ルノー カングー▲2023年3月に発売が始まった新型となる3代目ルノー カングー。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けしよう

新型カングーは乗り出し400万円オーバー

フランスでは「フルゴネット」と呼ばれる小型商用車がある。その中でもFF車両をベースに、小型乗用車の前方キャビンを使い、Bピラーから後は商用車用というパッケージングのモデルは1950年代からすでに存在していた。

これらは簡素なつくりであるが、乗用車の気質をもっていたため、乗り心地は商用車とは異なる雰囲気であった。

そんな商用車をあえて乗用車用に仕上げたのが、初代ルノー カングーの功績であろう。

カングーは徐々に本場欧州で人気を博し、日本でもスキのあるキッチュなデザインと国産車にはないカラー、そしてフランス文化の雰囲気がファッション的にも受け入れられたのである。

そのカングーも1997年から生産され2021年に新型となる3代目が登場。日本では2023年3月に販売が始まった。

プラットフォームは先代同様に日産・ルノー共通のCMF-C/Dであるが、今まで以上に乗用車ライクを目指したそうだ。

カングーは、あえてスキを残したようなエッセンスをもつため、セカンドカー的な面が強かった。しかし、新型ではファーストカーに格上げしたのだという。

様々な仕様があるが、乗り出し価格もざっと400万円超えということがそれを物語っている。

今回は、ガソリンおよびディーゼルモデルに試乗したので、その際のインプレッションをお届けしよう。

ファーストカーとしては正直厳しい

新型カングーのデザインを見ると、同じフランスのプジョー リフターやシトロエン ベルランゴよりも、ドイツ・フォルクスワーゲンのゴルフトゥーラン的なエッセンスが感じられる。

ルノー カングー▲ブラックバンパー仕様の「クレアティフ」
ルノー カングー

初めにガソリンモデルから試乗する。

エンジンは1.3Lの直噴ターボユニットだ。ツインクラッチタイプの7速ATとの相性は良く、マナーの良いシフトアップ・ダウンを行う。この手のタイプとしては扱いやすく良好だ。

しかし、乗り心地はファーストカーとしてはチープな印象。これがセカンドカーだったら……とも思ったが、価格を考えるとバリューは低いと言わざるを得ない。

また、アイドリングをストップするとパワーステアリング制御が弱くなってしまうのは、手を抜いてしまったのだろうか? 安全面から見てもこれはいただけず、およそ400万円を超えるモデルではないと感じる。

ルノー カングー▲シフトチェンジは良好。しかし乗り心地は決してよいとは言えない
ルノー カングー▲先代に比べ様々な安全装備が標準装備される
ルノー カングー▲カングーを象徴するダブルバックドアは新型にも採用されている

少し残念な気持ちになってしまったが、次は期待しているディーゼルモデルに試乗する。

エンジンを始動すると、ディーゼルエンジン特有の音はするが、決して耳障りではない。

ディーゼルモデルの特性上、人が乗っても荷物を積んでも、逆に空荷の状態であっても、低速域から力強く発進することを得意とする。

砂利道での発進を試したが、大きなトルクであっても、トラクションは良い。

また、高速道路も走ったが、最新の運転支援システムは家族旅行などのシーンでもしっかりと疲労を軽減してくれはずだ。

ルノー カングー▲ボディ同色のバンパーを装備する「インテンス」。低回転からの力強さはディーゼルならでは

ディーゼルモデルは、ガソリンモデルよりもしっとりとした乗り心地で、先代カングーの要素を感じることができる。

ガソリンディーゼル両モデルともに、フロントとリアのボディ剛性のいなし方に差があることからくる振動および、リニアリティに欠けているブレーキフィールは気になった。

セカンドカーとしてのカングーなら許せる部分かもしれないが、ファーストカーとしてののろしを上げたからには、他のモデルを引っ張っていく素養があっても良かったのでないか。いや、そうあるべきだと感じる。

カングーの新しい世界観は、先代までとは違ったエッセンスになった。しかし、現状ではさすがと言わせる内容でもない。

ルノーをここまで厳しくは評価したのは初めてだけに、今後の改良モデルに大いに期待したい。

ルノー カングー▲多くの人が期待していたモデルだけに、少し厳しめの評価となってしまった。今後の改良に期待したい!

▼検索条件

ルノー カングー(3代目・現行型)× 全国
文/松本英雄、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
● クレアティフ 7EDC

型式 3BA-KFKH5H 最小回転半径 5.6m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.49m×1.86m×1.81m
ドア数 5 ホイールベース 2.72m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.58m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1560kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

ブランミネラル、ジョンアグリュム

オプション色

-

掲載コメント

-

型式 3BA-KFKH5H
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブランミネラル、ジョンアグリュム
オプション色 -
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
最小回転半径 5.6m
全長×全幅×
全高
4.49m×1.86m×1.81m
ホイール
ベース
2.72m
前トレッド/
後トレッド
1.58m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1560kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 H5H 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 54リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1333cc 燃費(WLTCモード) 15.3km/L
└市街地:12.2km/L
└郊外:15.5km/L
└高速:17km/L
燃費基準達成 -
最高出力 131ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
240(24.5)/1600
エンジン型式 H5H
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1333cc
最高出力 131ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
240(24.5)/1600
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 54リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 15.3km/L
└市街地:12.2km/L
└郊外: 15.5km/L
└高速: 17km/L
燃費基準達成 -

●インテンス 7EDC ディーゼルターボ

型式 7DA-KFKK9K 最小回転半径 5.6m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.49m×1.86m×1.81m
ドア数 5 ホイールベース 2.72m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.58m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1650kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

ブランミネラル

オプション色

ブラウンテラコッタメタリック、グリハイランドメタリック、ブルーソーダライトメタリック

掲載コメント

-

型式 7DA-KFKK9K
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブランミネラル
オプション色 ブラウンテラコッタメタリック、グリハイランドメタリック、ブルーソーダライトメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
最小回転半径 5.6m
全長×全幅×
全高
4.49m×1.86m×1.81m
ホイール
ベース
2.72m
前トレッド/
後トレッド
1.58m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1650kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 K9K 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 54リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1460cc 燃費(WLTCモード) 17.3km/L
└市街地:12.9km/L
└郊外:17.7km/L
└高速:19.9km/L
燃費基準達成 -
最高出力 116ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/1750
エンジン型式 K9K
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1460cc
最高出力 116ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/1750
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 54リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 17.3km/L
└市街地:12.9km/L
└郊外: 17.7km/L
└高速: 19.9km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。