【試乗】アウディ RS4アバント|進化を止めない超速ワゴンは、ジェントルな仕事をするATにも好感
カテゴリー: アウディの試乗レポート
2021/08/23
RS2から続く最速ワゴンの系譜
アウディの“RSアバント”といえばRS4である。
なぜならば、アウディのRSアバントシリーズの先祖であるRS2は、アウディ A4の先代モデルにあたる、アウディ 80アバントをベースとして作られていたからである。
その後、超速ワゴンモデルとして、初代RS4アバントがA4をベースに2000年に登場。そして、2017年に欧州で発表された、現在の4代目RS4アバントへと至っている。
2017年から18年、19年から20年と細かな改良はあったが、アウディからは特に委細のアナウンスはなかった。しかし、RSシリーズをイヤーごとに乗り比べると明らかに違いはある。しなやかなサスペンションはステップアップが利いて、スポーツカー的な最速ワゴンの進化にとどまりはないのだった。
では、今回試乗した2020年モデル(2020年10月に欧州で発表。国内導入は同12月)はどんな感じなのだろうか。
ちなみに、2020年モデルもエンジンは2.9L V型6気筒ツインターボによって、450馬力を発揮。最大トルクの600N・mも変更はないが、出力特性が100回転ほど高回転へ移行している。にもかかわらず、カタログ上は昨年モデルよりも若干燃費は良くなっているようだ。
スーパーカーのような雰囲気もあるインテリア
では、試乗した印象を伝えたい。
ドアを開ける瞬間に、硬質で最良のマテリアルを吟味して作られているのが誰でも理解できることだろう。ステーションワゴンであるが、スポーツカー的でありラグジュアリーでもあるインテリアデザイン。全体的にマットな仕上がりと、カーボンを使ったクラスターによって、スーパーカーのような雰囲気も持ち合わせる。
シートは良質なレザーが体を支えてくれる。ステアリングを握りながらシートポジションを合わせる。低く合わせたポジションから見る最新のフルデジタルのメーターパネルは、出力が瞬時にわかる。
エンジンを始動すると、思ったよりも静粛性は高く感じる。自宅脇に止めていた先代モデルのエンジンを始動させたところ、エンジンが冷えていたのもあるが、自宅の窓ガラスが振動(年代物なので)して驚いたのを思い出す。新しいRS4アバントは低く抑えられたサウンドで、大人っぽくなった。
ダイナミックモードで本領発揮し 8速ATがジェントルさも醸す
コンフォートモードで発進だ。街中だからいいかとも思うが、少しダンピングが足らないよう。路面とのコンタクトがいまひとつだ。
ところがダイナミックモードに変えてみると、すべてがRS4のために与えられたセッティングであることが瞬時にわかる。
ちょうど第三京浜の入口だ。ホールドのいいシートと最高のエンジンレスポンス。それに、ステアリングフィールとサスペンションのセットアップ。これらすべてがドライビングの高揚感へと誘う。
直線になり、グッとアクセルを踏み込んで加速度すると、デジタルメーターが出力を瞬時に表示する。まだ出力の半分くらいにもかかわらず、軽く内臓がフローティングする加速だ。いったい450馬力の最高出力ではどんな加速なんだろうと、考えると笑みがこぼれてしまう。
高速コーナーは地をはうにふさわしいハンドリングだ。少し荷重をリアにかけながらコーナーを抜けると、気持ちいいほどリアが安定した挙動である。まさに、4つの足で地をはって機敏に動く“ゲッコー(ヤモリ)”のようである。幅がおおよそ1870mmというサイズだが、視認性がよくボディが小さく感じられるため、クイックな操作も妨げない。
フロントの車軸よりも前方にあるエンジン搭載位置の恩恵で、トラクションはとてもいい。その分、制動時のストッピングパワーが必要になるが、言うまでもなく恐ろしく大きなキャリパーとローターが装着されていた。このブレーキは、先代に比べて低中速時の潤滑もよくリニアでコントロール性が高い。
そしてもうひとつ、このスペックを紳士的に乗りこなせる最大の要因は、ZF社製の8速ATである。ターボとのマッチングが良く、それでいてハイスペックのエンジンレスポンスに対する反応も素晴らしい。街中で走る時もマナーが良く、車庫入れも以前のモデルに比べて操作しやすい。
これだけのスペックを盛り込んだ最速ステーションワゴンであるが、ゆっくりと走らせればジェントルな雰囲気さえ漂うのである。
【試乗車 諸元・スペック表】
●2.9 4WD
型式 | 3BA-8WDECF | 最小回転半径 | 5.5m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.78m×1.87m×1.44m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.83m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.61m/1.6m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1820kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.11m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ミトスブラックメタリック、ナバーラブルーメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、ナルドグレー、ソノマグリーンメタリック、ターボブルー、タンゴレッドメタリック |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
- |
エンジン型式 | DEC | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | V型6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 58リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 2893cc | 燃費(WLTCモード) |
9.9km/L
└市街地:7.1km/L └郊外:9.9km/L └高速:11.8km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 450ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
600(61.2)/5000 |
型式 | 3BA-8WDECF |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ミトスブラックメタリック、ナバーラブルーメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、ナルドグレー、ソノマグリーンメタリック、ターボブルー、タンゴレッドメタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.5m |
全長×全幅× 全高 |
4.78m×1.87m×1.44m |
ホイール ベース |
2.83m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.61m/1.6m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1820kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.11m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | DEC |
---|---|
種類 | V型6気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 2893cc |
最高出力 | 450ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
600(61.2)/5000 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 58リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 9.9km/L
└市街地:7.1km/L └郊外: 9.9km/L └高速: 11.8km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。