3月17日まで開催されている「第83回ジュネーブ国際モーターショー」で、ひときわ話題になっているコンセプトカー『TOYOTA i-ROAD』。自動車関連サイトだけでなく、一般紙などにも記事が掲載されたので、ご存じの人も多いだろう。

掲げるテーマは「コンパクトで爽快なモビリティ」。バイク並みの使い勝手と新しい乗り味による楽しさを提供するとともに、都市での渋滞や駐車スペースによる交通問題をはじめ、低炭素で持続可能な街づくりに関する諸課題の解決など、様々なニーズに応える超小型2人乗り電気自動車とのこと。

通常の車に比べて1/2~1/4というコンパクトなボディサイズは取り回しが良さそうで、たしかに、駐車スペースの削減や渋滞緩和に寄与しそうだ。1回の充電で走行できる距離は50kmまでなので、都市部での活用が念頭に置かれているのだろう。

『TOYOTA i-ROAD』は、いわゆる「超小型モビリティ」に分類される。見た目もカッコイイし、都市の移動には最適、日本での発売が待たれるが、現在は未定。もし発売されたとしても、日本の現行法では、トヨタ車体の『COMS(コムス)』のように、原付1種として登録される可能性が高い。

しかし、国土交通省は、超小型モビリティを道路運送車両法の中の“車両”に位置付けたいとしている。簡単に言えば、現在の車両区分とは別に「超小型自動車」という新しい区分を設けようというわけだ。

超小型モビリティのガイドラインをまとめる国土交通省自動車局では、安全性を確保していれば普通自動車と同等に一般道を走れるような制度を整えたいとの考えもあるようだ。

今年の1月には、超小型モビリティの公道走行を可能とする認定制度が創設。まずは地方公共団体などが中心となり車両を準備、観光地などでの活用を考えているという。

『TOYOTA i-ROAD』だけでなく、「ホンダ マイクロコミューターコンセプト」「日産 ニューモビリティコンセプト」「スズキ Q-CONCEPT」「ダイハツ PICO」など、超小型自動車のコンセプトカーは各社から発表されている。

バイクと自動車の中間として、超小型モビリティという新たな選択肢が増えるのも、そう遠い未来ではなさそうだ。

超小型モビリティにありがちなカーブでの不安定さも、車体の傾きを自動的に制御する新開発アクティブリーン機構によって解決

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シートが前後に配置された2人乗り。クローズドなボディ構造を採用しており、季節や天候に左右されずに目的地まで快適に移動できる

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