インディをはじめ、数々のレースで活躍するプロレーシングドライバー・ロジャー安川氏が、北米でしか販売されていない魅力的な車を日本のみなさんに紹介します。

サイズが一回り大きくなり、顔つきはSUVというよりはトラックのように

ホンダ PILOT フロントスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫 ホンダ PILOT リアスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑新しくなったパイロットの外観は、SUVというよりトラックっぽい。ガッチリしたフロントグリルのデザインはまさに男向き!!
日本で販売されていないホンダの大型SUVパイロット。2代目パイロットは今年1月にデトロイトショーでプロトタイプがお披露目されてから、あっと言う間に北米で販売が開始されました。見た目は男向けのSUVに生まれ変わったという印象を受けます。
アメリカではSUVと言うとどちらかといえば“奥様仕様”であったのに対し、新しくなったパイロットの顔つきは、トラックっぽくなり、アメリカで販売されているホンダのピックアップトラック・リッジラインにそっくりです。アキュラ MDXの姉妹車と言える車ですが、見た目から中身まで全く異なる内容になっています。ライバルは国産車では、トヨタのクルーガー(アメリカでの名称はハイランダー)や北米のみで展開されているスバル トライベッカなどです。輸入車では、シボレー トレイルブレイザーやフォード エクスプローラーといったあたりになります。
2009年モデルはまず、エクステリアが大幅に変更されています。見た目がかなりガッチリしていて、今まで以上に角張ったフォルムになりました。実際にホイールベースと全長が74mm、全幅も25mm延び、一回り大きい車になっています。

ホンダ PILOT インパネ|ロジャー安川の米国自動車浪漫 ホンダ PILOT 後部座席|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑プラスチック素材が目立つインテリアですが、シンプル&シャープにまとまっています。小物置き場は海や山に行く時に、アウトドアグッズの小さな備品を保管するのに使えそうです。ちなみに後部座席ではゆったりとDVD観賞もできるんです
内装の雰囲気もガラリと変わり、今までのオーソドックスなデザインから、少し若い人向けのシャープなデザインに切り替えられています。個人的に残念なのは、ダッシュボードやセンターコンソールのプラスチック素材の部分が目立ち、ちょっとチープに感じてしまうところです。
しかしながら、小物を入れるスペースがたくさんあり、サーフィンやマウンテンバイクなどをしに行くのには最適です。エンジンの馬力とトルクが若干アップし、全モデルにVCM(可変シリンダーマネージメント)が標準装備され、燃費も向上しているので今のガソリン価格を考えると嬉しい内容です。
2009年モデルのパイロットのグレードは、今まで通りベースモデルのLX、トライゾーンクライメートコントロールなどを装備したEX、今回テストした本革シートやリヤDVDエンターテイメントシステムなどを標準装備したEX-Lがあります。さらに今回から、ナビやボタン一つで開閉する自動テールゲートを装備したツーリングモデルも用意されています。すべてのモデルから2WDとVTM-4を搭載した4WDを選ぶことが可能です。

ホンダ PILOT エンジン|ロジャー安川の米国自動車浪漫 ホンダ PILOT 走り|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑i-VTEC 3.5Lのエンジンを積み250馬力になり、前モデルから10馬力アップ。VCM(可変シリンダー)の気筒休止パターンは6-4-3気筒の3ステージになっています
個人的にはガッチリした外見は嫌いではないのですが、運転席からの視界はフロントがストンと落ちる感じで、前の車幅感覚が少しわかりづらいです。走行時のライディングは安定しているものの、車線変更やバックをする時には車が一回り大きくなったことを実感してしまいます。ここまで大きくなってしまうと、やはりアメリカ向けかなと思ってしまう内容です。
北米ではガソリン価格の高騰とともに、SUVとピックアップトラックの人気が低迷していますが、この新型パイロットはどう受け入れられるか? 個人的にも気になるところです。

主要諸元のグレード:4WD EX-L 駆動方式:4WD トランスミッション:5AT 全長×全幅×全高:4849mmX1994mmX1803mm ホイールベース:2772mm 車両重量:2069kg 乗車定員:8名 エンジン種類:SOHC i-VTEC V型6気筒 総排気量:3.5L
最高出力:250ps/5700rpm 最大トルク:35.0kg-m/4800rpm 10・15モード燃費(km/L):- ガソリン種類/容量:無鉛プレミアム/80L 車両本体価格:$35,195(約380万円)
(Tester/ロジャー安川 Photo/竹内英士)