スズキ スペーシア▲2023年月11月にデビューした新型スズキ スペーシア。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による、ハイブリッド Xおよびカスタム XS ターボ ハイブリッドの2台の試乗インプレッションをお届けする

上質なシートが生み出す快適な乗り心地
スペーシア HYBRID X

軽トールワゴンの王者ホンダN-BOXに挑む3代目スズキ スペーシアに試乗して思ったのは、両車は完全に思想が違うということである。

早速であるが試乗した印象をお伝えしよう。まず我々が最初にステアリングを握ったのはスペーシア HYBRID Xだ。

先代とディメンションの変更はほぼない。ということは、先代からかなり完成度が高く作られているということ、もしくは手持ちのプラットフォームでは限界値の数字だったといえる。ちなみに、N-BOXはホイールベースが60mmほど長い。
 

スズキ スペーシア
スズキ スペーシア

外観はできる限り飾りっ気をなくして、プレーンで力強い印象をサイドにある凹凸で表現した。

スズキはコンテナをモチーフにしたと言っていたが、デコラティブな装いをやめてシンプルで飽きにくいボディ断面にしたのだ。これは、シンプルで好感がもてる。
 

スズキ スペーシア▲コンテナをモチーフにしたというエクステリアデザイン

運転席から内装を見ると、直線を基調として角を丸めたミッドセンチュリーのボックスシェルフ風のデザインだ。

シンプルで扱いやすく柔らかな印象で、物の置きやすさや配置の考え方は理にかなった形と言える。デコラティブだが意味のない造形とは違う、という意味である。

樹脂のカラーをトーンに合わせた3色で構成しており、洒落たカプセルホテルにリビングを作ったかのような雰囲気だ。ミニマリズムを求めたレイアウトと言える。

かゆいところに手が届くようなレイアウトだ。反射も抑えてマットにした感じも良い。

そして、何よりもよく感じたのがシートの出来である。前後ともにファブリックの柔らかさや温かみを感じた。
 

スズキ スペーシア▲シンプルで柔らかな印象のインテリア。非常に使い勝手に優れる
スズキ スペーシア▲シートの出来は、前後ともに抜群に良い

エンジンを始動すると、振動が低減されており快適性を目指した改良を感じることができる。

こちらのグレードはNAのハイブリッドだが、フラットな路面では全く問題がない。実に乗り心地がよくサスペンションがよく動いている。シートのクッション材とのマッチングもすこぶる良好だ。

そして、CVTもトルク不足を確実に補うセッティングである。フルロードではエンジンノイズが気になる方もいるかもしれないが、心臓破りのような上り坂でもない限り、ノイズが気になるようなレベルには達しない。

ほんわかとした雰囲気が、このモデルの最も高いプレゼンスだろう。
 

スズキ スペーシア

十分なパワーだが、サスペンションセッティングがもう一歩
スペーシア カスタム XS ターボ HYBRID

続けて、カスタム XS ターボ HYBRIDへ試乗する。

外観は薄いヘッドライトまわりを際立たせており、軽自動車ながら存在感をアピールしたデザインが特徴だろう。

エンジンフードをクラムシェル形状にして、シャープさを作り出している。マニッシュな方どうぞ、といういでたちだ。
 

スズキ スペーシア
スズキ スペーシア

内装も落ち着いた色を使いながらも艶をまとった“大人仕様”である。

デジタルのメーターディスプレイは現代版のカフェレーサーらしく、シンプルなデザインだが情報量は多い。
 

スズキ スペーシア

では走り出そう。これまた非常にスタートはスムーズだ。ハイブリッドによるモーターの後押しがあるはずだが、とってつけたようなフィールはない。

加速中のCVTによるギアのセレクトも、ただ連続的なシフトではなくメリハリのあるフィールが加速感を強めており、十分な速さを得られる。

乗り心地に関して言えば、剛性が高いプラットフォームは良好だが、サスペンションのセッティングはエンジンとのバランスを鑑みるともう一歩という印象だ。

扱いやすいターボHYBRIDを生かしきれてないと考えた方が良いかもしれない。
 

スズキ スペーシア

いずれにしても、この2台ではスペーシア HYBRID Xの方がバランスが良い。ユーザーはデザイン or パワーで選ぶのだろうが、なかなか一長一短にはならないところがもどかしい。

とはいえ、どちらも個人のキャラクターにあった仕様選びを楽しめ、最高のミニマムの空間を気分良く感じることができるモデルである。

 

▼検索条件

スズキ スペーシア(3代目・現行型)×全国
文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●660 ハイブリッド X

