カブリオレの開放感もクーペの走りも犠牲にせず、そのうえで思い切り洒落たスタイリングとリトラクタブルハードトップの驚きをも併せ持った911タルガは、大人の我儘のすべてを満たしてくれる究極の1台。マニアもミーハーもそして普通の人も、皆さんどうぞ カブリオレの開放感もクーペの走りも犠牲にせず、そのうえで思い切り洒落たスタイリングとリトラクタブルハードトップの驚きをも併せ持った911タルガは、大人の我儘のすべてを満たしてくれる究極の1台。マニアもミーハーもそして普通の人も、皆さんどうぞ

昔の姿と最新の中身で一躍オシャレ911の筆頭に!

率直に言ってタルガは、今まで911の中で最も地味な存在だった。しかし新型は、その立ち位置を180度転換させるに違いない。何しろ新型のルーフはサプライズ満載なのだ。

見た目はタルガバーを装備したタイプ964以前に回帰しているが、実はそのルーフは脱着式ではなくリトラクタブルハードトップとなっている。スイッチを押す、もしくは車外からリモコンキーで操作すると、わずか19秒の間にリアウインドウが持ち上がって、長いアームによってそこにルーフがしまい込まれるのだ。こんなアピール度の高いオープンカー、そうはない。

しかもスタイリングが、まったく違和感なくキマッているのが驚きである。変わったようでいて変わっていない911だからこそ、新しいタルガのような変身が可能となったわけだ。

Bピラーに代わり外側に鍛造アルミを用いたタルガバーを採用。初代をほうふつとさせる3本のグリルとロゴが入る Bピラーに代わり外側に鍛造アルミを用いたタルガバーを採用。初代をほうふつとさせる3本のグリルとロゴが入る

もっともオープン状態で走らせると、このタルガバーに前方からの風が直撃して結構騒がしい。同乗者と会話するには、速度を落とすことが必要だ。しかしながらフロントウインドウが比較的切り立っているおかげで開放感は十分だし、風の巻き込みも十分抑えられている。

そして意外なことに走りもカナリ良いのだ。ボディ剛性はカブリオレを少し上回る程度だというが、体感上はクーペにも遜色ないほどしっかりしている。つまりフットワークにも妥協はないということで、911らしいスポーティな走りを存分に堪能できるのだ。最高の開放感と、皆に自慢したくなるだてっぷりとともに。

今、いちばん人目を引く911を選ぶなら、間違いなくこのタルガだ。

しかも価格は同じエンジン&駆動システムのカブリオレより安いんだから、まったくウソみたいな話である。

タルガ4には3.4L、4Sには400ps/440Nmを発生する3.8Lを搭載。4WDモデルのみをラインナップ タルガ4には3.4L、4Sには400ps/440Nmを発生する3.8Lを搭載。4WDモデルのみをラインナップ
伝統の5連メーターをはじめ他の911同様のインテリア。タルガバーのトリムはアルカンターラを用いる 伝統の5連メーターをはじめ他の911同様のインテリア。タルガバーのトリムはアルカンターラを用いる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:911Targa4 ■乗車定員:4名
■エンジン種類:水平対向6DOHC ■総排気量:3436cc
■最高出力:350/7400[ps/rpm] ■最大トルク:390/5600[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4491×1852×1298(mm) ■ホイールベース:2450mm
■車両重量:1540kg
■車両本体価格:1500万円(税込)

text/島下泰久 photo/大子香山