コネクティッドカーという車をご存じだろうか? あまり耳慣れない言葉だが、「インターネット通信が可能な情報通信システムを搭載した自動車や、スマートフォン、タブレットなどのデバイスと連携可能な自動車の総称」とされている。

例えば、スマートフォンと連携するカーナビを搭載している車や、バッテリ残量や充電スタンドの位置などを通信で確認できる日産「リーフ」やトヨタ「プリウスPHV」もコネクティッドカーにあたる。

富士経済が発表した「コネクティッドカー関連市場の現状とテレマティクス戦略2013」によると、コネクティッドカーの2012年の世界市場は762万台。しかし、2025年には、8564万台まで増えると予想されている。これは実に、全自動車市場の67.9%にあたるのだとか。

富士経済によると、「まずIVIシステム搭載(次世代車載情報通信システム)やテレマティクスサービスの加入者数が急増している北米で、中級・高級クラス車のIVIシステム搭載が中心となると予測する。現在米国メーカーのほか、日本、欧州の各自動車メーカーもこぞって、自国より北米向けを意識したIVIシステム車を投入しており、北米の動向が今後のコネクティッドカーの趨勢を握ると想定される」とのこと。

では、車がインターネットと常時接続されるようになると、どういったことが起こるのか。

富士経済の調査報告では、ロシアや欧州、ブラジルなど一部の地域から浸透し始めた自動車事故の素早い救助を目的とした緊急通報システム「ecall」や盗難車両追跡システムなどの装着義務化が他地域にも拡大していくと予想されている。

また、カーナビについては、スマートフォンの急速な普及で無料ナビ機能が利用できるようになった結果、今後は「スマートフォン連携型ディスプレイオーディオ」というスマートフォンの情報をディスプレイに映し出すだけのタイプが主流になると予測している。

ほかにも、スマートフォンや車載機器などで運転状況データを取得し保険会社に送信、運転行動を把握することで、運転に応じて保険金額が変わる自動車保険サービスも検討されている。加入者の運転傾向などによって、ほかの自動車保険と比べ保険料が格段に安くなる可能性も秘めている。

これまで、自動車の進化の軸は動力性能や安全だったが、これからは、「繋がる」というキーワードが加わるのは間違いない。電話がインターネットに常時接続することで生まれたのが「スマートフォン」だが、様々なアイデアにより、電話でもパソコンでもない独自の成長を遂げた。

もしも、車がインターネットに常時接続したら、これまでとは大きく異なる、新しい価値を持った別になにかへと進化する…と考えるのは期待しすぎだろうか。

アコードハイブリッドは、事故で乗員が意識を失っても、GPSなどを利用し自動で情報センターに事故を通知するシステムが装着されている

アコードハイブリッドは、事故で乗員が意識を失っても、GPSなどを利用し自動で情報センターに事故を通知するシステムが装着されている

トヨタは、テレマティクスサービスを通じて車両の位置や速度などを収集、それらを基にした統計や交通情報を提供するサービスを開発している

トヨタは、テレマティクスサービスを通じて車両の位置や速度などを収集、それらを基にした統計や交通情報を提供するサービスを開発している