▲レパードの3代目となるレパードJフェリー。先代まではクーペタイプであったが、この代よりセダンタイプへと姿を変えた ▲レパードの3代目となるレパードJ.フェリー。先代まではクーペタイプであったが、この代よりセダンタイプへと姿を変えた

当時の高級志向が盛り込まれたパーソナルセダン

日産 レパードJ.フェリーは、そのネーミングから「J.フェリー」さんという人の存在を感じさせる。

デザイナー? 開発者? と思いを巡らせるだろうが、実はJours feries(祝日を意味するフランス語)から生まれた造語だという。

要は祝日を過ごすような“ゆとり”ある車を思い描いたのだろう。

従来、レパードは“最高級クーペ”をうたい、トヨタ ソアラと熾烈な販売競争を続けていた。

加山雄三のイメージが強い初代、テレビドラマシリーズ「あぶない刑事」で登場した2代目……だが、3代目は強烈なイメージに乏しい。

レパードは2代目から3代目へとモデルチェンジする際に、従来の「最高級クーペ」から「高級パーソナルセダン」へと位置づけを変更、車名もレパードJ.フェリーへと変えた。

レパードJ.フェリーの開発時期はバブル期真っ只中とあり、日本の高級志向が随所にあらわれている。

大柄なボディなのに、デザイン優先ゆえにリアシートは思いのほか窮屈だし、トランクルームは小さい。

センターコンソールまわりは昨今の欧州車がやっているように、うっすらと夜間に照らされ上質感を演出している。

スイッチ類の操作感にもこだわり、踏み込み式のパーキングブレーキは無音。ラジオはチャンネルを変えると、リアスピーカーからフェードインするこだわりも。

90年代はじめのころには珍しかった、照明付きのバニティミラーも備えていたし、国産車としては初めて助手席エアバッグを標準装備した他、環境に優しい冷媒を使った「オゾンセーフエアコン」も装備していた。

筆者が特に気に入っているのは、イタリアの高級家具メーカー「ポルトローナフラウ」の本革シートをオプションで選べたことだ。

車両が300万円台前半~400万円台後半、という価格設定だったにも関わらず、このオプションは80万円というゴージャスさ。バブル期の緩い懐具合がうかがえる。

▲見た目のデザインを優先させたため、大柄なボディなのにリアシートは意外と窮屈 ▲見た目のデザインを優先させたため、大柄なボディなのにリアシートは意外と窮屈
▲上質で落ち着いた空間を目指してデザインされたセンターコンソールまわり。インテリアは運転する人だけではなく、助手席に座る人の快適性もしっかりと考えられていた ▲上質で落ち着いた空間を目指してデザインされたセンターコンソールまわり。インテリアは運転する人だけではなく、助手席に座る人の快適性もしっかりと考えられていた
▲こちらが「ポルトローナフラウ」の本革シート。非常に高価なオプションであったため、装着されている物件は少ない ▲こちらが「ポルトローナフラウ」の本革シート。非常に高価なオプションであったため、装着されている物件は少ない

日本のバブル期を映している1台

ただ、この“のっぺり”したデザイン、日本ではさほど受け入れられなかった。同時期のブルーバードに似ていた、というのも不人気の理由のひとつかもしれない。

北米では「インフィニティJ30」として月間3000台程度売れるほどの人気を博したが、日本では4年間で7300台ほどしか売れなかった。

そんなレパードJ.フェリー、もう二度と登場しないほどデザイン重視で、バブル期に考えられたゴージャス感がてんこ盛り。

現役バリバリというわけではないが、ノスタルジーに浸たりながら日本のバブル期を知るに最適な1台である。そういう意味では、お手頃価格で手にできるヒストリックカーだろう。

売れなかっただけあって、生存している中古車もどんどん減っている。今のうちにぜひ、掲載物件をチェックされたい!

▲日本ではあまり人気がなかったレパードJ.フェリー。2018年2月14日現在の掲載台数は10台以下。絶滅危惧車になりつつあるので、少しで気になったら早めにチェックすることをオススメする ▲日本ではあまり人気がなかったレパードJ.フェリー。2018年2月16日現在の掲載台数は10台以下。絶滅危惧車になりつつあるので、少しで気になったら早めにチェックすることをオススメする

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日産 レパードJ.フェリー(初代)
text/古賀貴司(自動車王国)
photo/日産自動車