの最大のウリはパッケージング+αだった。広くて便利なだけじゃ物足りず、カッコいいルックスと元気な走りも欲しい、というニーズに応えたもの。
それでいてリーズナブルな価格設定、がウリだった。
搭載されたエンジンは1L、「DVVT」と呼ばれる可変吸気バルブタイミング機構付きの1.3L、1.3Lターボの3タイプ。
トランスミッションは全車に4ATを組み合わせた他、ターボ車以外には5MTもラインナップしていた。
そして、1.3Lターボエンジンには、ステアリング上のスイッチでシフトチェンジができるステアシフトを採用。
グレードは価格順に廉価なものから1Lモデルが「CG」、1.3LのNAモデルが「標準仕様」、「Sパック」、「エアロSパック」、1.3Lターボモデルが「ターボ」、「ターボ・パノラマパック」の計6タイプ。
フルタイム4WDは1.3L(NA)モデルの全グレードと「ターボ」に15.5万円高で用意された
もちろん、注目すべきは1.3Lターボエンジンだった。スペックはクラス最強を誇る最高出力140ps、最大トルク18.0kgmを誇っていた。
数値だけ耳にすると大したことはないのだが車重が940kgだから、パワーウエイトレシオは6.7kg/psだった。つまりは発売当時、世界最強の1.3Lエンジンだった、と言える。
昨今のターボエンジンとは異なり決してシームレスなものではなく、3000rpmあたりからメキメキと過給の効果が表れるもの。悪く言えば古くさいターボチャージャーだが、古き良きターボらしさを味わうことができる。
ただ、ダイハツとしては真剣に「ホットハッチ」を作ろうとしていたのかは定かではない。
というのも、ワインディングではさすがに無理がある部分が目立ったからだ。そういう意味では“直線番長”なのかもしれない。
低速トルクが十分にあるので3000rpm以下でも穏やかに走れるのもポイントだ。また、最小回転半径は4.3mと軽自動車並みに抑えているので、狭い道でもスイスイ行ける。
20万円以下から狙え、底値状態?
原稿執筆時点(2020年1月13日)でカーセンサーnet掲載物件はたったの12台。
3台が1.3Lモデルで残りはターボモデルとなっている。
圧倒的にターボモデルが高めに流通するかと思いきや、1.3Lモデルでも走行距離が少ないと“それなり”の価格がつけられている。とはいえ20万円以下から狙えて、最も高いものでも55万円だ。
コンパクト・トールワゴンという実用性を手ごろに探している方も、当時の最強1.3Lターボエンジンという+αを楽しみたい方にもオススメできる1台と言えよう。
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▼検索条件
ダイハツ YRV (2000年8月~2005年7月生産モデル)×全国自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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