見た目ファンシー系、中身は超社会派系

  • スマートカブリオ フォーツー mhd 走り|ニューモデル試乗
  • スマート フォーツーカブリオ mhd リアスタイル|ニューモデル試乗
↑8km/h以下でエンジンが切れるが、実際は停車とほぼ同時に止まるイメージで、違和感はない(左)初代スマートの初期モデルはややガサツな感触もあったが、最新世代のスマートの走りは「上質!」とさえいえるレベルだ
ハイブリッドというとエンジンと電気モーターとのハイブリッド(雑種)をイメージするが、新たに登場したスマート フォーツー mhd(マイクロハイブリッドドライブ)は、オルタネーターにスターター機能を与えたアイドリングストップ機能付き……という意味。具体的には8km/h以下になると自動的にエンジンがストップし、ブレーキから足を離すと同時にエンジンがかかる、というものだ。

その昔、テレビ番組で「車はエンジン始動時に多量の燃料を使うため、アイドルストップをすると燃費は逆に悪くなる」という話を聞いた記憶がある。しかし実態はさにあらずのようで、インポーターの説明によると、エンジン始動時に必要な燃料はアイドリング5秒分に過ぎないとのこと。ということは、信号待ちなどで5秒以上停止する場合には、アイドルストップはかなり有効なわけだ。

では、そのドライブフィールならぬ「アイドルストップ&スタートフィール」はどんな塩梅か、報告しよう。

「これからのコンパクトカーかくあるべし!」

  • スマート フォーツーカブリオ mhd インパネ|ニューモデル試乗
  • スマート フォーツーカブリオ mhd シート|ニューモデル試乗
↑内装の質感もまずまず。10・15モード燃費は23km/hをマークしている(左)完全2人乗りであることを割り切れば、キャビンは意外に広々と感じるかも(右)
8km/hでエンジンが切れるといわれると「まだ走ってるうちにエンストするんかい!?」と思うが、実際は停止とほぼ同時にエンジンがスッと止まるイメージで、違和感はゼロ。急に静寂となった室内に、周囲の車が発するやかましいアイドリング音が流れ込んでくる。「無駄にガソリンを撒き散らしやがって……」と、なぜか急に上目線で周囲を睥睨するワタシ。信号が変わり、ブレーキペダルから足を離すと瞬時に(実際は0.35秒後に)エンジンがかかるわけだが、ストップ時のような自然な「切り替わりフィール」ではなく、ブルルルッという若干安っぽい身震いを伴う。が、これはスマートの車格と価格を考えれば致し方ない部分だろう。

ブレーキから足を離せば0.35秒でエンジンがかかるとはいえ、流れの速い幹線道路へ停止状態から合流する場合などは、その0.35秒のタイムラグがドライバーに軽い恐怖を与える。しかし本来、そういったシーンでは車の流れが十分に途切れるのを待って合流するべきゆえ、これもまた非難するのはお門違いだ。

また、縦列駐車の際などにいちいちエンジンがストップしてわずらわしい場合には、システムのキャンセルボタンを押せば超低速でもエンジンはカットされない。「これからのコンパクトカーかくあるべし!」と強く思わせる、カワイイ見た目と裏腹な、硬派かつ社会派な一台であった。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード フォーツーカブリオ mhd
駆動方式 2WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 2720×1560×1540
ホイールベース(mm) 1865
車両重量(kg) 850
乗車定員(人) 2
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 999
最高出力[ps/rpm] 71ps/5800rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 9.4kg-m/4500rpm
10・15モード燃費(km/L) 23.0
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/33
車両本体価格 213.0万円
(Tester/谷津正行(インポートカーセンサー デスク) Photo/向後一宏)