ソフトトップという選択がもたらす優美さ

  • アウディ A5 カブリオレ 走り|ニューモデル試乗
  • アウディ A5 カブリオレ インパネ|ニューモデル試乗
↑アドバンスドキーを使えば車外からでも電動ソフトトップの開閉が可能だ(左)シフトセレクター付近に操作系統が集中したインパネ。バング&オルフセンのサウンドシステムもオプションで選択できる(右)
オープンカーは魅せる車、見られる車である。だからこそ優雅さを表現できるソフトトップこそ適役。アウディはそう考えるブランドだ。よってA4カブリオレの後継車となるA5カブリオレも幌屋根で登場した。

スタイリングはA5クーペがベースだが、こっちがオリジナルと思ってしまうほど造形にまとまりがある。オープンはもちろん、クローズドもカンペキ。シルエットはクーペに似るけれど、ルーフがボディと別色別素材になり、仲を取り持つウインドウフレームがアルミになったおかげで、ぐっとエレガントに見える。

しかもA5カブリオレは、ソフトトップを4色も用意。オーソドックスな黒や青だけでなく、赤や茶もある。8色のボディ、3色のレザーインテリア、2種類のウッドパネルとの組み合わせは200通り近いコーディネイトを可能としている。これこそソフトトップの楽しさだ。

それでいて室内空間はクーペと同じフル4シーターで、トランクは幌を格納したときも320Lの容量を確保。トップの開閉はもちろんフルオートで、わずか15秒で作動を完了する。これらもソフトトップのメリットだ。

見た目はエレガント、中身はしっかりの才色兼備な車

  • アウディ A5 カブリオレ フロントシート|ニューモデル試乗
  • アウディ A5 カブリオレ ラゲージ|ニューモデル試乗
↑シート表面には特殊な加工が施され、直射日光による温度上昇を防ぐ(左) 分割可倒式のリアシート。両側を倒せば最大750Lのスペースが生まれる(右)
では、もう一つの幌屋根のウリである軽さは? と思ってスペックをチェックしたら、なんと260kgもクーペより重い。でも走り始めたら、理由がわかった。ボディ剛性はマジでクーペ並みで、ルーフを閉じれば驚くほど静か。聞けば本国では2種類ある幌のうち、快適性にすぐれたタイプを装着したという。

乗り心地は、オプションのアウディドライブセレクトで3モードのどれを選んでも快適。これも強靭ボディの効果だろう。このアウディドライブセレクトを選ぶと装備される速度可変式のダイナミックステアリングは、クーペよりクイックな反応で、1.9tという数字を感じさせない。それに重くなったといっても、同じ3.2LのV6エンジンと7速Sトロニックを積むQ5より少し軽いわけで、加速に不満はない。このクラスのオープンカーで唯一の4WDであることも、安心材料という点ではプラスになる。

ソフトトップならではのエレガンスを見た目でアピールしつつ、走れば剛性感に一分のスキもなく、動きに重さは感じさせず、静粛性や快適性は幌屋根とは思えない。優雅なファッションに身を包みながら「日経ビジネス」を毎週購読している女性みたいな、才色兼備を絵に描いたような車だった。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 3.2 FSI クワトロ
全長×全幅×全高(mm) 4625×1855×1385
車両重量(kg) 1930
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 3196
最高出力[ps/rpm] 265ps/6500rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 3.7kg-m/3000~5000rpm
車両本体価格 784.0万円
(Tester/森口将之 Photo/向後一宏)