プジョー 208GTi|ニューモデル試乗

「だって、運転が好きなんだもん、しょうがないじゃん」という乗り手のストレートな思いがきっと伝わるホットハッチ。ただし、乗り心地の洗練度については「プジョーだったらもういちだん上を狙えたはず」と感じてしまう

ちょっぴりオトナのホットハッチ

高性能を言い訳にせず、実用性にも十分配慮

1.6Lから200psを絞り出すハイチューンエンジンなんて、ひと昔前なら普段使いはあきらめるしかない扱いにくいシロモノでしかなかった。でも、PSAとBMWが共同開発したこのエンジンは驚くほどフレキシブル。トルク特性だって実にフラットで、最新エレクトロニクスの威力を思い知らされること請け合いだ。

プジョーが久しぶりに「GTi」の名を復活させた208GTiは、このパワフルで扱いやすいエンジンにすべてが象徴されているような気がする。基本的にはかなりのハイパフォーマンスカー。けれども、だからといって高性能なことを言い訳にせず、実用性にも十分配慮したホットハッチに仕立てられているのだ。

ほどよくスパイスが利いたオトナのためのコンパクトカー

たとえば、そのサスペンション。路面から入る衝撃をじわりと受け止めるいっぽうで、コーナリング中のボディの動きはしっかりと支える。率直にいって、ターンインでカミソリのような鋭敏さを示すわけでもなければ、スロットルペダルの動きでリアスライドをコントロールできる身軽さを備えているわけでもない。でも、ほどよく機敏で、優れたスタビリティを生み出す。物足りないと思う人もいるかもしれないが、なかなかオトナなセッティングである。

エクステリアもインテリアもていねいにモディファイされているけれど、決してド派手ではない。せいぜい「スポーティ・カジュアル」の範疇。でも、気負わず普段着で乗るなら、「化粧の濃さ」はこのくらいでちょうどいいと思う。

それでも、小径のステアリングを握り、6MTのシフトレバーを操れば、ホットハッチを走らせる楽しさは確実に心のなかで蘇る。「回春剤」なんて言葉はジジ臭くて似合わない。もっとアクティブに毎日を過ごすアナタにこそ相応しい、ほどよくスパイスが利いたオトナのためのコンパクトカーである。

フローティンググリルはチェッカーフラッグをモチーフにしたという専用デザインになっている。レッドのアクセントラインが入る

フローティンググリルはチェッカーフラッグをモチーフにしたという専用デザインになっている。レッドのアクセントラインが入る

直噴や可変バルブコントロール、ツインスクロールターボなどを備え、歴代200シリーズ最高のパフォーマンスを誇る

直噴や可変バルブコントロール、ツインスクロールターボなどを備え、歴代200シリーズ最高のパフォーマンスを誇る

ナッパレザーとファブリックを組み合わせたホールド性の高いスポーツシートを装備。スポーティーさと高い質感を同時に演出している

ナッパレザーとファブリックを組み合わせたホールド性の高いスポーツシートを装備。スポーティーさと高い質感を同時に演出している

SPECIFICATIONS

グレード 208GTi
駆動方式 FF
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 3960×1740×1470
ホイールベース(mm) 2540
車両重量(kg) 1200
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1598
最高出力[ps/rpm] 200/6000
最大トルク[N・m/rpm] 275/1700
車両本体価格(万円) 299
Tester/大谷達也 Photo/向後一宏