【試乗】新型 ランドローバー レンジローバー|V8ガソリンモデルは数年先まで予約でいっぱい? 本家本元のハイエンドSUVはやっぱりすごかった!
カテゴリー: ランドローバーの試乗レポート
2022/09/12
その完成度の高さに舌を巻く
発表会でそのスタイリングを見た瞬間からとりこになった。ちょっと違和感をもたせるくらいの味付けがこの手のハイブランド商品のモデルチェンジには肝要であることを、さすがにレンジローバーはよく知っているようだ。
旧型オーナーをさほどがっかりさせたり驚かせたりすることなく、ひょっとするとちょっとためらわせるくらいのさじ加減でありながら、どこからどう見てもレンジローバーに見える威風堂々さ。おそらくしばらく経つと旧型は一気に古く見えてくるはず。
そのことがあらかじめ見えている人だけが先を争ってオーダーしているようにも思う。何でもBMW製のV8ガソリンエンジンを積んだモデルは数年先まで予約が入ってしまい、オーダーストップ状態らしい(超豪華なSVなら可能だけれど)。
それにしても新型レンジローバーの完成度の高さには舌を巻くほかなかった。V8ガソリン(P530)とマイルドハイブリッド直6ディーゼル(D300)を試しただけなのだけれど、どちらのパワートレインも巨大なSUVを力強く、そしてしなやかに動かす。ちなみに、グレード名の数字は馬力を表す。
乗り心地はロング、ショートともに秀逸と言っていいレベルなのだが、ショートの方が少し優っていると思った。タイヤの転がり方が素晴らしくスムーズで、低速域での多少のゴツゴツ感を除けば完璧な足さばきだ。
しかも街中のドライブでは、巨大なボディサイズをさほど感じさせないのだから驚く。多くの車を見下ろしている(アルファードがワゴンRくらいに思える)という点で、大きな車に乗っている感覚ははっきりとあるのだけれど、思いのままに動く分、その大きさを面倒に思うことがない。フロントピラーの付け根あたりで視界の不良があるのみで、とても運転しやすい。
高速クルージングでは一体感まであった。インターチェンジのカーブやなだらかなコーナーではアクセルペダルの踏み加減で車の向きが正確に変わってくれる。こんなにも大きな車であるというのに、思いどおりに動く感覚が半端ない。
ちなみに、不得意なはずのワインディングロードもそこそこ楽しめた。さすがハイエンドSUVの本家本元だ。ポッと出と一緒にするわけにはいかない。
そんな新型レンジローバーにはまだ見ぬ大本命が残されている。
直6ガソリンエンジンにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせたグレード、P440とP510だ(馬力の差はエンジンチューニングの違い)。電気モーターはいずれのグレードも同じ性能で、満充電なら113km(カタログ値)をEVで走行する。リアルライフではおそらく90km前後はEV走行してくれそう。
多くの街乗りレンジローバーユーザーにとって、それは十二分といえる走行レンジで、家のガレージで充電さえできれば、普段は全くガソリンスタンドに行くことなくレンジローバーに乗ることができる。ガソリンスタンドに行くことが嫌いな筆者などは、それくらいのEVレンジをもつPHEVは理想のパワートレインだ。
うーん、筆者のような背の高い車嫌いもとりこにしてしまう。やっぱり本家は強かった。
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
ランドローバー レンジローバー(4代目)の中古車相場は?
新型レンジローバーの登場で注目したいのが、先代型となるレンジローバー(4代目)だ。SUVでは世界初となるオールアルミニウム製軽量モノコックボディを採用するなど革新的なモデルとして2013年に登場。オン/オフロードを問わない走行性能はいまでも一級品だ。
9年間にわたって販売されていることもあり、2022年9月時点での流通台数は100台前後。ガソリン仕様やディーゼル仕様、装備の違いなど様々なタイプがあり、自分好みの1台を見つけるのも楽しい。平均価格は1225.5万円だが、初期モデルであれば600万円台付近から探し出せる。
なお、上の写真は2021年にレンジローバー誕生50周年を記念した特別仕様車の「RANGE ROVER Fifty」(写真右)と初代レンジローバー(左)。