・英調査会社LMC Automotiveが発表した2015年3月のグローバル・ライトビークル(乗用車・小型商用車を指す。中大型商用車を除く)販売は、1月と2月の軟調な販売から少し改善して季節調整済み年率換算販売が8,890万台/年となった。2015年通年のグローバル販売予測については、8,900万台超へと若干下方修正した。
・西欧、米国と中国の販売は好調を維持しているが、ロシア市場の崩壊とブラジル市場の不調がグローバル販売の成長率を低下させている。

グローバル・ライトビークル販売
北米

3月の米国ライトビークル販売は、前年同月比ベースでは0.6%増とぎりぎりプラス成長となった。しかしながら、季節調整済み年率換算の販売でみると1,700万台/年と好調な販売を維持している。第1四半期全体の成長は、ほとんどライトトラックの販売増加によるものであった。
3月のカナダの自動車需要は、前年同月比1.7%増と堅調で、2014年の好調な販売を上回っている。しかし、LMC Automotiveは全体として2015年にさらに市場が成長するとは予想していない。

欧州

3月の西欧市場は前年同月比で10%超と回復の勢いが加速してきた。季節調整済み年率換算販売も1,470万台/年と過去4年間で最高となった。イギリス市場は好調さが際立っているが、スペイン、フランス、ドイツも上昇傾向を示している。
東欧の販売は、西欧地域とは対照的に3月も前年同月比で18.2%減と大きな減少が続いている。しかし、東欧販売減少のほとんどはロシア市場の崩壊が原因である。ロシアの季節調整済み年率換算の販売は160万台/年まで下がった。(すでに販売の減少が始まっていた2014年の通年販売250万台と比べてみるとその深刻さが分かる)。LMC Automotiveは他の東欧市場は安定的に推移すると予想するが、ロシア市場は最近の低い販売状況から見て早急に回復する見込みは少なく、もう1年は不調が継続すると予測する。

中国

中国市場の3月の季節調整済み年率換算販売は2,470万台/年となり、春節の休みを考慮した2月の季節調整済み年率換算販売と同じであった。しかしながら、販売内容をみると、乗用車と小型商用車販売差の拡大が続いている。3月は乗用車販売が前年同月比で12%増加したのに対して、小型商用車販売は前年同月比で18%減となった。減速する経済と今年初めに適用された厳しい排気基準が小型商用車販売の足を引っ張っている。
中国経済はさらにスローダウンする兆候を見せている。高まりつつあるデフレのリスク、一時はブームだった不動産部門の急減速、不透明な世界見通しが、政府に金融政策と財政政策の緩和を一段と強めざるを得ないように働くと予想されている。もし、緩和政策が実施されれば、販売が今後数カ月のうちに上向く可能性がある。

アジア(中国以外)

日本の3月販売は、2015年4月の自動車課税変更を前にして季節調整済み年率換算販売が520万台/年へと上昇した。毎年かかる軽自動車税が増税され、「エコカー減税」の適用条件がより厳しく変更された。この駆け込み需要の影響で、今後数カ月は販売の勢いが弱くなることが予想される。
韓国市場では、3月の季節調整済み年率換算販売は予想を上回る170万台/年超と好調であった。インフレ率の低下、史上最低レベルの金利、強い韓国ウォンによって、消費者の購買力が改善している。しかし、停滞した経済と悪化する労働市場は懸念材料である。

南米

3月のブラジル市場の季節調整済み年率換算の販売は、カーニバルの休みで低くなった2月の販売から9%近く上昇した。しかしながら、ブラジル自動車市場は悪化する経済と同調して減少傾向が続いている。迫りくる不況、上昇するインフレと金利、すでに高い家計債務は、2015年中は自動車販売を弱体化させると思われる。
アルゼンチン市場の3月の季節調整済み年率換算販売は54万台/年と2月とあまり変わらなかった。しかしながら、販売の見通しは暗い。実質賃金は低下しつつあるうえに、労働市場も悪化していることから消費者は大変慎重になってきている。10月の大統領選挙を前にして、政府が支出を増大させるようなことがあれば、今後数カ月のうちに販売を押し上げることができるかもしれない。


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【LMC Automotive Ltd.について】
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野の生産・販売予測サービスを専門的に提供する調査・コンサルティング会社。英国オックスフォードに本社を置き、自動車メーカー、部品メーカーを中心に金融機関、政府機関含め、世界の500を超える顧客に幅広く予測サービスを提供している。海外拠点はデトロイト、上海、バンコク、フランクフルト、パリ。自動車台数予測に加え、個別の調査・コンサルタント業務も提供している。

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