アルファロメオ ジュリア▲2020年にマイナーチェンジしたジュリア クアドリフォリオに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が公道試乗でレポートする

伝統的なデザインを継承したジュリアの最高峰グレードに試乗

私が初めて購入したイタリア車は、1964年製の“アルファ ロメオ ジュリア スプリント GT”というモデルだった。通称“段付き”というフロントマスクをもった個性的なモデルだ。若き日の巨匠“ジウジアーロ”の作品だ。

あれから30年経過した今、これから試乗するのは2代目となったジュリアで、最高峰グレードのクアドリフォリオである。このモデルは、2017年に日本導入されていたが、どういうわけか試乗する機会がなかった。

試乗するモデルは、2020年にマイナーチェンジを受けた仕様だ。アルファロメオの神髄は、決してこびないスタイリングだと思う。量産モデルを輩出してから、歴史的にどれも他にはないデザインで皆を魅了してきた。

この3つのグリルを用いたフロントマスクは、伝統的であると同時に、今となってはアルファロメオのアイデンティティとなっている。

エンジンは、90度のV型6気筒ツインターボを搭載している。これは、フェラーリ製のエンジンとボアストロークも同様なことから、共用しているということが理解できる。ちなみにプラットフォームも、フェラーリが監修しているそうだ。
 

アルファロメオ ジュリア
アルファロメオ ジュリア

高い運動性能を有するがクルージングも快適にこなす

地下の駐車場からエンジンボタンを押してスタートだ。人けのない地下に軽やかな6気筒の音がこだまする。2.9Lツインターボエンジンは、高度にチューニングされたエンジンのように軽やかに回ってくれる。
 

アルファロメオ ジュリア

一般道を走り首都高速に向かう。低中速で街中を走っていて感じることは、とにかく軽いの一言だ。動き出しが本当に軽くノーズも軽い。ステアリング操作においては、全く重みを感じさせないのだ。今から向かう八ヶ岳のワインディングも楽しみになってくる。

首都高速は、トリッキーな路面と不安定な速度の連続である。なので、ハイパフォーマンスカーやチューニングされたモデルは、スムーズに走らせることが難しいが、クアドリフォリオはストレスなく快適に走る。

アクセルを踏み込めば、最適にセレクトしたギアとエンジントルクでマナーのいいATといった印象だ。500馬力以上の対応が可能なZF社製の8速ATは、歯切れよくスムーズにシフトアップしてくれる。
 

アルファロメオ ジュリア

そして、剛性感が高いバイワイヤシステムのブレーキは、制動力をリニアにさせている。それにより、動き自体の安定感が増すイメージなのである。

時速60km/hの不規則なクルージングも難なくこなす。ここからは80km/hで中央自動車道を走る。日も暮れているが、乗り心地がよいおかげで快適だ。

マウンテン区間も、ボディを水平に保ちながら走ることができるので、身体や負担も少ない。まるで質の高いグランツーリスモ、といった顔ももち合わせている。

八ヶ岳に近いインターを出たときは、すでに山道は深い闇へとなっていた。夜道のワインディングは、深いところまで照らし続けるヘッドライトが必要である。アルファ ロメオのヘッドライトは、デザイン性が優先だと思っていたが、思った以上にコーナーを深く照らした。こういったシチュエーションは、ハンドリングの正確さと視認性が高いことが大切だと感じる。

一夜明け、晴天のワインディングでの試乗だ。V型6気筒とは思えないハーモニックで軽快なリズムが野山に響く。今までのアルファ ロメオで、最もラグジュアリーでファンタスティックな1台である。

ハンドリングと乗り心地、エンジンとトランスミッションのマッチング、文句のつけようがない。

ブレーキは、コントロールされている感じは否めないが、ブレーキ上手なドライビングを心がければ、同乗者の気分を害することはないだろう。

他のジュリアと比べると倍以上の価格ではあるが、他のブランドでは味わえないエンジンフィールや高次元の走り。加えて、第一級のグランツーリスモとしての満足感は、計り知れないに違いない。
 

アルファロメオ ジュリア
文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●2.9 V6 ビターボ クアドリフォリオ

型式 ABA-95229 最小回転半径 5.7m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.64m×1.87m×1.44m
ドア数 4 ホイールベース 2.82m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.56m/1.61m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1710kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

アルファレッド

オプション色

ヴェスヴィオグレーメタリック、ブルカノブラックメタリック、シルバーストーングレーメタリック、トロフェオホワイトトリコート、コンペティツォーネレッドトリコート、ミザーノブルーメタリック

掲載コメント

-

エンジン型式 670050436 環境対策エンジン -
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 58リットル
可変気筒装置 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 2891cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 510ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
600(61.2)/2550
型式 ABA-95229
駆動方式 FR
ドア数 4
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アルファレッド
オプション色 ヴェスヴィオグレーメタリック、ブルカノブラックメタリック、シルバーストーングレーメタリック、トロフェオホワイトトリコート、コンペティツォーネレッドトリコート、ミザーノブルーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.7m
全長×全幅×
全高
4.64m×1.87m×1.44m
ホイール
ベース
2.82m
前トレッド/
後トレッド
1.56m/1.61m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1710kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 670050436
種類 V型6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置
総排気量 2891cc
最高出力 510ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
600(61.2)/2550
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 58リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。