BMW i4 M50▲既存の4シリーズグランクーペをベースとした、初めて“M”を名乗るBEV。最高出力544psなど、スペック的にはM8レベルに迫る

ひとつひとつの動作に雑味がない

BMWはよくいえば慎重な、悪くいうと優柔不断なBEV戦略を取っている。iXのように完全オリジナルデザインのBEVをデビューさせた一方で、iX3のように既存のモデルと同じ格好(兼用プラットフォーム)を使ったモデルも併存させている。

選ぶ方としては種類が多ければ多いほど嬉しいけれど、その分、新しい乗り物としてのBEVのイメージは抱きづらい。もっとも誰もがいきなり冒険したいとは思わない。ユーザーの気持ちをくんだ二面戦略と思った方がいいだろう。
 

BMW i4 M50▲特徴的なキドニーグリルにはセリウムグレーのパネルが貼られている
BMW i4 M50▲M専用エアロパーツや、専用チューンのアダプティブMサスペンションを装着

というわけで、このi4 M50も4シリーズグランクーペの形をしたフルバッテリー駆動のBEVだ。性能スペックを見るとMのイニシャルに似つかわしい、否、もはやM8レベルというべきスペックを備えた電気モーター+バッテリーを抱え込んでいる。

MのBEV、とはいうものの、価格や装備を見れば、ガソリン車のラインナップでいうところのMパフォーマンスモデルと同レベルの位置付けだと言っていい。スペック性能では確かにM4を大きく上回っているけれど、ICE(内燃機関)とBEVとの間には単純に性能のスペック差だけでは測れないパフォーマンス特性の差があると思った方がいい。

なんてことは頭では理解しているのだ。それでいて、ひとたびi4 M50 の加速パフォーマンスを体感してしまうと、あぜんとするほかない。次からはもう不用意にアクセルペダルを踏み込むまいと、すぐさま脳にインプットする。正直にいうと、そんな“笑ってしまうほどの加速”を何度も試してみようという気にはならない。一度きりで十分。そこがエンジン付きの車とは違ったデジタルな諦観であろう。何度試しても同じ結果、それがEVらしさというものだ。最近のコンピューター制御バリバリのエンジン付き2ペダル車もたいていそうなのだけれど。
 

BMW i4 M50▲インフォメーション・ディスプレイとコントロール・ディスプレイを組み合わせたBMWカーブド・ディスプレイを備える

街乗りのパートナーとしては最高の部類だろう。静かなことはもちろん、スタンダードの4シリーズグランクーペに比べて明らかにどっしりとした乗り心地だ。街中での快適性は4シリーズグランクーペシリーズの中でも随一だと思われる。それでいてインストルメントパネルのグラフィック以外は見慣れた4シリーズというのだから、心地よい違和感に包まれて走る感覚だ。何か特別な車を手に入れたという満足感がある。

EVとしては常識的なアッと驚く加速性能などより、一体感と剛性感に優れていることがより印象的だった。

バッテリーを構造物としても活用するレイアウトが、前後重量の理想的な配分と車体のしっかり感アップに寄与したのだと思う。それゆえ、一つ一つの動作に雑味がない。“パーフェクトスムーズ”という表現がよく似合う車だ。

逆にいうと、その雑味のなさこそ、BMW製エンジンの快感に慣れ親しんだ身には少々物足りなく思えたりもする。騒音と振動のあるストレート6が恋しい気分になってしまうのだ。

完全にバランスされたドライブフィールを4シリーズグランクーペのカタチで味わってみるという未来への第一歩を楽しむか、それともノスタルジックにストレート6にこだわり続けるか。今のところBMWは両方の受け口を用意してくれているのだった。
 

BMW i4 M50オプションでバケットタイプのMスポーツシート(写真)が用意されている
BMW i4 M50▲床下にバッテリーが搭載されているため、ベースモデルよりわずかに床面が高い
BMW i4 M50▲ラゲージ容量は通常で470L、後席を倒せば最大1290Lまで広がる
BMW i4 M50▲車体右側後方に急速充電用のポートを設置、普通充電用は左側前方となる

▼検索条件

BMW i4 M50× 全国
文/西川淳 写真/郡大二郎

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

BMW iXの中古車市場は?

“BMW

他社に先がけ、2011年に電動モデルのサブブランドであるBMW iを立ち上げたBMW。電動化だけでなく、CFRPによる軽量化、リサイクル材の採用などによる「持続可能なモビリティ」を目指した車作りが行われている。i4よりも少し早く登場した最新フラッグシップEVであるiXは「2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の一次選考で上位10モデル(10ベスト・カー)に選出された。

iXの中古車物件は15台前後が流通中で、価格帯は870万~1200万円となる。
 

▼検索条件

BMW iX× 全国
文/編集部、写真/ビー・エム・ダブリュー

【試乗車 諸元・スペック表】
●M50 4WD

型式 ZAA-32AW89 最小回転半径 5.9m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.79m×1.85m×1.46m
ドア数 5 ホイールベース 2.86m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.61m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 2240kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2515kg
ミッション位置 不明 最低地上高 0.13m
マニュアルモード -    
標準色

アルピン・ホワイト

オプション色

ミネラル・ホワイトメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンレモ・グリーンメタリック、サンセット・オレンジメタリック、ブルックリン・グレーメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック

掲載コメント

※交流電力量消費率(電気自動車)WLTCモード 173Wh/km 市街地モード 177Wh/km 郊外モード 167Wh/km 高速モード 175Wh/km
※一充電走行距離 WLTCモード 546km

型式 ZAA-32AW89
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アルピン・ホワイト
オプション色 ミネラル・ホワイトメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンレモ・グリーンメタリック、サンセット・オレンジメタリック、ブルックリン・グレーメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.9m
全長×全幅×
全高
4.79m×1.85m×1.46m
ホイール
ベース
2.86m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.61m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2240kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2515kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント ※交流電力量消費率(電気自動車)WLTCモード 173Wh/km 市街地モード 177Wh/km 郊外モード 167Wh/km 高速モード 175Wh/km
※一充電走行距離 WLTCモード 546km
エンジン型式 HA0001N0 環境対策エンジン -
種類 電気モーター 使用燃料 電気
過給器 - 燃料タンク容量 -リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 -cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 544ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
795(81.1)/-
エンジン型式 HA0001N0
種類 電気モーター
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 -cc
最高出力 544ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
795(81.1)/-
環境対策エンジン -
使用燃料 電気
燃料タンク容量 -リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -