【試乗】新型メルセデス・ベンツ Cクラス|新・FRプラットフォームはフラッグシップをほうふつさせる器
カテゴリー: メルセデス・ベンツの試乗レポート
2022/02/01
エントリーモデルも妥協しないのがFRメルセデスの伝統
メルセデスの駆動バリエーションの中でも、王道中の王道のレイアウトがFRである。
エントリーモデルの小型FRセダン190シリーズは、1982年以来11年間で1800万台を販売して成功。小さくてもメルセデスのフィロソフィーを忠実に凝縮していた。
そして、その意匠はCクラスへ受け継がれたのだ。
1993年当時、初代Cクラスは小さくてもフラッグシップモデルのSクラスと同等の水準の安全性とうたわれた。
その「FRレイアウトの末っ子」と言えるメルセデスのCクラスが、5代目となり新しくなったことはご存じであろう。
そろそろ街中でも見かけるはずだが、箱根や都内で試乗したので雰囲気をお伝えしたい。
見どころは新システムとなったマイルドハイブリッド
試乗したモデルは、C200アヴァンギャルドにスポーティさが売りのAMGラインという組み合わせだ。エンジンは1.5L直列4気筒ユニット+ターボにマイルドハイブリッド(MHEV)が搭載されている。
MHEVは先代のCクラスでも採用されていたが、これまではBSGというモーターによる出力をベルトによってクランクシャフトに伝えてアシストするシステムであった。
既存のエンジンにレトロフィットで装着するにはこのシステムは都合が良かったが、新型Cクラスではより強力でレスポンスを速くすることができ、静粛性にも寄与できるトランスミッションを搭載。エンジンの間にモーターを組み込むことによって、ダイレクトで効率よく充電を行い、エンジン停止後からの再始動も電光石火で行うISGというシステムに変更となっている。
強力なモーターを携えることにより、加速時はもちろん、シフトアップ時のトルクの落ち込みから立ち上がるまでの時差を少なくして、スムーズなドライバビリティに寄与するという。
見えない部分だけに試乗が楽しみだ。
プラットフォームは新型Sクラスと共通
新型となってプラットフォームの世代も変わった。
先代は、既存のEクラスと先代Sクラスと基本を共通化したプラットフォーム“MRA”であったが、新型Cクラスは、2021年に登場したSクラスと同様の、第2世代プラットフォーム”MRA2”を採用。
先に述べた、王道のフロント縦置きユニット内のヒエラルキーを感じさせない骨格は、メルセデスのこだわりである。
外観のフォルムは、一昔前のシャープなプレスラインを使ったエモーショナルな雰囲気から、柔らかい曲面を使いながら、後軸に力をためて走り出そうとする力強さを感じるウエッジシェイプもドア下部に作り出されている。
シートに腰を下ろすと、D断面のステアリングホイールにはコントロールスイッチがスポークに取り付けてある。やぼったくなくスマートでいい。そして、11.9インチの大型ディスプレイに機械的なスイッチ類は集約されている。とてもまとまった、良くできたデザインである。
また、センターコンソールの力強さが安心感を与えてくれる。ここでも、FRプラットフォームの伝統を感じられる。
クラス最高レベルのしなやかなサスペンション
センタクラスターのステアリング左にあるスタートスイッチを押すと、瞬時にエンジンが始動する。
静粛性は極めて高い。先代もマイナーチェンジ後のCクラスはとても静粛性が高かったが、それよりもいっそうと言っていい。
Dレンジに入れてスタートだ。アクセルを軽く踏み込む。3人乗車にかかららず、スムーズでしかも力強い発進だ。陳腐な言い方だが、これが1.5Lなのか? と信じがたいスムーズさだ。
少し加速して見ると9速ATとISGによるモーターアシスト制御でステップアップをして、トルクの落ち込むところをモーターで補い、静かで優雅な雰囲気を作り出す。以前よりもしなやかで、Sクラスに近づいていった乗り心地だ。
タイトなコーナーも狭い山道でのすれ違い、車庫入れも、長年作り続けた伝統芸のような見切りの良いデザインは大きなボディでも扱いやすい。FRプラットフォームのメルセデスに乗るたびに感じる安心感だ。
タイトなカーブでも以前よりもさらにフラットライドで、しなやかなセッティング。新しいプラットフォームならではの、しっかりとした懐の深さを感じさせる。このクラスで、最もしなやかなサスペンションをもったセダンと言ってもいいだろう。
首都高速の逆バンクのコーナーも、わだちが残る路面でも、45/40のロープロファイルのタイヤにもかかわらず、何事もなく追従してスタビリティの確保に務める。
堂々としたセンタークラスターを眺めながら、ゆったりとした気分にさせてくれる。新たなFRプラットフォームは、このパッケージングにしてフラッグシップをほうふつさせる器であることを確認できるモデルである。
【試乗車 諸元・スペック表】
●C200 アバンギャルド AMGライン(ISG搭載モデル)
型式 | 5AA-206042C | 最小回転半径 | 5.2m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.79m×1.82m×1.44m |
ドア数 | 4 | ホイールベース | 2.87m |
ミッション | 9AT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.58m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | △ | 車両重量 | 1690kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | 0.13m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ポーラーホワイト |
||
オプション色 |
オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド、アンスラサイトブルー、ダイヤモンドホワイト |
||
掲載コメント |
- |
エンジン型式 | M254 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 66リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 16.4km/L |
総排気量 | 1496cc | 燃費(WLTCモード) |
14.5km/L
└市街地:10.2km/L └郊外:15km/L └高速:17.1km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 204ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
300(30.6)/4000 |
型式 | 5AA-206042C |
---|---|
駆動方式 | FR |
ドア数 | 4 |
ミッション | 9AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | △ |
標準色 | ポーラーホワイト |
オプション色 | オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド、アンスラサイトブルー、ダイヤモンドホワイト |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
コラム |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.2m |
全長×全幅× 全高 |
4.79m×1.82m×1.44m |
ホイール ベース |
2.87m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.59m/1.58m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1690kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.13m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | M254 |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1496cc |
最高出力 | 204ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
300(30.6)/4000 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 66リットル |
燃費(JC08モード) | 16.4km/L |
燃費(WLTCモード) | 14.5km/L
└市街地:10.2km/L └郊外: 15km/L └高速: 17.1km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。