日産 フェアレディ Z NISMO▲2024年モデルで追加設定された、NISMOが仕立てた高性能モデル。シャシーやエンジンなどにチューニングを施し、空力性能を向上させる専用パーツを採用したことでGT性能を向上させた。なお、当面は、すでにフェアレディ Zを注文済みで長期間納車を待っている人の中で、振り替えを希望する人のみへの販売となっている(希望者多数の場合は抽選)

存在感も格別なスタンダードグレードの“上質版”

2022年にデビューしたというのに、街中で見かけることがいまだに珍しいという“異常事態”が続く。最近になって少しは改善されたというけれど、中古車相場の高値安定を見るにつけ、納車を待っている客がいることも事実。それに(GT-Rとは違って)“みんなのためのスポーツカー”というのが現行(RZ34型)フェアレディZの本分だと思うので、結果的に転売ビジネスをあおるようなメーカーの生産体制には大いに疑問を感じるところだ。Zだけじゃない。もうそろそろ半導体あたりのせいにするのはやめた方がいい。

そして、スタンダードグレードのデリバリーが思うように進まない中、高性能仕様であるNISMOを発表。スポーツカー好きにとっては矢継ぎ早のモデルリリースも楽しいこととはいえ、スタンダードグレードを注文し待っていた人にはある意味“噴飯もの”だっただろう。販売方法などにも疑問があるけれど、そういうことを言い出すとキリがなくなるのでやめておく。

とにかくZ NISMOを駆っていると、スタンダードモデルをテストしたときよりも注目を浴びていた気がした。車好きホイホイだ。最新スーパーカーよりもフレンドリーには見えるのだと思う。サービスエリアなどで車を止めると声をかけられたこともしばしば。「私の車ではありません」などと返すと話がややこしくなりそうなので、「ニスモいいですね~。もう納車されたんですか! 」と聞かれたら、オーナーの気分で「ありがとうございます」といなしておく。
 

日産 フェアレディ Z NISMO▲前後バンパーやサイドシルプロテクターなど、エクステリアには空力性能を向上させる専用パーツが装着されている

GT-R NISMOのイメージ(スタンダードモデルとはまるで違うライド質感)で捉えると、ちょっと拍子抜けするかもしれない。パワートレインやエアロダイナミクスなど念入りに“ニスモチューン”されているとはいうものの、東京~京都往復を含め一般道を試乗した限りではスタンダードグレードの上質版。スポーティさを強調しすぎることはなく、どちらかといえばよくできたグランドツーリングカーという本来のキャラクターに磨きをかけたという印象が強い。

全長、全幅ともにスタンダードグレードより伸びた。フロントマスクのデザインがまるで違うこともあって、存在感は格別だ。初代フェアレディZにおけるノーマルと240ZGとの関係によく似て、好みの分かれるところでもあった。

3L V6ツインターボエンジンはスタンダードグレード用でも最高出力405ps/最大トルク475N・mと十分にハイスペック。独自のチューンを施したNISMOではそれぞれ420ps/520N・mで、実を言えばそれほどの違いを感じることはない。
 

日産 フェアレディ Z NISMO▲スタンダードグレードより全長40mm、全幅25mm拡大。フロントエンドとリアフロアの補強によってねじり剛性をさらに高めている

街中での乗り心地も良好だ。足回りやブレーキのみならずボディ&フロアまでNISMOが念入りに補強したというのに、それらしき“スパルタンさ”を感じることなどみじんもない。GT-R NISMOも以前に比べて随分乗りやすくなっていたが、それでも異質なライド感があったもの。Z NISMOはあくまでもZの延長線上にあった。

NISMOらしさを感じたければ、高速道路の長距離ドライブをオススメする。新東名あたりの巡行速度領域でなら、進化した空力の恩恵を少なからず感じることができるからだ。空気を綺麗に裂いて進む感覚や、路面との距離を縮めてフラットさを保つライド感、コーナーでの安定感など、ベースモデルのGT性能をさらにハイレベルへと導いた。

もちろん、Z NISMOのもうひとつの真骨頂はスポーツドライビングにある。高回転域まで引っ張ったときの精緻なエンジンフィールは心地よく、サウンドの質もきめ細やかで胸を空く。ハンドリングは素直に機敏で、意のまま感は十二分。サーキットに持ち込んでみたいという衝動にも駆られた。

