異業種も参入、自動運転技術の今!!
2017/05/23
アップルも北米で実証実験
ここ数年、電動化テクノロジーや自動運転技術が取りざたされるようになって、それまで自動車産業とは無縁だった企業が食指を動かして参入をもくろんでいる。有名なところでは、すでに事実上の自社開発を断念したものの、Googleがいち早く自動運転車を開発し、走らせた。MacやiPhoneでおなじみのアップルも、自動運転技術の本格開発に参入することが先ごろ明らかになった。
また、パソコンのCPU(中央演算処理装置)メーカー最大手であるアメリカのインテルが、イスラエルのモービルアイを買収する旨を発表した。インテルといえば、PCの世界では圧倒的なシェアを誇っているが、自動車の分野では出遅れている。一方のモービルアイは、日産 セレナに搭載されているプロパイロットをはじめ、フォルクスワーゲンやGMにも、単眼カメラを使った前方監視システムと、画像解析ソフトおよび、ICチップを納入している、この分野での大手である。採用予定のメーカーも含めると、25社の自動車メーカーと取り引きがあり、アフターマーケット向けの製品も手がけている。
2016年7月、BMWはインテルおよび、このモービルアイと自動運転技術でのパートナー契約を結んだ。同年にモービルアイが完成させた、REM(ロード・エクスペリエンス・マネジメント)と呼ばれるソフトウエアを、インテルがシステムにまとめ、BMWの車両に搭載し、適合試験を行う契約だ。このプロジェクトがキッカケとなり、インテルはモービルアイを買収する決定を下した。買収金額は、153億ドル(約1兆7000億円)ともいわれている。
相次ぐM&A
将来、拡大するであろう、自動運転ニーズや電動化車両の市場を狙い、このように企業のM&A(合併、買収)が相次いでいる。2017年2月には、ホンダと日立オートモティブシステムズが提携し、共同出資で電動車両向けのモーターを開発、生産、販売する合弁会社を7月に設立する旨を発表した。資本金は50億円で、出資比率はホンダが49%、日立オートモティブシステムズが51%。
ホンダは、2030年に「全世界で販売する四輪車の3分の2を電動車両にする」と明言しており、これまでの自社開発&生産に代えて、サプライヤーと協業することで、シナジー効果および、スケールメリットを追求していく方針だ。この合弁会社は、アメリカと中国にモーターの製造&販売を行う子会社も構える計画で、グローバルレベルで供給拡大を図っていくという。ホンダは、FCV(燃料電池車)について、GMと提携するなど、戦略的提携も進めてきた。モーター事業の拡充は、数年後の新FCV発売への道筋が立った、準備完了のサインだろうか。
トヨタグループの大手サプライヤーであるデンソーは、高度運転支援システムを実現するためのAI(人工知能)を活用した、車載デバイスの共同開発など、IT関連の技術開発について、NECと包括的提携関係を結んだ。デンソーはすでに、東芝との間でAI技術の研究開発を行っている他、ソニーとも、カメラなど車載センサーの分野で協力関係にある。しかし、新たにNECとも手を組むことを決めたように、提携相手は一分野一社とは限らなくなっているのが実状だ。
各国で広がる、自動運転の開発模様
自動運転の実用化で、最も鼻息の荒いドイツ勢では、最大手サプライヤーのボッシュが、関連ソフトウエア開発のために、約1万5000人の技術者を確保。同じくドイツのコンチネンタルは、2015年にフィンランドのIT大手である、エレクトロビットから自動車関連部門(ソフトウエアソリューションのスペシャリスト集団で、約1900人が在籍)を買収し、開発能力の増強を図った。
アメリカはもっと混戦模様だ。Googleから分離独立した、自動運転関連の開発を行う新会社、ウェイモは、ホンダの研究開発部門である、本田技術研究所との共同研究を模索している。GMとフォードも水面下で動いているという。
そして何より、アメリカでは国防総省が、自動運転の実用化を後押ししているのが、見逃せない。目的は戦場で使う、無人戦闘車の開発にある。このプロジェクトは、マサチューセッツ工科大学や、スタンフォード大学といった有名校がサポートし、学生たちが自動運転関連の企業に就職しているとの情報もある。
※2017年5月23日現在における予測記事です
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