 
型式 5AA-MK94S 最小回転半径 4.4m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 3.4m×1.48m×1.79m
ドア数 5 ホイールベース 2.46m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.3m/1.3m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.17m×1.35m×1.42m
4WS - 車両重量 880kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 0.15m
マニュアルモード -    
標準色

ミモザイエローパールメタリック、トー二―ブラウンメタリック、オフブルーメタリック、コーラルオレンジメタリック、シフォンアイボリーメタリック、モスグレーメタリック、ブルーイッシュブラックパール3

オプション色

ピュアホワイトパール、ミモザイエローPM Sベージュ2トーンルーフ、トー二―ブラウンM Sベージュ2トーンルーフ、オフブルーM ソフトベージュ2トーンルーフ、コーラルオレンジM Sベージュ2トーンルーフ

掲載コメント

-

型式 5AA-MK94S
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ミモザイエローパールメタリック、トー二―ブラウンメタリック、オフブルーメタリック、コーラルオレンジメタリック、シフォンアイボリーメタリック、モスグレーメタリック、ブルーイッシュブラックパール3
オプション色 ピュアホワイトパール、ミモザイエローPM Sベージュ2トーンルーフ、トー二―ブラウンM Sベージュ2トーンルーフ、オフブルーM ソフトベージュ2トーンルーフ、コーラルオレンジM Sベージュ2トーンルーフ
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
-
最小回転半径 4.4m
全長×全幅×
全高
3.4m×1.48m×1.79m
ホイール
ベース
2.46m
前トレッド/
後トレッド
1.3m/1.3m
室内(全長×全幅×全高) 2.17m×1.35m×1.42m
車両重量 880kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 R06D 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 27リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 28.2km/L
総排気量 657cc 燃費(WLTCモード) 23.9km/L
└市街地:22.4km/L
└郊外:25.2km/L
└高速:23.7km/L
燃費基準達成 R12年度燃費基準
85%達成車
最高出力 49ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
58(5.9)/5000
エンジン型式 R06D
種類 直列3気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 657cc
最高出力 49ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
58(5.9)/5000
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 27リットル
燃費(JC08モード) 28.2km/L
燃費(WLTCモード) 23.9km/L
└市街地:22.4km/L
└郊外: 25.2km/L
└高速: 23.7km/L
燃費基準達成 R12年度燃費基準 85%達成車

●660 カスタム ハイブリッド XSターボ

型式 4AA-MK54S 最小回転半径 4.6m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 3.4m×1.48m×1.79m
ドア数 5 ホイールベース 2.46m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.3m/1.3m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.17m×1.35m×1.42m
4WS - 車両重量 910kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 0.15m
マニュアルモード    
標準色

インディゴブルーメタリック2、フェニックスレッドパール、アーバンブラウンパールメタリック、ブルーイッシュブラックパール3、クールカーキパールメタリック

オプション色

ピュアホワイトパール、スチールシルバーメタリック、ピュアホワイトP ブラック2トーンルーフ、インディゴブルーM2 ブラック2トーンルーフ、スチールシルバーM ブラック2トーンルーフ、フェニックスレッドPブラック2トーンルーフ

掲載コメント

-

型式 4AA-MK54S
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 インディゴブルーメタリック2、フェニックスレッドパール、アーバンブラウンパールメタリック、ブルーイッシュブラックパール3、クールカーキパールメタリック
オプション色 ピュアホワイトパール、スチールシルバーメタリック、ピュアホワイトP ブラック2トーンルーフ、インディゴブルーM2 ブラック2トーンルーフ、スチールシルバーM ブラック2トーンルーフ、フェニックスレッドPブラック2トーンルーフ
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
最小回転半径 4.6m
全長×全幅×
全高
3.4m×1.48m×1.79m
ホイール
ベース
2.46m
前トレッド/
後トレッド
1.3m/1.3m
室内(全長×全幅×全高) 2.17m×1.35m×1.42m
車両重量 910kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 R06A 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 ターボ 燃料タンク容量 27リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 26.1km/L
総排気量 658cc 燃費(WLTCモード) 21.9km/L
└市街地:19.3km/L
└郊外:23.8km/L
└高速:22km/L
燃費基準達成 -
最高出力 64ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
98(10)/3000
エンジン型式 R06A
種類 直列3気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 658cc
最高出力 64ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
98(10)/3000
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 27リットル
燃費(JC08モード) 26.1km/L
燃費(WLTCモード) 21.9km/L
└市街地:19.3km/L
└郊外: 23.8km/L
└高速: 22km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。