▲初代が登場してから今年で30年を迎えるマツダ ロードスターシリーズ。今回は、初代のNA型(写真左上)と2代目NB型(写真右下)について、中古車販売店に取材してきました! ▲初代が登場してから今年で30年を迎えるマツダ ロードスターシリーズ。今回は、初代のNA型(写真左上)と2代目NB型(写真右下)について、中古車販売店に取材してきました!

生誕30周年を迎えるロードスターってどんな車?

日本では1989年9月に発売がスタートしたマツダ ロードスター。今年の9月で丸30周年を迎える世界中のユーザーから愛される日本を代表する名車のひとつです。

今年はメモリアルイヤーということもあり、多くのメディアで取り上げられ、イベントも盛んに開催されていることから「ロードスター欲しいな……」と思っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は実際にロードスターを多く販売してきた中古車販売店にお邪魔して、「今のロードスターの中古車ってどうなの?」ということを聞いてきました!

▲記事を執筆した私も、実はNA型ロードスターの現オーナーです!(真ん中が私の車) ▲記事を執筆した私も、実はNA型ロードスターの現オーナーです!(真ん中が私の車)

30年の歴史が始まったモデル
NA型(1989年9月~1997年12月生産)

1989年にデビューした初代ロードスターは、当時のマツダの販売チャネルのひとつである「ユーノス店」で販売されていたことから「ユーノス ロードスター」が正式名称でした。

歴代ロードスターの中では唯一、リトラクタブルヘッドライトをもっており、そのルックスは今でも人気の理由のひとつとなっています。

デビュー当時は直列4気筒DOHCの1.6Lエンジンと5速MTの組み合わせのみでしたが、90年3月には4速ATが追加されています。

93年7月にはエンジンを1.8Lに換装し、1.6Lは廃止。95年8月にはフィーリングの向上を狙い、コンピューターやファイナルギア、フライホイールの変更を施すマイナーチェンジが実施されています。

なお、初代モデルに関しては2017年からマツダがレストアサービスをスタート。それに伴って部品の再生産もスタートし、すでに約150点もの部品が復刻されています。

▲【NA型】安全基準の理由で現在の車には見られなくなった、リトラクタブルヘッドライトを採用しているのが大きな特徴です ▲【NA型】安全基準の理由で現在の車には見られなくなった、リトラクタブルヘッドライトを採用しているのが大きな特徴です
▲【NA型】全長4mに満たないコンパクトなボディにクラシカルな雰囲気のスタイル、さらには手軽に開閉が可能なオープントップを採用した2シーターオープン。30年歴史のスタートになったモデルです ▲【NA型】全長4mに満たないコンパクトなボディにクラシカルな雰囲気のスタイル、さらには手軽に開閉が可能なオープントップを採用した2シーターオープン。30年歴史のスタートになったモデルです

初代の不満点を解消したモデル
NB型(1998年1月~2005年7月生産)

そして98年1月には2代目となるロードスターが登場。初代のプラットフォームを流用しながらも、初代での不満点の多くを解消した正常進化モデルでした。

外観ではリトラクタブルヘッドライトを廃止し、固定ライトとなったのが最大の変更点。複雑な機構をもつリトラクタブルヘッドライトをやめたことでフロントまわりの軽量化にも貢献しています。

ラインナップは先代の途中で消滅した1.6Lエンジンを復活させ、1.8Lと併売する形になり、1.8Lモデルには新たに6速MTが採用されました(1.6Lは5速MTでATはどちらも4速)。

2000年7月のビッグマイナーチェンジでは、1.8Lエンジンを新たに可変バルブタイミング機構を備えたBP-VE型へ換装。出力とフィーリングが大幅に向上しています。

2003年10月には、ロードスター初の完全クローズドボディをもつ「ロードスタークーペ」を、同年12月にはこちらもロードスター初となるターボエンジンを搭載した「ロードスターターボ」をそれぞれリリースし、2005年8月に3代目へとバトンタッチしました。

▲【NB型】ボディ寸法は初代とほとんど変わらないが、重量バランスを見直すとともに低重心化。装備や安全性の向上による重量増は、各部の軽量化や固定式ヘッドランプへの変更で対応しています ▲【NB型】ボディ寸法は初代とほとんど変わらないが、重量バランスを見直すとともに低重心化。装備や安全性の向上による重量増は、各部の軽量化や固定式ヘッドランプへの変更で対応しています
▲【NB型】コンパクトかつ軽量なFRの2シーターオープンカーというキャラクターはそのままに、各部をブラッシュアップした正常進化モデルです ▲【NB型】コンパクトかつ軽量なFRの2シーターオープンカーというキャラクターはそのままに、各部をブラッシュアップした正常進化モデルです

今のロードスターの相場はどんな感じ?

