これからは洒落モノで

  • フォルクスワーゲン パサートCC 走り|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン パサートCC リアスタイル|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン パサートCC エンジン|ニューモデル試乗
↑2Lターボモデルは軽快だがややうるさく、アクセルも敏感(左)リアコンビネーションランプの意匠は北米を強く意識した印象だ(中)ゴルフ GTiと同じ2L直噴ターボ。初回車検まで点検整備無料パック付き(右)
セダンが売れなくなっているのは日本に限ったことではなく、西欧州でも同様の傾向なのだそうだ。しかし走りに特化したものや、ステイタス性が豊かなセダンはその限りではない。2年前に日本にも導入された現行のパサートも先代よりステイタス方向へ舵を切ったが、さらにもう一歩進めたのがパサートCCだ。

VWとしてはあまりうまくいっていない北米マーケット、中型セダン販売台数がおおざっぱに西欧州の4倍もある、そこでのシェア拡大も目論んでいる戦略車でもある。

パサートより30mm長く、35mm広く、50mm低いパサートCCは、さらに流麗なラインを身にまとっている。特にサイドのウインドウグラフィックスは伸びやかでなかなか美しい。この手のロー&ワイドなセダンは欧州車ではM・ベンツのCLSが先鞭をつけた新しいマーケットだが、カリーナEDの大流行を知っている日本人としては懐かしいキモチになる。ただパサートCCの2人乗りリアシートのヘッドクリアランスは十分。あの時代の日本車とそこは違う。

価格差を考えてもオススメはV6モデル

  • フォルクスワーゲン パサートCC インパネ|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン パサートCC フロントシート|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン パサートCC リアシート|ニューモデル試乗
↑基本はパサートと共通だが配色は違う。2.0のトリムは木目ではなくアルミ(左)色はブラック、ベージュ×ブラック、トリュフの3種(中)高い座面とシートバック角度が秀逸なリアシート(右)
先に試乗したのは新世代4モーションとご自慢のDSGを組み合わせた3.6LV6モデル。現行パサートV6モデルのゆったりした乗り味は、高速クルーザーとして屈指の出来だと思っていたが、今度のCCは輪をかけてよかった。DCCと呼ぶ新採用の電子制御サスペンションはダンパーの減衰力とパワステのアシストを変えることができるのだが、これが非常に効果的だ。ノーマルモードであっても連続的に特性を変化させるので、滑らかで上質な乗り心地と、ロールやノーズダイブの少ないスポーティなフットワークを魔法のように両立してくれる。十二分にパワフルでスムーズなエンジンと変速マナーがいっそう洗練されたDSGも魅力的だ。

さらにレクサスLS並みに完全停止までサポートするレーダー追従のクルーズコントロールと、警告音やステアリング振動による追突回避システム、コンチネンタルと共同開発したランフラットとは異なる独自のパンク防止タイヤ、デンマークの高級スピーカー「DYNAUDIO」のサウンドシステムに、最新のHDDナビなどなど、装備は日本車と遜色ない。

一方の2.0ターボモデルは軽快だが、ややうるさく、アクセルに敏感すぎる点がプレミアム感を損なっている。ヨンクとDSGとレーダークルコン、プレミアムオーディオなどの装備差も考えると、100万円差とはいえV6モデルをオススメしたい。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード V6 4MOTION
駆動方式 4WD
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4815×1855×1425
ホイールベース(mm) 2710
車両重量(kg) 1700
乗車定員(人) 4
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 3598
最高出力[ps/rpm] 299ps/6600rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 35.7kg-m/2400〜5300rpm
10・15モード燃費(km/L) 8.8
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/68
車両本体価格 602.0万円
(Tester/馬弓良輔(インポートカーセンサー副編集長) Photo/尾形和美)