原稿執筆時点でカーセンサーnetにたった1台だけ掲載があった希少車を紹介するこの企画。今回、2012年9月26日に発見したのは「マイバッハ マイバッハ57」です。デビュー時の新車時価格は3900万円~で、色々とオプションを選ぶと1億円近くになるといわれた車です。新車時価格、経過年数、中身を考えると破格ですが、まだまだ1000万円オーバー。しかし、マイバッハ・ブランドの休止が決定された今、あらためてその希少価値について触れておきたいと思います。1000万円以上の高級セダンをお考えの方、いつかは乗ってみたいと思う方は必見。自動車史の1ページに刻まれるブランドであり、車です。

そもそもマイバッハはダイムラー社のエンジン開発責任者であったヴィルヘルム・マイバッハが独立、創設したブランドでした。ダイムラー社傘下に収まったのは1952年の話で、社名を変更し今でも大型ディーゼルエンジンを製造しています。「マイバッハ」ブランドとしては2002年に復活。各国の高級ブランドがひしめき合うなか、M・ベンツは抜きんでた超高級ブランドの復活でライバルと差をつけようともくろんだのでしょう。結果的には抜きんで過ぎて、10年間で3000台ほどしか販売できなかったようです…。

“中身はSクラスでしょ”なんて皮肉めいた意見がチラホラ出たものですが、ちょっとやそっとの富豪では手が出せない価格であるのもまた事実。結局、高級ブランド商品とは、品質やデザインも欠かせない側面ですが、サービスや購買能力の誇示、差別化などが消費者の購入動機になるんです。そういった観点で見ると、マイバッハはM・ベンツのSクラスっぽいデザイン(マイバッハのルーツをSクラスの高級感に結び付けたかった?)が失敗の要因だったのかもしれません。乗ると、Sクラスで感じる高剛性ボディ、路面の凹凸を吸収しながらも足回りの動きを認識させるしっとり感、静粛性などを3倍良くした感じです。インテリアの豪華さ、クオリティについては、あらためて触れる必要もないでしょう(笑)。

この物件、マルーン(正式にはエアーズロックレッド)にシャンパンゴールド(正式にはゴールドキャニオンブラウン)という2トーンの外装に、ワインレッドの内装という大胆な組み合わせです。文字にするとケバケバしく感じるかもしれませんが、写真を見ると実に上品にまとまっています。走行距離は5万㎞オーバーですが、内装写真からは走行距離を感じさせません。メンテナンスもしっかり施されてきたようです(常にベストコンディションを保つため、この手の超高級車はディーラーの勧める通りに整備される傾向があります)。同価格帯で狙える現行モデルの高級車にまったく見劣りしないですし、乗り味は未だに勝っているやもしれません。その希少価値が見出される日もそう遠くないでしょう。

Text/古賀貴司(自動車王国)

マイバッハ マイバッハ57|オンリーワンを探せ
本体価格(税込) 1380.0万円
支払総額(税込) ---万円
走行距離5.6万km
年式2004(H16)年式
車検2014(H26)年1月
整備
保証保証無
地域 愛知