効率的な存在をあえてToo Muchに仕立てた

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専用デザインのエアロパーツやセンター出しのデュアルクロームエグゾーストを装着。インテリアも本革シートやアルミ製シフトレバー&パーキングブレーキレバーなど備えた
“BRABUS(ブラバス)エクスクルーシブ”はクーペ/カブリオをベースに、M・ベンツチューナーであるブラバスが手がけた限定車だ。ドイツ本国で「ブラバス テイラーメイド」という名称で用意されているオプション装備を日本向けにパッケージ化したもの、と理解して良いだろう。

1L3気筒エンジンにターボチャージャーを装着し、最高出力は102psとベース車両比+40%以上となっている。パワーアップにともない足回りを強化したほか、当然のことながら内外装にブラバスパーツをまとう。

クーペ/カブリオの“都会派コミューター”という効率的な存在に、あえてToo Muchなパフォーマンス/アピアランスに仕立てている。“あえて”というコンセプトは人気で、カブリオは50台、クーペは200台の限定販売と発表されていたが、既にカブリオは完売だという。

操る楽しさを改めて教えてくれる“乗り物”

  •  スマート ブラバス インパネ|ニューモデル試乗
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チューニングが施されたエンジンはベース比約44%(31ps)出力が向上。併せてミッションもクラッチ容量を拡大、1-4速のシフトスピードを20%短縮した
走らせた瞬間、笑いがこみ上げてきた。102psと聞くと大したパワーではないが、880kg(カブリオ)のボディには十分すぎる。“シュゴーッ”という吸気音を微かに響かせながら爆走する様は、唯一無二。

パワーアップにともない引き締められた足回りは当初ドタバタしているように感じたが、走らせるにつれガッチリと路面を捉えていることに気付かされる。言うなれば下半身は安定していて、上半身がヒョコヒョコしている雰囲気だろうか?

洗練とは無縁かもしれないが、シティコミューターに似つかわしくない走りっぷりに誰もが興奮させられると思う。初めて自転車に乗って操る楽しさ、風を切る快感を覚えた感覚に似ているかもしれない。車とは違う、“乗り物”に出会ったかのようだ。経済的、効率的というコンセプトを覆すようなToo Muchさは、遊び心以外の何物でもない。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード カブリオ ブラバス
全長×全幅×全高(mm) 2750×1580×1530
車両重量(kg) 880
エンジン種類 直3DOHCターボ
総排気量(cc) 999
最高出力[ps/rpm] 102/6000
最大トルク[ Nm/rpm] 147/2500-3600
車両本体価格 290万円
Tester/古賀貴司  Photo/阿部昌也