バブル期を象徴する1台、絶滅危惧車のレパードJ.フェリーはまさにゴージャス!
カテゴリー: 特選車
タグ: 日産 / レパードJ.フェリー / 絶滅危惧車 / 古賀貴司
2018/02/19
当時の高級志向が盛り込まれたパーソナルセダン
日産 レパードJ.フェリーは、そのネーミングから「J.フェリー」さんという人の存在を感じさせる。
デザイナー? 開発者? と思いを巡らせるだろうが、実はJours feries(祝日を意味するフランス語)から生まれた造語だという。
要は祝日を過ごすような“ゆとり”ある車を思い描いたのだろう。
従来、レパードは“最高級クーペ”をうたい、トヨタ ソアラと熾烈な販売競争を続けていた。
加山雄三のイメージが強い初代、テレビドラマシリーズ「あぶない刑事」で登場した2代目……だが、3代目は強烈なイメージに乏しい。
レパードは2代目から3代目へとモデルチェンジする際に、従来の「最高級クーペ」から「高級パーソナルセダン」へと位置づけを変更、車名もレパードJ.フェリーへと変えた。
レパードJ.フェリーの開発時期はバブル期真っ只中とあり、日本の高級志向が随所にあらわれている。
大柄なボディなのに、デザイン優先ゆえにリアシートは思いのほか窮屈だし、トランクルームは小さい。
センターコンソールまわりは昨今の欧州車がやっているように、うっすらと夜間に照らされ上質感を演出している。
スイッチ類の操作感にもこだわり、踏み込み式のパーキングブレーキは無音。ラジオはチャンネルを変えると、リアスピーカーからフェードインするこだわりも。
90年代はじめのころには珍しかった、照明付きのバニティミラーも備えていたし、国産車としては初めて助手席エアバッグを標準装備した他、環境に優しい冷媒を使った「オゾンセーフエアコン」も装備していた。
筆者が特に気に入っているのは、イタリアの高級家具メーカー「ポルトローナフラウ」の本革シートをオプションで選べたことだ。
車両が300万円台前半~400万円台後半、という価格設定だったにも関わらず、このオプションは80万円というゴージャスさ。バブル期の緩い懐具合がうかがえる。
日本のバブル期を映している1台
ただ、この“のっぺり”したデザイン、日本ではさほど受け入れられなかった。同時期のブルーバードに似ていた、というのも不人気の理由のひとつかもしれない。
北米では「インフィニティJ30」として月間3000台程度売れるほどの人気を博したが、日本では4年間で7300台ほどしか売れなかった。
そんなレパードJ.フェリー、もう二度と登場しないほどデザイン重視で、バブル期に考えられたゴージャス感がてんこ盛り。
現役バリバリというわけではないが、ノスタルジーに浸たりながら日本のバブル期を知るに最適な1台である。そういう意味では、お手頃価格で手にできるヒストリックカーだろう。
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