AMG SL43▲2022年10月に発売されたメルセデスAMG SL43。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けする

久しぶりに4気筒エンジンを採用したプレミアモデル

メルセデス・ベンツ SLシリーズの歴史は長い。初めて量産モデルが販売されたのが1954年だから、かれこれ70年近い歴史があるグランドツーリングモデルである。

ご存じの方も多いと思うが、SLというのは “Super Leicht(スーパーライト)”を意味しており、元々は軽量スポーツモデルだった。

今回新たに登場した7世代目のメルセデスAMG SLは、アルミ合金製のスペースフレームを採用。上位モデルのスポーツカーのAMG GT ロードスターに比べ、縦方向に40%、横方向に50%も剛性が向上した新世代のフレームである。

先代はメタルトップを採用していたが、新型ではキャンバストップの軽量オープンクローズシステムとなった。この方が、コントラストが明確で、プレミアムなグランドツーリングスポーツ感が強まった。

 AMG SL43

そして新型SLの特徴として、ロードスターながら2+2のレイアウトをもつこと、パワーユニットに2.0Lの4気筒ユニットが採用されているということが挙げられる。

特にSLに4気筒エンジンが採用されるのは、おそらく1955年から63年まで生産された190SL以来ではないかと思う。

この4気筒の190SLに25年ほど前に乗ったことがあるが、ソレックスが2機装着された重厚なSOHCユニットを載せ、サルーンのような優雅なイメージのモデルであった。

今回試乗したのは、新型SLの中でもよりハイパフォーマンスモデルとなるメルセデスAMG SL43。

搭載される4気筒エンジンのM139は、AMGの理念に基づいて一人が一つのエンジン組み立てており、最高出力は381psを発揮。トルクはなんと48.9kg・mというから、一昔前の2Lエンジンでは考えられない数値である。

キャンバストップを感じさせない快適さ

今回は、都内をはじめ富士、御殿場方面も含めたロングドライブを行った。

まず、ロードスターとしての耐候性であるが、ジャーマントップが素晴らしい仕事をしており、静粛性はクローズドモデルに準じているのではと思うほどだ。

また、高速道路がメインだったが、キャンバストップにありがちな“たわみ”による不快な気圧変化もない。非常に快適なクルージングである。

途中雨に見舞われたこともあったが、クーペに乗っているかのごとく快適であった。

そして注目の4気筒エンジンはレスポンスが良好で、どの速度域からアクセルを踏んでも瞬時に加速する。

それでいて4気筒特有の振動もスポイルするほど、しっかりとチューニングされたユニットだ。

ドライバビリティの良さはメルセデスの真骨頂でもある。だからこそ、今回のようなロングドライブでも疲れないのである。

AMG SL43

トランクに中型の旅行鞄を入れて、後席にはジャケットを置き、助手席には手帳とタブレットなどが入ったカバンを置いて、優雅で不自由のない移動を楽しめた。

ステアリングホイールが太めで手の小さな私は疲れやすいと感じたが、強く握らずにワンハンドステアのように支えてコントロールするだけでも十分安心感のあるセッティングだ。

乗り心地は、スポーツカーというよりも少しばかりロール剛性が高いツーリングモデルという印象である。

ロングドライブのお供に最適なモデルのひとつと言えよう。

AMG SL43

試乗の際に特に良かったと感じたのが、中高速が連続するコーナーだ。気持ちよくラインをトレースするし、加減速もリニアで制動力と出力特性のあんばいがいい。

欲を言えば9速ATのダイレクト感がよりスムーズであれば、一層ラグジュアリー感を演出できると感じたが、スポーツ性と考えればこのダイレクト感を好む人もいるだろう。

気温5℃前後の寒い富士山周辺をオープンルーフで走らせたが、首元や足元、手に至るまで寒さを少しも感じなかった。

オープンカーは春や秋などの穏やかな陽気の時期に乗るものだと思うが、今回のように開放感とともに頭に冷たい風がかすめた感触は、日常とは異なった体感を得られリフレッシュになる。

このような体感を得られるモデルこそ、特別なモデルという証しではないだろうか。

AMG SL43

▼検索条件

メルセデスAMG SL(現行型)×全国
文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●SL43

型式 4AA-232450C 最小回転半径 6.1m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.7m×1.92m×1.37m
ドア数 2 ホイールベース 2.7m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.66m/1.63m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1780kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.12m
マニュアルモード
標準色

オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、セレナイトグレー、スペクトラルブルー、ハイパーブルー

オプション色

アルペングレー、オパリスホワイト、パタゴニアレッド、スペクトラルブルーマグノ(マット)、AMGモンツァグレーマグノ(マット)

掲載コメント

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型式 4AA-232450C
駆動方式 FR
ドア数 2
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、セレナイトグレー、スペクトラルブルー、ハイパーブルー
オプション色 アルペングレー、オパリスホワイト、パタゴニアレッド、スペクトラルブルーマグノ(マット)、AMGモンツァグレーマグノ(マット)
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 6.1m
全長×全幅×
全高
4.7m×1.92m×1.37m
ホイール
ベース
2.7m
前トレッド/
後トレッド
1.66m/1.63m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1780kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント -
エンジン型式 139 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 70リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1991cc 燃費(WLTCモード) 10.8km/L
└市街地:7.4km/L
└郊外:11.2km/L
└高速:13.2km/L
燃費基準達成 -
最高出力 381ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
480(48.9)/5000
エンジン型式 139
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1991cc
最高出力 381ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
480(48.9)/5000
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 70リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 10.8km/L
└市街地:7.4km/L
└郊外: 11.2km/L
└高速: 13.2km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。