Q.「トラブルも見るよ」そう言ったはずなのに
実際は対応できないなんて許せない!!


 いわゆる旧車と呼ばれる、30年前の古い車を購入しました。趣味性の高い車で現状販売だったので、アフターケアが心配でしたが、「ある程度のトラブルはうちで見るよ」という店側の言葉を信じて購入しました。

 しかし、実際にエンジントラブルが起きると、「メカ関係はうちでは無理なので、専門店に持って行ってくれ」との返事。とはいえ、近所にはその車の専門店がなく困っています。アフターケアがきない車を販売するなんて許せません。損害賠償を請求するか、専門店に行くたびにかかる必要経費を請求することは可能でしょうか?

A.「ある程度」の言葉の範囲決めが必要
場合によっては損害賠償請求も可能です


 結論から言いますと、売却のときにその車がしっかりと整備されており、走行や使用に全く支障がなければ売ることは可能です。「アフターケアがしっかりしていなければ売ってはいけない」といった法律はありません。例えば、中古車の現状販売などで、お互い合意の上で車を購入するのはこれにあたります。

 今回の相談の場合、「ある程度は見る」と言っています。ここで問題になるのは「ある程度」の範囲です。これが、一般的にエンジントラブルまで含むのかなどは、お互いの意見の相違があるので、和解できない場合は裁判で判定してもらうことになるでしょう。ちなみに保証付き販売の場合、公正競争規約では販売業者が保証書を付けて販売することになっていますので、「保証します」と言っている場合には口頭だけで満足せずに、保証書を付けてもらいましょう。
 この相談の場合、現状販売なので「ある程度は見る」との発言自体が、言った、言わないの水掛け論になる可能性もあります。こういったトラブルを避けるには、「消耗品なら交換が可能」「特殊な部品は準備できない」「メカニカルな部分は対処できない」など、どこまでならアフターケアが可能か確認を取り、一筆書いてもらう必要があったのではないでしょうか?

 「契約書に書いてある項目のアフターケアができない」「どんな状態でも直せるアフターケアが受けられると、販売店側が購入者に意図的な勘違をさせた」「そのトラブルが購入前の隠れた瑕疵(かし)によるものだった」など事実があった場合には、ある程度の損害賠償や、修理にかかった経費(高速料金も含めて)の請求ができるでしょう。

 30年~40年前の旧車の場合には、経年劣化などで壊れる可能性も考えて、専門知識のある販売店で購入することをお勧めします。


旧車を購入。アフターケアも期待していたのに…
illustration/もりいくすお





■ワンポイント法律用語■

現状販売(げんじょうはんばい)
現状販売とは正確に言うと、「保証なし(現状渡し)販売」のこと。これは「保証付き及び保証なし(整備渡し)で販売する以外の中古自動車について、販売業者が保証なしで販売するもの」と公正競争規約で定められている。ただしこの場合「車両状態説明書」が交付されるので、これを見て車両の現在の状態を判断することができる

隠れた瑕疵(かくれたかし)
売買の対象とされた特定のものに見つかった、取引の時点では分からなかった傷や欠陥のこと。責任は売り主に発生する。代替性があるものなら交換すればよいが、中古車は一物一価なので代替性がなく、損害賠償か契約解除による解決が行われることが多い