けれども、そんなこんなも実のところスタンダードグレードで十分に味わえる現行モデルの資質である。だから待っている間に出てしまってNISMOを買えなかったというオーナーは、形の違いはともかく、ドライビングファンとGT性能という点でそう悲観的になることはない。スタンダードで十分だと言っておく。

ちなみに、Z NISMOの中古車相場は定価920万400円+300万円程度。スタンダードモデルの相場はおおよそ700万~1000万円。価格ほどの性能差はない、というのが私の見立てであった。
 

日産 フェアレディ Z NISMO▲ブーストアップや気筒別点火時期制御の導入など、NISMO専用チェーンが施されたV6ツインターボ(VR30DDTT)を搭載する
日産 フェアレディ Z NISMO▲グロスブラック塗装されたラジアルスポークデザインのレイズ製19インチ鍛造アルミホイールを装着
日産 フェアレディ Z NISMO▲インテリアはデザインをそのままに、スポーツ走行を盛り上げるNISMOのキーカラーであるレッドが用いられた
日産 フェアレディ Z NISMO▲ドライブモードのスポーツ+は、バルブタイミングの変更と新たなスロットル制御により、アクセルレスポンスやシフトスピードが向上している
日産 フェアレディ Z NISMO▲NISMO専用チューンのレカロ製スポーツシートを装着
日産 フェアレディ Z NISMO▲プスポーツカーとしては広めなラゲージスペース。シート後ろにも収納スペースが備わる
文/西川淳 写真/タナカヒデヒロ

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

日産 フェアレディZ(現行型)の中古車市場は?

日産 フェアレディ Z

2020年にプロトタイプを発表、日本では2022年に公開された2シータースポーツ。7世代目となる現行モデルは、「伝統と最新技術の融合」をテーマに歴代モデルのデザインモチーフを取り入れている。エンジンは新開発の3L V6ツインターボを搭載、新しい9速ATと6速MTが組み合わせられている。

2024年4月中旬時点で、中古車市場には50台ほどが流通、価格帯は700万~1000万円となる。2022年登場と新しく、走行距離が1万km以上の物件は数台のみ。ミッションは6速MTが35台程度と半数以上を占めている。新車は受注停止が続いているので、中古車で気に入った仕様があれば検討してみてはいかがだろうか。
 

▼検索条件

日産 フェアレディZ(現行型) × 全国
文/編集部、写真/日産自動車

【試乗車 諸元・スペック表】
●3.0 NISMO

型式 5BA-RZ34 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.41m×1.87m×1.32m
ドア数 3 ホイールベース 2.55m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 0.95m×1.5m×1.07m
4WS - 車両重量 1680kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 1790kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.13m
マニュアルモード
標準色

-

オプション色

カーマインレッド/スーパーブラック2トーン、ブリリアントシルバー/Sブラック2トーン、プリズムホワイト/スーパーブラック2トーン、ミッドナイトブラックパール、NISMOステルスグレー/Sブラック2トーン

掲載コメント

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型式 5BA-RZ34
駆動方式 FR
ドア数 3
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 -
オプション色 カーマインレッド/スーパーブラック2トーン、ブリリアントシルバー/Sブラック2トーン、プリズムホワイト/スーパーブラック2トーン、ミッドナイトブラックパール、NISMOステルスグレー/Sブラック2トーン
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.41m×1.87m×1.32m
ホイール
ベース
2.55m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) 0.95m×1.5m×1.07m
車両重量 1680kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1790kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント -
エンジン型式 VR30DDTT 環境対策エンジン -
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 62リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 2997cc 燃費(WLTCモード) 9.2km/L
└市街地:6km/L
└郊外:9.6km/L
└高速:11.5km/L
燃費基準達成 -
最高出力 420ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
520(53)/5200
エンジン型式 VR30DDTT
種類 V型6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2997cc
最高出力 420ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
520(53)/5200
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 62リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 9.2km/L
└市街地:6km/L
└郊外: 9.6km/L
└高速: 11.5km/L
燃費基準達成 -