▲王道とはひと味違う、レアなグルーヴを放つ中古車を愛するBoseが外角低めなカーライフをオススメする「Bosensor」がNETにも登場。今回は、カーセンサー8月号(2015年6月発売号)に掲載された「Bosensor」のこぼれ話です ▲王道とはひと味違う、レアなグルーヴを放つ中古車を愛するBoseが外角低めなカーライフをオススメする「Bosensor」がNETにも登場。今回は、カーセンサー8月号(2015年6月発売号)に掲載された「Bosensor」のこぼれ話です

クラシックミニのパーツが使えるからモークの維持は案外ラク?

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMC、Bose。中古車情報誌『カーセンサー』にて彼がお届けする人気連載「Bosensor」。今回はミニモークの試乗でお邪魔したBARRY'Sの瀬戸貴大社長に、なぜこんなUNDERGROUNDな車を扱っているかをBoseさんが伺います。

瀬戸さん:モークはいかがでしたか?

Bose:もうね、最高! 存在自体が嬉しくなっちゃう車ってそうは出会えないからね。乗ればいきなりアドベンチャー! そもそも瀬戸さんはなんでモークのような変わった車を扱う中古車販売店を始めたんですか?

瀬戸さん:僕には弟がいるんですけど、二人とも物心ついたときから車が好きで。大人になったら絶対に車を仕事にしようと思っていたんです。最初はディーラーなどからまとめて車を買ってそれをオークションに出す仕事をしていたんですが、入ってくる車の中にはそのままオークションに出すのがもったいない、おもしろい車もあって。そんな車を店頭で販売してみようと思ったのがお店を開いたきっかけなんです。

Bose:へえ。一口に中古車販売店と言っても、いろんな形態があるんだな。店頭にはモークの他にもR34GT-Rやコペンなどいろんな車があったじゃないですか。

編集部ペリー(以下、ペリー):かつて「Bosensor」で取り上げた車がいっぱいありますね。つまり、こちらのお店はBoseさんと趣味が一緒(笑)。どれも“手堅い”車選びでは名前が上がらない、外角低めな車ですね。

瀬戸さん:基本は僕が好きな車ばかりです(笑)。こういう車を選ぶ人は乗り替えるときも中古車台数がたくさんあるモデルに乗ろうとは思わないから、うちで買ってくれた人がまた「最近おもしろい車ない?」と来てくれます。

ペリー:ちゃんとお客さんが循環しているんですね。おもしろい!

瀬戸さん:逆にプリウスやワゴンRなどの定番モデルが欲しいというお客さんが来ることもあります。そうするとうちでは扱っていないから困ってしまう。仕方ないから一緒にカーセンサーを見て「御自宅の近くだと、この店にありますよ」って話したり(笑)。

Bose:えっ、他のお店にお客さんを紹介しちゃうの!? それも知人の店とかじゃなく知らないお店に(笑)。でも変化球みたいな車ばかり並んでいてお客さんもスキモノばかりのお店だと、一般的な人気モデルを探しているお客さんの場合、その後の付き合いが困るもんね。

瀬戸さん:いやいや。もちろん「この店で買いたい」とおっしゃっていただけたら誠意を持って探しますよ。ただ、プリウスやワゴンRならあちこちのお店で扱っているじゃないですか。なのに、わざわざ家から遠い店で買うと車検や整備でお客さんに面倒をかけてしまう。それも申し訳ないじゃないですか。

Bose:そんな瀬戸さんが好きな車の究極がモークだと(笑)。

瀬戸さん:夢はモークの専門店をやることなんですけど、モークはあまりにも流通台数が少なくて専門店じゃ成り立たなくて(笑)。

Bose:確かに無理だ(笑)。だって取材に来る前、カーセンサーに掲載されていた台数は全国で6台だもの(2015年6月2日時点)。BARRY'Sには2台あるから、日本一モークがある店。買う方も家の近所でとか言ってられない状況だね。

瀬戸さん:問い合わせは全国から入りますよ。ただあまりにも特殊な車だからそう簡単に売れません。その意味でも専門店はきつい(笑)。

ペリー:瀬戸さんが専門店をやりたいって思うほどモークにハマったきっかけはなんだったんです?

瀬戸さん:もともとクラシックミニが大好きで、何台も乗り継いで自分でいじりまくっていたんです。そうこうしているうちに、モークにたどり着いた感じです。たまたま知人が乗っていてそれを手放すことになったので、うちで扱おうと。

Bose:乗り続けていくのはそれなりに難しい車だったりするんですか?

瀬戸さん:車自体はクラシックミニのパーツが使えるので部品入手で困ることはないですよ。構造が単純だから少し慣れれば自分で調整することも難しくないはず。ただカスタムしたいとなると、パーツを探すのは大変ですね。例えば、うちに置いてある黄色いモークにはハードトップが付いていますが、あれは海外のサイトでもまず見かけないですね。

Bose:車自体は特殊でもベースが人気モデルっていうのは維持するうえでは楽なんだな。試乗させてもらって感じたのは、とにかく子供ウケがいいってこと。車を見ただけで「かわいい~~♪」って笑顔になるんだから。

ペリー:子供とコミュニケーションが上手くとれないと悩んでいる全国のお父さん、モークに乗ればたちまち人気者になれるかも!

瀬戸さん:女性ウケもいいですよ。ご夫婦で来店されると奥さんが真っ先に見にきます。

Bose:なるほどね。女の子からモテたいって思っている人にもありだったりして。「ナンパが好きならモークに乗ろう!」みたいな。ただし遠出はしんどいから地元限定。2回目以降は「暑い!」って文句を言われるだろうから、初回でキメる自信のある人のみだけど(笑)。

ペリー:地元でモークでナンパしていたら、目立ちすぎてすぐ噂になりそうですけどね(笑)。「あの黒いモークには気をつけろ」って。

瀬戸さん:僕がモークみたいな車がありだと思うのは、趣味で買って何年か乗ったとしても、下取り価格がゼロになる可能性がまずないことです。特殊な車なので需要は少ないけれど、台数が少ないし欲しい人は必ずいる。

Bose:それって大切だよね。200万円で中古車を買っても普通の車なら7~8年乗ったら下取りはほぼゼロ。でもモークみたいな車ってほとんど値段が下がらない可能性すらあるもの。

ペリー:その気になればオレみたいな庶民でもなんとかなるかも!

Bose:車好きとしては自分が大切に乗った車が廃車になるのは耐えられないんだよ。でもモークならどれだけ古くなっても次に乗ってくれる人が現れて、きっと大切にしてくれそう。そういう車って新しいモデルだとなかなかないからなあ。自分が前オーナーの思い出を引き継ぎ、次につなげていく。楽しい車だね!

▲クラシックミニ(BMCミニ)のエンジンやトランスミッションを使った派生モデルがミニモークです ▲クラシックミニ(BMCミニ)のエンジンやトランスミッションを使った派生モデルがミニモークです
▲リアビューも特徴的!存在感バツグンです ▲リアビューも特徴的!存在感バツグンです
▲インパネはこんな感じ。レトロな感じが素敵です ▲インパネはこんな感じ。レトロな感じが素敵です
▲こちらは純正シート。クッションが厚くて、意外にも座り心地が良いんです ▲こちらは純正シート。クッションが厚くて、意外にも座り心地が良いんです
▲Boseさんもすっかりミニモークのトリコになりました ▲Boseさんもすっかりミニモークのトリコになりました
text/高橋満(BRIDGE MAN) photo/篠原晃一