初代は30周年、2代目もすべて増税対象(13年超)となるだけに、旧車といっても差し障りのない年式となりつつある初代&2代目ロードスター。それでも初代が200台ほど、2代目で300台ほど中古車として流通しており、台数的にはまだまだ選ぶ余地があると言えます。

しかし、初代モデルは徐々に台数が減少しており、反対に価格は上昇傾向。一昔前のように格安の掘り出し物はお目にかかれなくなっているというのが現状で、平均価格も80万円弱といったところ。

走行距離も平均で10万kmオーバーとなっており、年式から考えれば妥当とはいえ、走行距離の少なめの個体も減りつつあるようです。逆に初代ロードスター人気に乗じて過走行の車両も市場に流通するようになってきたようです。

◆NA型ロードスターの直近3ヵ月の平均価格と流通台数、平均走行距離の推移

▲中古車流通量は徐々に減少、平均価格は3ヵ月前に比べて5万円ほど上昇しています。また平均走行距離は10万kmオーバーで、低走行物件を見つけることは難しいそうです ▲中古車流通量は徐々に減少、平均価格は3ヵ月前に比べて5万円ほど上昇しています。また平均走行距離は10万kmオーバーで、低走行物件を見つけることは難しいそうです


一方で2代目ロードスターに関しては、ここ数カ月はタマ数も価格も比較的安定傾向。平均価格も50万円ほどと、初代に比べると買いやすい価格帯となっています。

走行距離の平均も9.8万km弱とわずかですが初代よりも低走行となっています。しかし、徐々に平均走行距離も増えており、低走行の個体を見つけるのは今がチャンスかもしれません。

◆NB型ロードスターの直近3ヵ月の平均価格と流通台数、平均走行距離の推移

▲平均価格は多少の上下はあるものの、おおむね横ばいといった感じですが、時間とともに流通台数が減ってっていることがわかります。平均走行距離は時間とともに少しづつですが延びています ▲平均価格は多少の上下はあるものの、おおむね横ばいといった感じですが、時間とともに流通台数が減ってっていることがわかります。平均走行距離は時間とともに少しづつですが延びています

現状の実車のコンデションや選ぶポイントは?

では、実際に中古車を買おうとしたときには何をポイントに選べばよいのでしょうか?

今回は、ロードスターの中古車を積極的に仕入れ、多くの物件をもっているディーラー系中古車販売店「マツダアンフィニ横浜西 三ツ沢店」の間所弘規さんにお話をお伺いしました。

▲お店には多くの歴代ロードスターが展示されています! ▲お店には多くの歴代ロードスターが展示されています!
間所弘規さん

取材協力

マツダアンフィニ横浜西 三ツ沢店 間所弘規さん

「マツダアンフィニ横浜西 三ツ沢店」
マツダ自慢・スポーツタイプカー、ロードスターを豊富に取り揃えた、マツダ正規ディーラーです。カスタマイズも承ります!
住所:神奈川県横浜市西区宮ケ谷59-1
電話:045-322-1190

走行距離や年式だけではなく、第一印象も大切にしてほしい

間所さんによると初代モデルを探しているのは発売当時を知らない20代の若いユーザーか、子育てなどがひと段落した年代のユーザーに大きく二分されるとのことでした。

新車の取り扱いもあるディーラー系ではあるものの、下取りで初代モデルが入ることはもはや希で、様々なルートを使って積極的に仕入れないと、なかなか良い個体は出てこないそうです。

初代モデルは軽快な走り味が魅力的な反面、ややピーキーな挙動を示すことがあり、スピンをしてリアをヒットさせてしまった個体も多いそうで、事故歴の確認は必須。

またフロントのコアサポートがもともと湾曲した形状をしており、フロント部分の事故だとボディ全体にダメージが伝わりやすい点も注意が必要です。

ただ、初代モデルはメーカーでのレストアサービスもスタートしたことで、部品供給の心配が少ないので、長く乗りたいと考えている人にはオススメできると話してくれました。

▲2017年12月から受付が始まっているNAロードスターのレストアサービス。これから先も長く乗り続けたい人にはうれしいサービスですね ▲2017年12月から受付が始まっているNAロードスターのレストアサービス。これから先も長く乗り続けたい人にはうれしいサービスですね


一方の2代目モデルは、初代モデルのビッグマイナーチェンジともいえるもので、初代の細かな不満点を解消した完成度の高いモデルとのこと。

価格的にも手ごろな物件は増えている一方で、年式相応に経年劣化が進んでいる物件もあり、コンディションのチェックは必須といえそうです。

また、純正部品の供給量が減っているようなので、購入時に気になる点があれば確認しておくことが大事になりそうです。

ただ、純正にこだわらないということであれば、社外部品はまだまだ出回っているようなので、問題はないとのことでした。

▲経年劣化で傷みやすい「幌」もなかなか手に入れにくい部品のひとつ。基本的なことですが、破れなどの状態は確認しておいた方が良いとのことです ▲経年劣化で傷みやすい「幌」もなかなか手に入れにくい部品のひとつ。基本的なことですが、破れなどの状態は確認しておいた方が良いとのことです


そして、初代と2代目に共通していえることは、単純に走行距離や年式だけで判断せずに、その車両がどれだけ大切にそして愛されてきちんとメンテナンスをされてきたかを見る方が重要とのこと。

そして、パッと見たときの印象でくたびれた印象の個体は実際にくたびれている場合が多いので、第一印象を大切にしてもらいたいと話してくれました。

初期型の過走行物件でも、大切に乗られてきたため驚くほどコンディションの良い物件に出合えることもあるようです。

もし、車選びに迷ったら、新車時から多くのロードスターを見てきた経験のあるディーラーに相談してみるのも、ひとつの選択肢かもしれませんね。

ぜひ自分に合ったロードスターを見つけて、楽しいロードスターライフを送ってみてはいかがでしょうか。

次回は3代目・NC型と4代目・ND型の中古車について聞いてきたことをお伝えします! お楽しみに!

文/小鮒康一(フナタン)、写真/マツダ、稲葉 真
 
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。

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